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ゆたかの考え

[確定拠出年金の今後を米国401(k)から展望する (2)]

 前回に引き続き、米国の401(k)プランの調査の経験から、日本の確定拠出年金について所感を記したいと思います。

◆税制優遇利用の公平性の確保
 前回、米国の401(k)プランでは給与の内枠から個人が拠出額を選択し、日本の確定拠出年金では給与の外枠で企業が拠出額を決定するという両国の差を取り上げました。その差のせいで、日本の企業型加入者に税制優遇枠をどれだけ利用するかの決定権がない点を指摘し、その解決策としての観点から、従業員拠出の正当性を論じさせていただきました。
一方で、個人に拠出額の選択を委ねると、金銭的に余裕があり、多額の掛金拠出が可能な高額所得者に税制優遇が偏るのではないかという懸念が生じます。そのような事態を防ぐため、米国で講じられている手立てを簡単にご紹介します。それは「非差別テスト」と呼ばれ、役員・従業員を「年収80,000ドル」または「5%以上の株式所有」を境界に「高給従業員」と「非高給従業員」にグループ分けし、両グループ間で加入資格者の人数や平均拠出率などを比較するものです。
 このように、「差別的」状況の発生を防ぐルールのもとで個人に選択の自由を認めるという米国式アプローチは、日本でも一考に値すると感じます。

◆投資教育をめぐる動き
 最近、米国の401(k)に興味深い動向がありました。それは、「投資教育」をめぐる問題です。確定拠出年金の成功のカギが「投資教育」であるという認識は、日米共通と言えます。この「投資教育」と個別論的な「投資アドバイス」の境界については、米国でたびたび議論されてきました。「投資教育」はプランスポンサー(企業)が行うべき義務とされている一方で、「投資アドバイス」はサービスプロバイダ(プラン運営に携わる金融機関で、日本の運営管理機関等に相当)がこれを提供してはならないとされているため、両者の境界は非常にデリケートな問題なのです。サービスプロバイダに投資アドバイスを禁止する目的は、自社商品への投資に誘導する危険から加入者を保護することにあります。しかし、その理念は正当であっても、加入者の現実的なニーズは、分散投資やリスクリターンの特性といった「投資教育」よりむしろ、「いま私はどの商品にポートフォリオを変更すべきか」という具体的な「投資アドバイス」にあります。この現場の声を受けて、米国では昨年12月、資産運用支援ソフトや独立した運用アドバイザーを介してなら、サービスプロバイダに投資アドバイス業務を解禁する規制緩和に踏み切りました。さらに踏み込んで、一定の情報開示(投資アドバイスからの料金収入、利益相反の可能性など)を条件に、サービスプロバイダ自身が投資アドバイスを提供できるとする法案も下院を通過しています。
 日本では目下のところ、運営管理機関や企業による個別商品の推奨を、一切禁じています。しかし、早晩、米国と同様、具体的な運用についての助言を求める声が上がってくることでしょう。まして日本では、投資経験の浅い加入者が大半を占め、ファイナンシャル・プランナー等の専門サービスの利用にもなじみが薄いため、助言サービスのアレンジに対するニーズは、米国より高いと考えられます。日本でも確定拠出年金をきっかけに、助言サービスのインフラ整備とサービス提供のルール化に関する議論が高まることを、大いに期待しております。