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[2005年1月18日 読売新聞 連載記事]

50年目の自民党 (10)

脱「霞が関」構想足踏み

「マニフェスト(政権公約)にしても、役所の論理が存在し、完璧に党が作ったものになっていない。党改革では霞が関とは異なる政策を持つため、党のシンクタンク(政策研究機関)創設を準備中だ」

自民党改革実行本部(本部長・安倍晋三幹事長代理)の事務局長、塩崎恭久衆院議員が先月15日、東京・大手町で企業人を前にこんな構想を披露した。日本経団連主催のシンポジウム「政策本位の政治に向けて」でのことである。

これに先立ち、佐々木毅東大学長も「政策本位の政治のため、政党が努力するのは当然だが、経済界は政党が政策に取り組む環境整備として何ができるのかを考えてほしい」と述べ、経済界に協力を要請した。

◆人材の受け皿

塩崎氏の発言は、「自民党シンクタンク創設について」と題する党改革実行本部の原案に基づく。自民党の政策立案のために、政策分野ごとに、一流の研究者や新進気鋭の研究者がかかわり、役所とは違った政策の選択肢を考える。そのために、特別会計を設け、企業、団体、個人からの献金を受け入れる−といった構想だ。これを推進する小林温参院議員は「米国のように公共政策に優れた人材が、ビジネス、行政、政治、学会、シンクタンクを行き来するのが理想だ。企業も使途が政策目的だと明確になれば、献金を出しやすいのではないか」と言う。

先月21、22両日。安倍氏ら党改革実行本部のメンバーは武部幹事長、与謝野政調会長らを回った。シンクタンク構想の了承を得るためだ。だが、与謝野氏は「外部の研究者を抱え込むのは、カネがかかりすぎる。調査が必要なら、民間の研究機関に依頼すればいい」とつれなかった。党内には、「民間人、有識者の知恵というが、国会議員はどうなのか。自分たちが、政策に自信がないことの表れだ」との批判もある。

◆既設機関と競合

実際、政府提出法案の審査を担う自民党政務調査会との調整は難しい。常勤の研究員を雇うとなると政策課題ごとに1グループ当たり、年間1億3−5千万円もの運営費が見込まれる。

党政調は各部会と関係省庁との調整だけではない。外部の民間の研究機関に委嘱して、しばしば調査を実施している。たとえば、三菱総合研究所に委託して2002年2月に実施した「国民の税に対する意識調査」。インターネットで対象は3,515人。翌月、三菱総研が党に提出した報告書には「国民の考える消費税の限界は10%」「消費税引き上げに高年者層は前向き、若年層では否定的」「酒税、たばこ税については不満が小さく、増税に前向き」とあった。

また、政務調査会の内部には「党総合政策研究所」(1982年発足)という名の組織がある。民間の知恵の導入を目指し、生保や銀行など民間企業の出向者約10人を擁している。だが、提言をまとめる程度で本格的なシンクタンクとは言い難しい。「党と企業の将来のパイプ役作りの場としてしか機能していない」とも言われている。

民主党は先月の党大会で、党独自のシンクタンク創設を検討するとの運動方針を決定した。与野党ともに、自前の政策立案、発信能力が十分ではないとの問題意識はある。だが、まだ具体的な一歩を踏み出してはいない。

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