[2004年5月26日 朝日新聞]
(特集記事「転機の日韓」より抜粋)
若手に独自の動き
ウリ党(韓国の与党)は総選挙の4月末、当選者全員にアンケートを実施した。
「今後、私たちが最も重点を置かなければならない国は?」。130人中63%が「中国」 と答え、「米国」が26%、「日本」は3人にすぎなかった。
5月4日、自民党の小林温参院議員が森善朗・日韓議連会長の新書を携えて訪韓した。韓国政界との新しいパイプづくりがねらいだった。ウリ党首脳の一人、金槿泰(キム・グンデ)議員に面会した。 「日本の民主主義はおかしくないですか?」
金議員は、小林議員に批判を次々にぶつけた。
「米国の新保守主義と協力して北朝鮮を孤立させようとしている」「6者協議は拉致問題を議論する場ではない」。小泉首相の靖国参拝も「理解できない」とばっさり。
韓国政府のある実力者は言う。 「過去50年間が右寄り過ぎたという反動で左旋回している。『日本や米国よりも中国』『日本は視野にない』という考えが出てきて当然だ」
そこに、冷戦後の東アジアでの秩序づくりに日韓がどう協力していくかという視点は乏しい。
だが、一方で、新しい芽も育っている。
01年10月、ハンナラ党と日本の自民党の若手は「韓日未来研究会」を設立した。ソウルや東京で会合を重ねてきた。日本側は、若手外交通として知られる山本一太参院議員や河野太郎衆院議員が加わっている。教科書やFTA(自由貿易協定)、東北アジアの安全保障の問題について意見を交わしてきた。
韓国の総選挙で今回、初当選した国会議員の中に、河野氏の政策スタッフを務めた李成権氏がいた。
河野氏は「日韓議連よりも、それぞれのパイプで政治家がつきあう時代」と話す。今、李氏の知り合いの韓国人4人が、山本氏ら自民党の衆参4人の議員事務所で働く。山本氏は4月下旬、自民党の安倍幹事長と会った際、訪韓を勧めた。
「韓国政界の次世代のリーダーを紹介します」
日本外務省の幹部は「これからは若手の交流が重要になる」と認めつつも、「急激にやるとベテラン議員の反発を招く」と心配する。
日韓関係のすそ野は、貿易額や人の往来が示すように、確実に広がっている。互いの言葉の学習人口も増えた。なのに新しい関係にふさわしい政治家のネットワークづくりは出遅れている。