[2007年7月5日 毎日新聞]
ネットと07参院選 上
若い有権者との接点
参院選を目前に控え、立候補予定者や有権者側が、手探りの「ネット選挙」を展開している。ネット社会に対応した公職選挙法の改正は政治の大きな課題だ。
「このアドレスにメールを送ってください。(返信の)メッセージが届きます」。横浜市内で6月30日、参院選に向けた決起集会が引かれた。50歳以下に限定された約500人が見つめる中、大画面にアドレスが映し出された。アドレスの主は、この日の主役の小林温議員(自民)。メールを使い12日の公示まで、活動報告などを配信する。小林議員は「若い有権者と接する新しい手段」という。
いま、国会議員の大半がホームページ(HP)を開設して情報を発信している。だが、公選法はインターネットを利用した選挙運動を認めていない。選挙期間中に候補者のHPを更新したり、メールなどで投票を呼びかける行為も禁止だ。総務省の「IT時代の選挙運動に関する研究会」が選挙期間中でもHPの更新を認めるなどの報告書を出したのは02年8月。5年近くたった今も公選法は改正されていない。研究会座長だった蒲島郁夫・東大法学部教授(政治学)は「選挙運動でネット利用を禁止しているのは常識に反している。解禁は若い有権者の投票率向上にも有効だ」と早期改正を求める。
自民党は05年10月、検討チームを設置したものの、ベテラン議員らの抵抗が強く、足踏み状態だ。チーム座長の小林議員は「ネットになじみのない薄い議員は、若い候補者に有利になるのではと懸念している」と話す。
一方、民主党はネット利用を一切規制しない「全面解禁」を掲げ、法改正案を提出してきた。党の調査会長の鈴木寛参院議員は、自らもネット活用に熱心だ。今年4月、利用者同士が対話できるネット上の仮想空間「セカンドライフ」に事務所を開設。そこで講演会を開き、来場者との質疑応答も試みた。だが「一種のHPに当たる」と考え、参院選期間中は自主的に閉鎖する。
解禁をにらんだ両党の主導権争いは激しい。小林議員は「全面解禁といえば聞こえはいいが、公選法は候補者が配る紙の文書も制限している。ネットだけすべて認めると混乱を招く」とけん制する。鈴木議員は「自民党が受け入れられる部分に限り、共同で法案提出してもいい」と、「まず一歩」を強調する。