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ゆたかの考え

[eガバメント視察訪米記 その1]

 9月9日から14日までeガバメント(電子政府)の視察のためワシントンDCに行ってきました。日本では、米国の先進事例がさまざまに紹介され、すべて順調に進んでいるように伝えられています。しかし、今回の訪米においては、政府レベルにおけるeガバメント構築は、まだまだ奮闘中という印象を強く受けました。近年、日本においても「E-Japanプロジェクト」を中心に電子政府への取り組みを進めていますが、越えなければならないハードルは高く、無数にありそうです。

 今回の訪米では、このeガバメント政策に早くから取り組み、先進国の一つとして位置付けされている米国で、成功の鍵は何だったのか、何が障害となったのか、そしてそれを克服するために何をしたのか、について見聞することを目的としていました。行政府、議会、そしてeガバメントを請け負う民間企業などで中心的な役割を果たしている人物と面談し、それぞれの視点から現在の米国におけるeガバメント政策を語っていただきました。
 大統領や副大統領の果たす強いリーダーシップが重要であることは多くの論者が既に強調してきています。しかし、1993年に始まったとされるeガバメントの目玉ともいえるFirstGovという連邦政府のポータルサイトが発足したのが2000年9月と、クリントン政権の末期でした。では、なぜこのように時間がかかったのかについての詳細な分析は別に譲り、今回は訪米で強く感じたことについて書いてみたいと思います。

 その第1は、eガバメント政策においては議会の果たす役割が非常に重要であるということです。
 今回の訪米でお会いした、コンラッド・バーンズ上院議員(共和党・モンタナ州)は連邦議会の中でも最もインターネット関連政策に熱心な方で、インターネット・コーカスという超党派の議員連盟で上院共和党の委員長を務めておられ、eガバメントにもさまざまに関わってこられました。彼はインターネット関連政策は党派の利害を超えた取り組みが必要と考え、eガバメント政策においては上院政府活動委員会のリーバーマン委員長(民主党)などとの協力を通じて政権がより迅速にeガバメントを実現できるような法制度の整備に努力されています。
 また、会計監査院(GAO; General Accounting Office)は議会において行政府の予算とそれに関わる政策全般について、議会の委員会からの要請を受けて個別に精査し、その予算・政策の妥当性を評価するとともに予算執行後の監査の役割を果たしています。eガバメントにおいても行政府の行政管理予算局(OMB)のまとめたeガバメント戦略ペーパーに対して、その半年後には詳細な調査を積み重ねて対案を出しています。米国の政府についてはよく言われていることですが、ここでも行政府と議会との間にチェック・アンド・バランスが機能していることを確認しました。

 今回の訪米で強く感じた第2の点は、ITに詳しく、そして権限を与えられたCIOの重要性です。米国の行政府各省庁には各省庁の長官によって指名されるCIOがおり、それらCIOを束ねているのがOMBに設置されたCIOカウンシルです。そこで議長代理と実質的なトップを務めるマーク・フォーマン氏にお会いしました。彼は、政府のITシステムについての立法を行なう上院政府活動委員会の上級スタッフ、IBMグローバル・サービス、ユニシスでの経験を買われての政治任命で、ITシステム構築関連の予算を管掌するという行政府全体のCIOの立場にあります。そのため、CIOカウンシルの議長代行としてFirstGovポータルサイトに関わる予算についても、各省庁から提出される予算案、計画が統一のとれたものかどうか、無駄がないかどうか、などにつき、精査の上、承認・不承認を決する権限を付されています。
 ところが、議会側から見ると、この権限もまだ十分ではないといいます。このCIOカウンシルの常駐スタッフは10人強で、また予算もまだまだ限られているというのです。確かに、何十万人という職員を抱える行政府全体のIT政策を統括するための人数としてはあまりにも少なすぎるという印象です。
 ここにeガバメントの歩みを遅くしている最大の障害があります。それは省庁における縦割り行政です。非常に馴染み深い単語ですが、米国でもそれが現実でした。この点については改めて触れたいと思います。