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[2005年8月19日 毎日新聞]

<05衆院選 底流>

◇次の標的は農協や医師会かも・・・ 「既得権」組に衝撃

 「郵政民営化が終わったら、小泉構造改革の次のターゲットは農協になるかもしれない」

 自民党農林族議員の間で最近、こんな言葉が飛び交っている。

 きっかけは、4月21日に開かれた政府の規制改革・民間開放推進会議。八代尚宏・国際基督教大客員教授は「郵政3事業と農協はウリ二つだ」と指摘し、農協の金融・共済・経済事業を郵政3事業と同様に見立てて分割の必要性を訴えた。

 実際、7月29日に予定されていた同会議の「中間取りまとめ」の原案には、農協事業の分割が盛り込まれていた。

 郵政法案採決へのマイナス材料になりかねないと懸念した参院自民党の片山虎之助幹事長は開催直前、細田博之官房長官に「参院自民党としては受け入れられない」と抗議。結局、首相官邸の判断で「中間取りまとめ」の公表は延期されたが、農林族の一部は「小泉首相の標的は郵政だけではない。だから郵政民営化を徹底してつぶしておかないといけない」と先鋭化し反対・棄権に走った。

 別の動きもあった。来年の医療制度改革に危機感を抱く日本医師会の支援を受けてきた参院議員が、一部地域の医師会を動かして郵政法案に反対するよう賛成派議員に働きかけようとしたのだ。参院での法案審議が始まった後、この医師会に近い議員は「小泉政権は診療報酬など医療費のさらなる抑制を医師会にのませる考えだ。それを防ぐためにも郵政民営化には賛成できない」と賛成派に語っている。

 複数の党幹部が「医師会系議員の一部に郵政反対派支援の動きがあったのでつぶした」と証言するように、郵政民営化が自民党の支援団体に与えた衝撃を物語っていた。

 全国特定郵便局長会、農協、医師会は自民党の中核的な「集票マシン」として機能してきた。小泉首相は8月8日、衆院解散直後の記者会見で「既得権を守る反対勢力と戦い、自民党を本当の改革政党にする」と語った。既得権益団体や族議員から脱却した「新しい自民党」を目指す闘争宣言だった。

◇郵政票と改革票どちらがプラスか 首相、新支持層に照準

 その首相は、新たな支持基盤を築き始めている。昨夏の参院選敗北を受け、自民党は首相直属の改革実行本部(本部長・安倍晋三幹事長代理)を設置した。

 「米共和党は92年の大統領選で民主党に敗れてから、ベンチャー企業などを新しい支持者にした。それが昨年のブッシュ大統領再選にもつながった」。安倍氏は今年1月、楽天の三木谷浩史社長らベンチャー企業関係者を招いた党主催のシンポジウムで強調した。同様の会合は仙台や福岡でも順次開催。同本部の小林温参院議員は「1次、2次産業の支持だけでは先細りは確実。IT(情報技術)や介護、バイオなど新産業分野の支持を得ないと選挙は勝てない」と訴える。

 「小さな政府」を標榜し、新支持層の獲得を目指す小泉政権の戦略は、従来の支持団体の離反にもつながる。首相は「郵便局から出る票と、改革を訴え出てくる票とどちらがプラスか」と周辺に語る。衆院選は、郵政を超え、党の支持基盤を大きく変化させる可能性をはらんでいる。

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