[第166回 参議院 本会議 2007年4月20日]
○小林温君
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案について、質問をいたします。
我が国経済は、安倍内閣が発足した昨年九月以降も引き続き順調に回復基調にあります。この回復は、安倍内閣のこれまでの取組が適切なものであり、効果を上げているものと評価をしたいと思います。
安倍総理が唱える美しい国づくりのためには、その基盤となる活力に満ちた経済が不可欠であり、そのために、持続的な成長に貢献するイノベーションの創造、生産性の向上を実現することが重要なかぎとなります。つまり、既存の経済活動に対して新しい技術を取り入れて新たな価値を生み出し、経済的、社会的に大きな変化を起こすことにより、更なる成長の原動力となることが期待されているわけであります。
また、戦後の荒廃の中から、資源を持たない日本が驚異的な経済成長を実現した我が国及び国民の才能と努力、そして潜在力を再認識することが必要であり、このためには人材、企業、地域資源など限りない可能性を引き出し、これを発展させていくことも重要な課題であります。
私は、昨年、経済産業省の大臣政務官として新経済成長戦略の策定に参画いたしました。この戦略に肉付けをし、昨年七月に経済成長戦略大綱が取りまとめられました。今国会に提案されている三法案は、イノベーションによる生産性の向上や地域経済の活性化などにより、年率二・二%以上の実質経済成長を目指す大綱の柱となるものであり、正に美しい国づくりに向けた基盤を構築するものとして早急に成立をさせ、実施に移すことが必要であると考えます。
それでは、具体的な質問に移ります。
まず、産活法などの改正は、経済成長戦略大綱の実現のための法改正という位置付けをされていますが、大綱が目標とする二・二%の実質経済成長のため、これら法案に加え、制度改正や予算、税制など、大綱の施策全般を着実に実現をしていくことが必要です。これらの施策の進捗状況について、具体的にお聞かせください。
安倍内閣の大きな政策の柱である成長戦略を実現する上では、イノベーションの創出が大きな政策課題だと思います。ここで言うイノベーションとは、単なる技術革新ではなく、創造的破壊により経済社会に大きな変革を起こし、新たな価値を生み出すもの、そしてその循環を実現していくことだと考えます。甘利大臣の考えるイノベーションによる経済成長の姿についてお聞かせください。
イノベーションの創出には、独創的な研究開発、画期的なビジネスモデルの構築が活発に行われていくことも必要です。今では世界的な大企業になった日本の家電や自動車メーカーも、創業時はベンチャースピリットにあふれた典型的な中小企業でした。我が国の産業競争力の強化のためには中小企業が引き続き重要な役割を担うこととなりますが、中小企業は残念ながら経営資源が限られており、優れたアイデアや技術があっても事業化にたどり着くまでには限界があるため、国による適切な支援が必要です。中小企業に対してどのような支援策を講じていかれるかお聞かせください。
こうした研究開発の促進とともに、それによって創出された知的財産の創造、保護、活用が重要です。特許制度は公開を前提に権利を保護することが基本となっていますが、一方で、事業戦略や先進技術に関する情報についてはできるだけ公開したくないというニーズがあるのも事実です。この知的財産の保護と活用のバランスを知財戦略の中でどのように進めるべきか、甘利大臣のお考えをお聞かせください。
今後の経済成長のためには、ベンチャー企業が果たす役割も極めて重要だと思います。我が国でもようやくベンチャー企業が様々な産業分野で活躍するようになってきました。今後は、イノベーションの担い手のベンチャー企業を政策的にどう誘導していくかが重要になっていく段階だと思います。大企業よりもベンチャー企業の方が自由な発想でビジネスに取り組むことから、市場を大きく変えるような創造的破壊を起こしやすいことは、グーグルを始めとするベンチャー企業が世界を席巻する例からも明らかです。政府として成長戦略を進める中で、ベンチャー企業が生まれ、成長し、市場を活性化していくという好循環をどのようにつくっていくお考えか伺います。
一方、挑戦にはリスクも伴います。失敗を恐れぬベンチャー精神を持った起業家が次々と生まれる土壌がベンチャー先進国には必ず存在します。ベンチャースピリットの醸成には、失敗をしてもやり直しが利く経済社会システムをつくり上げることが必要不可欠です。政府としては、再チャレンジ担当大臣を任命し、その対策に積極的に取り組まれていますが、山本大臣にイノベーションを促進する上での再チャレンジへの対応策について伺いたいと思います。
最後に、企業立地促進法案についてお伺いします。
