[金融機関は、中堅・中小企業をがっちり支えて成長支援を!]
日本銀行のホームページで、各種統計データを閲覧することができます。例えば、国内銀行の貸出金残高の推移を調べてみますと、直近(14年6月)の残高は、中堅・中小企業では、前年比10%前後のマイナスとなっており、大企業に比べて中堅・中小企業の貸出金残高の減少幅はずっと大きく、さらにはマイナスが何期も続いていることが分かります。また、短期観測調査(企業へのアンケート調査の集計)のデータを見てみますと、資金繰りについて、中堅・中小企業は大変厳しく考えており、かつ金融機関の貸出態度についても大企業とは異なり厳しく、さらに借入金利水準については、企業の規模を問わず、上昇傾向として受け止められている状況が浮き彫りになっています。
最近、金融機関は自らの競争力や営業基盤の強化を経営方針として掲げ、「リスクに見合った見返りの獲得(金利や担保などの取引条件)」を合言葉に、企業の決算書等から算出した格付を各企業に通知したり、それをもとに金利引上げ交渉を進めたりしています。この動きは、日本を代表するビッグカンパニーも、起業したてのベンチャー企業も、増収増益の優良会社も、利益を上げていない赤字企業も、これまでどの企業も借入金利に殆ど差のついていなかった金融慣行を見直していこうとするもので、一面においてはやむを得ないことかもしれません。
また、昨今、金融機関に求められているリストラや効率性追求の影響がそうした形に現れてくるのかどうかはわかりませんが、例えば「赤字決算が続いた」といった形式的な部分だけを捉えられて融資方針や取引条件がデジタルに決められていってしまっていないでしょうか。企業と金融機関がお互い共通認識を持ち納得感のある金融取引が行われているでしょうか。企業の顔が良く見える地域の金融機関こそ、企業の実情をしっかりと把握し地域経済の振興に貢献できる存在価値がここにあります。
日本経済は、これまでに経験したことのない構造変革に直面しています。その中で、日本の中堅・中小企業は、今まで通りのやり方では生き残りが困難となり、荒波の中ぎりぎりの経営努力をしています。こうした厳しい経営環境では、創意工夫や経営努力を重ねている中堅・中小企業それぞれの事業性や会社の強み・弱みといったアナログな面について腰をすえた議論や安定感のある金融取引が求められると思います。といっても、中堅・中小企業が金融機関と対等に議論できるというのは実際問題としては理想論である気がします。私自身も、零細企業の経営者として銀行との交渉に辟易した経験があります。難しい経済環境であるからこそ、特に金融機関の方々には、本当に個々の企業のためになる金融サービスにより、「企業を育て、一緒に歩む」という本来の機能を発揮してもらいたいと思います。現在、私は中小企業金融問題検討議連のメンバーとして、中小企業向け金融のあるべき姿について議論を重ねています。