[2004年2月18日 神奈川新聞]
入港禁止法案要綱を了承 自民部会
北朝鮮念頭に 日本船籍も対象
万景峰号など朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の船舶を想定した「特定船舶入港禁止法案」は、先に成立した改正外為法に続く経済制裁法案の第二弾となる。県内選出の三議員を含む「対北朝鮮外交カードを考える会」(山本一太参院議員ら六人)は、拉致問題などで北朝鮮から譲歩を引き出す「圧力」の効果を訴えるが、自公内には北朝鮮を刺激し過ぎることを懸念し、慎重論も聞かれる。
自民党の内閣、国土交通、外交合同部会は十七日、山本一太参院議員ら若手による「対北朝鮮外交カードを考える会」が策定した「特定船舶の入港禁止法案」の要綱案を了承した。当初、北朝鮮を念頭に特定の外国国籍の船舶を対象としていたが、日本船籍を取得して特定の外国から入港する「抜け道」を封じるため日本船籍の船舶も対象に含める。
自民党は法案の細部をさらに詰め、党内手続きに入る。党内では今後本格化する日朝協議を見据え、外為法改正に続く対北朝鮮経済制裁法案の第二弾として今国会で成立させ「圧力」を強めるべきだとの声もある。安倍晋三幹事長は同日の記者会見で「(今国会での)成立を目指したい」と述べたが、政府、与党内には日朝協議への影響を考慮し慎重論も根強く成立は微妙だ。
法案は、日本の平和、安全維持のため、政府は閣議で期間を定め、入港を禁止できると規定。このほか (1)入港禁止を閣議決定後、国会承認を求める (2)入港禁止期間の延長を可能とする (3)違反した船長への罰則は三年以下の懲役か百万円以下の罰金とする−ことなどを盛り込んでいる。
十七日の党本部での合同部会では「考える会」の山本氏が法案概要を説明し、おおむね了承を得た。しかし、党内には改正外為法が先の日朝高官協議に与えた影響を気にする見方もあり、出席議員からは「今月末の六カ国協議を前に外交に与える影響も慎重に考えるべきだ」といった意見も出た。
こうした意見に対し、「考える会」メンバーである菅義偉氏(衆院神奈川2区)は席上で「慎重に考えるのは当たり前。しかし今まで慎重に構え、何もやってこなかった結果は歴史が証明している。淡々と外交カードをつくるのが、われわれの仕事だ。」と反論した。
同会メンバーの河野太郎氏(同15区)は終了後、記者団に「『対話と圧力』というが圧力とは何か。これまでコメを持っていくか否かしか選択肢がなかった。改正外為法と合わせ(この法案は)伝家の宝刀となる」と説明。「民主党内にも賛成の意見があり、成立できると思う」と法制化に自信を見せた。今後は条文化の作業に移るが、同会メンバーの小林温氏(参院神奈川選挙区)は「今国会で二つの外交カードをそろえるのが、われわれの目標。仮にカードを切る際には感情論に流されず、冷静に考える必要は当然ある」と指摘した。
一方、公明党も同日、北朝鮮問題対策本部などの合同会議を国会で開催し、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長から、先の日朝高官協議の報告を受けた。船舶入港禁止法案には積極、慎重の両論が出たという。
党北朝鮮問題対策本部事務局長の上田勇氏(衆院神奈川6区)は終了後、「個人的には改正外為法が成立したばかりだから、あらゆる角度の情報を分析しながら、もう少し推移を見ても良いと思う」と話した。