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国会発言録

[第165回 参議院 経済産業委員会 2006年12月12日]

小林ゆたか写真

○小林温君

 おはようございます。自民党、小林温でございます。

 今日は、外為法の承認案件ということで、よろしくお願いいたします。

 日本と北朝鮮の間には、拉致問題、そして今回の契機ともなった核やミサイルの開発を始めとした不正常な関係が継続をしているわけでございます。今回は、十月の九日に北朝鮮の地下核実験について、平壌放送がこの実験の実施を発表して、これを受けて講じられた措置でございます。

 今回の政府のこの実験以後のいろんな動きを見ていると、国連での非難決議も含めて、国際社会の中で極めて日本政府がリードをする形で、日本の顔が見えた外交努力を行っていただいて、今回の外為法の輸入禁止措置についても極めて迅速で、こういう状況の中で日本政府も非常にしっかりとした対応ができることが国際社会にも示されましたし、国民からもそういう御理解をいただいているのでないかというふうに思うわけでございます。

 ちょっと最初に数字をお聞きしたいんですが、日朝貿易、これピーク時の貿易額は幾らで、昨年の貿易額というのはどのぐらいでしょうか。

○政府参考人(石田徹君)

 お答え申し上げます。

 日朝間の貿易額、過去最大でありました年は二〇〇一年でございまして、輸出総額が千二百九十五億円、輸入総額は二百七十四億円、合わせて千五百六十九億 円となっております。ただ、この年は北朝鮮に対する米の緊急支援の額がかなり入っておりまして、これを除きますと、貿易総額が四百四十七億円ということ で、むしろ前年より減少することになっております。

 そういう意味で、この二〇〇一年を除きますと、日朝間の貿易総額が最大となっております年というのは一九八〇年でございまして、輸出総額が八百四十九億円、輸入総額が四百十億円、貿易総額が千二百五十九億円ということになっております。

 近年、日朝間の貿易は減少傾向にございまして、二〇〇五年、昨年につきましては、輸出総額が六十八・八億円、輸入総額が百四十五・四億円、貿易総額とし て二百十四億二千万円ということになっております。二〇〇〇年の貿易総額約五百億円に比べますと五七・一%の減少という状況でございます。

○小林温君

 一九八〇年が数字が一番大きくて、二〇〇五年と比べると六倍以上、六分の一になっているということだと思います。

 これは、我が国の強い北朝鮮に対する姿勢の結果、こうして貿易量が実質的に減ってきたんだろうというふうに思います。一方で、中国や韓国との北朝鮮の貿易量の推移を見ると、例えば同じその五年間で、例えば中国の場合は二倍以上になっておりますし、韓国も二・五倍ぐらいに増えているわけでございます。

 財務省が委嘱をした研究会のレポートを読ませていただくと、例えば中国に関して言えば、日朝関係の悪化に伴って対日輸出の減少した北朝鮮から日本に対する輸出、魚介類や繊維製品が北朝鮮の対中輸出の主要品目となっていて、これらの品目が中国の保税区を経由して日本に輸出されているということもこれは十分に考え得るというふうに指摘をしているわけでございます。

 今回も、この北朝鮮からの輸入禁止措置の実効性を高めるためには、中国や韓国からの経由した迂回輸入を効果的に防止をする必要があるというふうに私は思うわけでございますが、この北朝鮮からの迂回輸入に対して経済産業省としてはどういう対策を取られておりますでしょうか。

○政府参考人(石田徹君)

 正に先生御指摘のように、今般、我が国独自の措置として講じましたこの輸入禁止措置でございますが、実効性を高める観点からは、近隣諸国を迂回した輸入を防止することは極めて重要であると考えております。

 政府全体といたしましても、去る十月二十日に内閣官房に北朝鮮貨物の迂回輸入の防止に係る関係省庁会議というものを設置いたしまして、関係省庁間の連携の強化を図りながら対応しているところでございます。

 経済産業省といたしましては、迂回輸入を隠ぺいするための原産地の虚偽表示につきまして、外為法の未承認輸入でありますとか、あるいは不正競争防止法の不正競争行為として厳しく取り締まるべく関係省庁と連携しながら厳正に対応しているところでございます。さらに、こうした迂回輸入への適切な対処をすべく、第三国からの輸入が急増していないかどうかをよく監視をいたしまして、急増しているような場合には、輸入業者からの報告を求めて、その原産地の確認等をきちっとやっていきたいということで現在対応しているところでございます。

○小林温君

 同じ趣旨の質問でございますが、これ、税関においてはどのように対応されているんでしょうか。財務省にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(森川卓也君)

 お答えいたします。

 本年の十月十四日から実施されております北朝鮮に対する輸入禁止措置を受けまして、税関におきましては、迂回輸入を防止する観点から、中国等の周辺諸国からの輸入申告があった場合に、北朝鮮からの主要な輸入品でありました水産物等、これはアサリ、マツタケ等十六品目でございますが、これらのすべてにつきまして原産地証明書の提出を求めることとしたところでございます。この措置につきましては、中国等の税関当局、それから原産地証明書の発給機関等に対しまして連絡を行いまして、現に協力を得ているということでございます。

