[2005年9月13日 毎日新聞(抜粋)]
衆院選・自民圧勝 埋没した民主
勝敗分けたメディア戦
自民党の圧勝で終わった衆院選は、郵政民営化法案の参院否決、自民党内の造反劇、「刺客」騒動と劇場型の展開を見せ、メディアの注目度も極めて高かった。特にテレビでは連日、情報番組やワイドショーが注目候補の動向を追いかけた。今回初めてPR会社を起用して選挙戦に臨んだ自民党は、イメージを重視するきめ細かいメディア戦略で、民主党など野党を圧倒した形だ。
専門チームが指揮
投開票日を前にした8日深夜、自民党本部4階の一室に竹中平蔵郵政民営化担当相、党広報本部長代理の世耕弘成参院議員、小林温参院議員が顔をそろえた。9日夕方の民放テレビのニュース番組の討論会に小林氏が出席するため、急きょ竹中氏が年金問題についてレクチャーすることになったのだ。民主党がこのところの討論会で使っている年金問題の「突っ込みパターン」を世耕氏が示し、竹中氏がパネルを用意して、それを「論破」する方法を伝授した。
自民党は今回の選挙で、「コミュニケーション戦略チーム」を初めて設立した。中心になった世耕氏は元NTT広報課長。「これまでの選挙は、ポスターはポスター、マニフェスト(政権公約)はマニフェストと、縦割りでバラバラ。テレビに出る政治家も勝手に話していた。チームは、これらを有機的に結びつけた」と話す。
チームは党職員を中心に約15人。宣伝、遊説、政務調査、幹事長室など選挙に関するあらゆる担当スタッフが選挙期間中、毎日午前10時に一堂に会し、選挙対策を検討した。遊説での主張内容をどう展開するかや、テレビでのアピールの仕方、党幹部の応援先の選定など内容は多岐にわたった。世耕氏は、党が公募した候補者選考も担当し、候補者選びからの一貫した体制が取られた。
チームの会議には、自民党が今年1月、広報改革のために初めて契約を結んだ東京のPR会社の社員も出席した。社員は、新聞記事を切り分けて傾向を分析するほか、全テレビ局のワイドショーなどを丹念にモニター(視聴)し、コメンテーターや野党議員が話した内容をまとめ、毎朝の会議で報告した。「相手の動きを読んで即答するのに役立った」(世耕氏)という。
選挙戦中盤、民主党がテレビのトーク番組などで「自民党は年金問題について何も言っていない」と集中的に攻撃し始めたことがあった。報告を聞いた戦略チームは、すぐに切り返しの抗弁を考え、反論のペーパーをまとめた。武部勤幹事長ら幹部の了承を取ったうえで、テレビに出演する議員や候補者には直接、説明した。他の候補者にはファックスで一斉に流したという。従来、候補者に党本部から連絡することはほとんどなかった。