[2004年12月11日 毎日新聞 東京朝刊(抜粋)]
シンポジウム:北東アジアの平和と日韓協力 新しい視点、日韓で主流に
これからの日韓関係を考えるシンポジウム「北東アジアの平和と日韓協力」(主催・韓国人文社会研究会、毎日新聞社、主管・韓国統一研究院)が11月29日、日本プレスセンターで開かれた。来年は日韓国交正常化40周年と同時に、日本が韓国の外交権を奪った第2次日韓協約100年という節目の年を迎えるが、参加者の発言からは、過去にこだわり過ぎない、新しい視点が両国で主流になりつつあることがうかがえた。北朝鮮問題では北朝鮮に向ける視線に温度差があることが浮き彫りになる一方、日米韓の連携の重要性で一致した。
パネリストの多くは、最近の日韓関係が以前と比べてかなり成熟してきたことを指摘した。
小倉和夫国際交流基金理事長は、駐韓大使だった98年にサッカー日韓戦で日本側応援席に座っていた韓国人の女子学生から「中田英寿選手のいるチームを応援している」と聞いて驚いたというエピソードを紹介。タブーがなくなり、お互いが個人として向き合うようになった現状を、両国で「心の解放」がなされた結果だと語った。
日韓関係では、日本が朝鮮半島を植民地支配した過去が大きな影となってきた。金光億(キムグァンオク)ソウル大教授は「過去の歴史が消えることはないが、どうアプローチしていくかが大切だ」と表明。金裕殷(キムユウン)漢陽大教授は、歴史問題を解決する難しさを指摘しつつも、日韓が共通の目標を持った事業を進めていくことで相互理解を深められると述べた。
高村正彦元外相は、韓国の専門家と公開の場で安保問題を議論すること自体が昔は考えられなかったと振り返った。尹永寛(ユンヨングァン)前外交通商相(現ソウル大教授)も「韓日がFTA(自由貿易協定)論議をしていること自体が、相互不信解消を示している」と話し、背景にある韓国社会の変化と関連して、学生たちが「自信を持ち、客観的な姿勢で国際問題にアプローチするようになっている」と紹介した。
小林温(ゆたか)参院議員(自民党)は、政治・経済・文化といった各分野での交流の努力によって、両国の国民同士が「近い国」と認識するようになったと指摘。陳禎美(チンジョンミ)国民創業投資中国本部長も「日韓はお互いから学ぶべき点が多くある」と語った。
一方、小針進静岡県立大助教授は、日韓関係を悪くしているのは政治家とメディアだと批判。両国メディアが自国の評価について自虐的に伝えていることや一部の政治家の失言を問題点として挙げるとともに、韓国政界にも日本を政治利用する動きがあると述べた。
これに対して朴宰完(パクジェワン)議員(ハンナラ党)は、韓国の政治指導者がかつて慶尚道と全羅道の対立を政治利用したように、最近も、反米や反日をあおり立てる傾向があると紹介。韓国が日本に繰り返し謝罪を要求することへの疑問を表明した。
FTAについては、李昌在(イチャンジェ)対外経済政策研究院センター長や野村証券金融経済研究所の中井浩之アジア経済調査課長らが、将来発生するだろう問題に効率的な対応をできるような質の高いものにしなければならないと指摘した。ただ、日韓両国が目標としているFTAの05年中合意には悲観論が出された。
◆シンポジウム出席者
◇日本側
高村正彦元外相、小倉和夫国際交流基金理事長、小林温参院議員、中井浩之野村証券金融経済研究所アジア経済調査課長、倉田秀也杏林大助教授、小針進静岡県立大助教授
◇韓国側
尹永寛(ユン・ヨングァン)前外交通商相、金裕殷(キム・ユウン)漢陽大教授、李昌在(イ・チャンジェ)対外経済政策研究院センター長、姜韓求(カン・ハング)国防研究院研究委員、陳禎美(チン・ジョンミ)国民創業投資中国本部長、金光億(キム・グァンオク)ソウル大教授、李銀栄(イ・ウンヨン)議員、朴宰完(パク・ジェワン)議員
◇司会
張達重(チャン・ダルチュン)ソウル大教授、任伯(イム・ヒョクペク)高麗大教授、金子秀敏毎日新聞論説副委員長
なお、全文は、
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