 また、それだけではなくて、過去、北朝鮮からの輸入実績等を踏まえまして、北朝鮮からの輸入が多かった品目全般につきまして、関係書類に基づく慎重な審査、それから貨物、そのこん包材に付されました表記の確認等によりまして貨物の原産地を一層厳正に確認することといたしているところでございます。

 今後とも、経済産業省等の関係省庁と密接な連携を図りつつ、周辺諸国からの輸入貨物に対する厳正な審査、検査を実施いたしまして、北朝鮮に対する輸入禁止措置の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。

○小林温君

 是非、この迂回輸入をしっかりとストップするということが今回の措置の効果を上げることにもつながると思いますので、関係各省庁で連携を密に取っていただきたいというふうに思います。

 一方で、私、一昨年、下関に行きまして、北朝鮮の船がアサリを積んで来る現場を視察をさせていただきました。一方で九州では、例えば北朝鮮なり中国から入ってきたアサリを一度海にまいて、もう一度引き揚げるとこれが国産に化けるなんていうことも報道されたり、実質そういうことがあるなんていうことも言われておりますし、テレビなどを見ていますと、中朝国境で山のようにマツタケを積んだり農産物を積んだトラックが行き来をして、それが中国で中国産に化けて日本に輸入をされていると。これは日本向けだなんていう場面もよく出てくるわけでございます。

 今お伺いをした経産省、それから財務省、それぞれのお取組がもちろんあるとは思いますが、マツタケ、においをかいで、これがどこの産地かと分かるものでもございませんので、ここは本当に、どういった手段が更に考え得るのかということについてもしっかりと御検討をいただきたいというふうに思いますし、やはり、もちろん中国の経済レベルが上がっているので、今まで日本向けに輸出をされ消費をされていたものが、今中国で実はマツタケ、みんな食べるようになったなんという話もあるわけですが、この貿易量の変化を日本の場合と中国、韓国の場合比べると、やはり相関関係があると判断をしてもおかしくないというふうに私は思うわけでございます。

 そこで、次は中国と北朝鮮との関係でございますが、同じ財務省のレポートによりますと、北朝鮮の投資環境が未整備であるにもかかわらず、中国企業の北朝鮮進出が活発化しているということも実は指摘をされているわけでございます。

 一つには、北朝鮮の経済再建の取組を支援しようという政治的な配慮もあるんだろうというふうに思うわけでもございますが、やはり経済制裁ということを考えたときに中国の北朝鮮に対する影響力ということを無視することはできないわけでございますので、中国が北朝鮮に対して相変わらず経済支援を続けているということについてどういう評価あるいは分析をされていますでしょうか。外務省からお伺いをしたいと思います。

○大臣政務官(浜田昌良君)

 小林委員より質問いただきまして、ありがとうございます。前国会までは私自身が逆に小林委員に質問する立場でございましたが、今回は攻守場を変えましてお答えさしていただきます。

 御質問の中国の支援又は貿易の状況でございますが、まず支援については、その規模や内容が必ずしも明らかとなっているわけではございません。しかし、従来より食糧やエネルギーといった分野を中心に一定規模の支援が行われていると。例えば、二〇〇三年にはディーゼル油一万トンの無償供与、あと、二〇〇五年には無償でガラス工場を造る等のことが行われております。一方、中朝貿易につきましては、大韓貿易投資振興公社、KOTRAの統計によりますと、二〇〇五年における北朝鮮全貿易額に占める中国の割合は三九%で、二〇〇〇年の二〇%に比べ約二倍に上昇しております。そういう意味で、北朝鮮市場における中国の影響力は高まっていると理解しております。

 一方、他国の経済政策、援助施策については、基本的に我が国として立ち入ってコメントする立場にはございませんが、北朝鮮に対する支援や北朝鮮との貿易に関しては、北朝鮮から国際社会の責任ある一員として誠意ある態度を引き出すということも念頭に置きつつ実施すると、そういうことが重要と考えております。

○小林温君

 北朝鮮が誠意ある対応を期待できる相手かどうかはまあ別といたしまして、中国というのがかなりの程度、やはり我が国からすると連携なり協力の相手として重要になってくるんだろうというふうに思うわけでございます。まあ中朝関係自体もどうも今、かつてのような関係ではないんではないかと。特に、核実験を受けて中朝間にも緊張があるのではないかということ。これから貿易の数字もどう移り変わっていくのかということも我々注視していくべきだというふうに思います。

 今の質問の続きでございますが、迂回貿易の防止はもとより、いろんな経済制裁を法律の発動やそれ以外の手段も通じて今行っているわけでございますが、これを実効性のあるものとするために、我が国は中国そして韓国に対して今後どのような連携を取っていくというふうにお考えでしょうか。これも浜田政務官にお願いします。

