[2006年10月21日 日本経済新聞]
基調講演 政府、事業者、利用者の役割分担と協力でネットの安心・安全を作る
新技術・サービスに迅速に対応しルールの見直し、普及啓発が必要
9月11日に日経ホールで行われた「安心・安全フォーラム」において、「安心・安全なインターネット社会の実現を目指して」とのテーマで経済産業大臣政務官として基調講演を行いましたが、その講演内容が掲載されました。
今日ITは、社会生活、経済活動に深く浸透しています。日本は二〇〇一年にe―Japan戦略を策定し、ITのインフラ整備を強力に進めてきました。その結果、世界有数の速くて安いインターネット環境を実現しています。
また、電子商取引市場も着実に拡大しています。〇五年には企業間での電子商取引は二百二十四兆円に達し、企業間取引のうち二〇・六%が電子商取引となり、市場規模でも電子商取引の割合でもアメリカの先を行く状況にまで成長しています。
企業と消費者間での電子商取引も、〇五年には市場規模三・五兆円まで拡大しています。携帯電話を使ったネット取引の普及により、さらに拡大すると予想されます。
このように電子商取引が拡大する一方で、これまで想定していなかった情報経済社会特有の新しいリスクが顕在化しています。例えばインターネット取引で代金を支払ったが商品が届かない、青少年による違法・有害サイトへのアクセスがきっかけとなって事件が発生する、事業者から個人情報が流出するといった出来事が相次いでいます。米国で大きな事件となっているフィッシング詐欺も日本で被害が報告されるようになっています。
経済産業省ではこうした現状を踏まえ、電子商取引に関するガイドラインの策定や違法・有害情報フィルタリングソフトの開発支援などに取り組んできています。しかし、次々と登場する新しい技術やサービスに逐次対応するためには、ルールの不断の見直しや、策定したルールのユーザーへの普及啓発に継続的に取り組むことが重要です。
〇六年三月には産業構造審議会において「安心・安全な情報経済社会の実現のための行動計画」が策定されました。この中では、情報経済社会における政府、事業者、利用者のそれぞれの責任と役割分担を示し、皆が協力しながら対処することが重要と提言されています。
行動計画の策定を受け、経済産業省では今後の取り組みとして、まず取引ルールを徹底すべく、事業者、消費者などの行動規範としての「電子商取引等に関する準則」の整備を進めていきます。
違法・有害情報対策としては、内閣官房に設置したIT安心会議を軸に政府横断的な取り組みを進める一方、事業者もフィルタリング普及のためのアクションプランをとりまとめており、官民で協力して対策を進めます。
また、個人情報については、有効に活用すればITの利便性を高めることができる一方で、悪用され、詐欺につながるケースも出ています。個人情報保護法及びガイドラインの普及と見直しをリアルタイムで行いながら、情勢に迅速に対応したいと思います。
今後とも情報経済社会の一層の信頼性向上に向けた、取り組みを進めてまいります。