昨日、甘利大臣の地元である綾瀬市でサントリーの新工場の竣工式があり、甘利大臣とともに参加させていただきました。この新工場は、人と自然と響き合う都市型工場をコンセプトに、工場の建設段階からクリーンエネルギーの導入や建設資材のエコ調達、排ガス対策型の建設機械の使用等、環境負荷の低減に努めています。また、敷地内の公園の一般開放や地域の美化運動などへの積極的な参加など、正に地域の人と自然が調和した工場を目指しています。
そこで、甘利経済産業大臣に伺います。
これからの企業立地を考えるに当たっては、このように地域との共生を図っていくことが重要であると思いますが、本法案においてこの点はどのように配慮されているのでしょうか。
我が国は、急激に進展する少子高齢化と労働力人口の減少、中国、インドを始めとする新興工業国の追い上げと国際競争の激化など、持続的な経済成長に立ちはだかる幾つものハードルに直面しています。こうした厳しい状況を打開し、日本国民が今後とも安全で安心で豊かな暮らしを享受していくために、今回の法案に盛り込まれた各種の施策をしっかりと実現することが急務であることを再確認させていただいて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○国務大臣(甘利明君)
小林議員の質問にお答えをさせていただきます。
まず、経済成長戦略大綱の施策の進捗状況についてお尋ねがありました。
大綱の施策といたしましては、本三法案を含めまして三十二本の法律案の国会への提出、そして百項目のアクションプラン等の策定、さらに三千九十二億円の関連予算の確保など、その具体化に向けて着実に進捗をいたしております。
次に、イノベーションによる経済成長の姿についてのお尋ねがありました。
人口減少、国際競争の激化の中で持続的な成長を達成するためには、イノベーションの創出、すなわち技術革新のみならず、広く社会のシステムや国民生活などにおいて独創的な取組を導入することで生産性を高めることが必要だと考えております。経済成長戦略大綱に盛り込まれた施策を着実に実行に移し、イノベーションによる経済成長のための環境整備に努めてまいります。
次に、中小企業によるイノベーション創出についてのお尋ねがありました。
中小企業による研究開発や新事業展開は我が国産業の競争力の源泉でありまして、従前より各種支援法等を通じまして資金面、ノウハウ面での支援を行ってきております。さらに、今回提出をしました中小企業地域資源活用促進法案によりまして、地域資源を活用した研究開発や事業化への支援を展開をしてまいります。
次に、知的財産の保護と活用のバランスについてのお尋ねであります。
企業等が持つ技術につきましては、特許権やノウハウとして適切な保護を図り、その戦略的な活用を促すことが重要であります。このために、知財戦略事例集や先使用権制度ガイドラインの普及等を通じまして企業等の戦略的な知的財産の管理、活用を促してまいります。
次に、ベンチャー企業への支援についてのお尋ねであります。
我が国経済の活性化に重要なベンチャー企業の開業や成長を支援するために、最低資本金規制の撤廃であるとかエンジェル税制の拡充、そして販路開拓支援等を行ってまいりました。今後とも挑戦する起業家を応援をし、ベンチャー企業によるイノベーションと市場の活性化を図ってまいります。
最後に、工場と地域の共生の重要性と本法案における配慮についてお尋ねがありました。
企業立地の促進に当たりましては、環境や地域住民との調和を図ることが重要であります。法律の基本方針におきましてこの点を明記する方針であります。また、自治体の基本計画におきましても、環境保全等への配慮事項を盛り込むことが必要であります。こうした枠組みで地域との共生を図ってまいります。
以上です。(拍手)
○国務大臣(山本有二君)
小林議員からイノベーションを促進する上での再チャレンジ施策についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、挑戦にはリスクが伴います。ベンチャースピリットを発揮し、イノベーションを促進していくためには、失敗しても何度でも再チャレンジができる社会を構築することが必要不可欠でございます。そのため、政府では昨年末に政府の取組を再チャレンジ支援総合プランとして取りまとめ、その中で再チャレンジする起業家に対する支援を充実させました。
具体的には、再チャレンジする起業家に対する金利優遇等を内容とする再チャレンジ支援融資制度や保証制度の創設、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資手法の促進、再チャレンジする起業家に対する専門的な相談窓口の全国的な設置等に取り組んでいくこととしております。
このように、再チャレンジする起業家への支援を充実させ、我が国経済社会に再チャレンジする機運を醸成することでイノベーションを促進していくことができるものと考えております。
以上でございます。(拍手)