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[2004年5月22日 読売新聞]

〈政治の現場〉参院選(9)

政権の重み

−政党は意識 議員は戸惑い−

昨年の衆院選を「政権公約(マニフェスト)選挙」と位置付けたことが、各党の参院選の選挙公約づくりに大きな影響を与えている。

自民党では、若手参院議員が公約づくりの担当だ。3年前の参院選で初当選した「21(にいいちかい)」のメンバーである。4月初めにまとめた原案は二部構成。前半は「5つの成果」として、過去3年間にわたる小泉内閣の業績を盛り込んだ。後半の「7つの約束」は、先の衆院選の政権公約を、参院選向けに仕立て直したものだった。こんな項目が並んでいた。

〈老後も安心な年金制度を構築します〉

〈小さくて効率的な政府を実現し、行政コストを削減します〉

政権公約との一番の違いは、具体的な記述がごっそり落ちていることだ。国民負担率の50%以内への抑制や、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げ、2007年4月の郵政事業民営化は盛られていなかった。21会の関係者によれば、「政権公約『小泉改革宣言』の理念は継承し、細かな技術的部分は省いた。有権者にわかりやすいものを心掛けた」という。

公約案の作成にあたった小林温参院議員らは4月15日、自民党本部で額賀政調会長と柳沢伯夫政調会長代理に説明した。柳沢は、聞き終えるなり、言い放った。

「政権公約は衆院選で作った一つだけだ。参院選では、その実績を強調するのが当たり前だろう」

小林は食い下がった。

「選挙を戦うのは参院議員なんですよ。『小泉改革宣言』だけでは戦えません」

結局、この日の協議で、前半の「5つの成果」は基本的に生かすものの、後半の「7つの約束」は、「小泉改革宣言」を踏襲することにした。さらに一番後ろに「追加項目」として参院選向けの公約を盛り込む構成に作り替えることになった。柳沢らが異論を唱えた背景には、「参院選は、政権公約に対する中間評価」との考えがある。これに対し、参院議員の間に不満がくすぶっている。

今回、改選を迎える参院議員の一人は「政権公約は衆院議員の任期4年間の約束だ。我々の任期は6年間あるのに、衆院選の約束に縛られ、『それ以外の政策を訴えてはいけない』と枠をはめるのは、どう考えても変だ」と語った。

曽根泰教・慶大教授の見方はこうだ。

「以前の選挙公約は、聞こえの良いキャッチフレーズが並ぶだけ。選挙が終われば顧みられることなどなかった。『政権公約を軽々に作り替えるな。反故にした印象を有権者に与えたら大変だ』と政治家が思うようになっただけでも、相当な変化だ」

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