○大臣政務官(浜田昌良君)

 我が国といたしましては、北朝鮮から前向きな対応を引き出すためには、対話を続ける一方で、各国が安保理決議一七一八号を着実に実施し圧力を掛け続けると、これが重要と考えております。この点については中国、韓国とも議論を重ねてきておりまして、この安保理決議一七一八号を着実に実施していくことの重要性についてこれらの国との間で意見の一致を見ておるところでございます。

 さらに、六者会合は今月の十八日より再開されることとなっておりますが、政府としては北朝鮮の核放棄に向けて早期に具体的成果が得られることが重要と考えております。そのために我が国としても、中国、韓国を含めた関係国と緊密に連携しつつ、最大限努力していく所存でございます。

○小林温君

 日米は比較的足並みがそろっているというふうに思います。本来であればそこに韓国が入って、日米韓の連携で中国あるいはロシアも巻き込んでこの六者協議及び今の状況の打開に動いていくべきでございますが、なかなかそうならないのも現実だと思います。是非、外務省及び政府には、引き続きこうした連携の模索をあらゆる角度から御検討いただき、実質的な方向を示していただければというふうに思います。

 先ほど申し上げました、例えば下関にアサリを見に行きました。仮に北朝鮮から来ているとすれば、船が入ってきて、その貿易の実務にかかわる方々がいます。それから、荷揚げをする業者さんがいます。そこからトラックに載せてどこかに運んでいくそういう運送業者、関係者もいます。市場を通るか通らないかは別にして、最終的に消費者の元に届く前に魚屋さんなりスーパーなりに並ぶわけでございますが、アサリだけを取ってもかなりの数の関係者がここに介在をしているわけでございます。

 ですから、今回、この措置によっていろんなところに影響が当然出てくるわけでございます。中には北朝鮮と謀って偽装輸入も含めて行っている、そういう業者もあるんでしょうが、そうではなくて、善意の第三者で正に商売としてこうしたことを行っている方々にはその影響がなるべく行かないようにしなければいけないというふうに思いますが、この中小企業者への支援策の内容及び実績、今のところどうなっておりますでしょうか。経産省、お願いします。

○政府参考人(石毛博行君)

 お答え申し上げます。

 経済産業省は、この北朝鮮からの輸入禁止措置の発動を踏まえまして、十月の十三日の金曜日でございますけれども、全国の六百五十一か所に特別の相談窓口の設置をまず指示をいたしました。

 六百五十一か所と申しますのは、政府系の金融機関であります中小企業金融公庫に六十一か所、国民生活金融公庫に百五十二か所、商工中金に九十九か所、その他商工会議所に二百三十一か所等々でございます。それと併せまして、政府系の中小企業金融三機関のセーフティーネットの貸付け、それから信用保証協会のセーフティーネット保証、そういう支援策によって資金供給などに問題が生じないよう万全を尽くしております。

 それから、今回の措置についての中小企業対策をまとめたリーフレットを作成いたしまして、それを約二万枚でございますけれども特別相談窓口を通じて配布をして、相談に応じております。

 それから、お尋ねの実績でございますけれども、十二月十一日まででございますが、水産品輸入業者あるいは中古車、バイク、家電、そういうものの輸出業者、そういう者から融資・保証制度についての問い合わせがございまして、八十八件の相談が寄せられております。そのうち二十三件については融資などの申込みがありまして、現在までのところ七件の承諾実績となっております。

 経済産業省としましては、今後とも中小企業者の影響についてしっかり注意をして細かい対応を取っていきたいというふうに思っております。

○小林温君

 これからまた、申込みの件数、相談件数も増えてくると思いますので、そこはしっかりと万全を期していただきたいというふうに思います。

 それから、今回の輸入の規制にかかわらず、北朝鮮は武器や軍事用途にも転用可能な物品の輸出もしているということも言われているわけでございますが、我が国ではこの安全保障貿易管理はリスト規制とキャッチオール規制、二つの手段で行ってまいりました。しかし、こういう不正輸出というのは、その貿易管理の不十分な国をねらって行われるというのが容易に想像されるわけでございますが、これは是非アメリカも巻き込む形で、貿易管理体制の不十分なアジアの諸国とも連携強化をこれから図っていきたいというふうに思います。この点について御見解が経産省からいただければと思います。

○政府参考人(石田徹君)

 お答え申し上げます。

 正に御指摘のとおり、この安全保障上機微な貨物の北朝鮮への迂回輸出を防止するためにも、その貿易管理の不十分なアジアの国々への働き掛けというのは従来にも増して重要な問題になっていると考えます。

 当省といたしましては、第三国を迂回したこうした迂回輸出を防止するために、アジア諸国の輸出管理制度の導入を支援すべく、例えばアジア輸出管理セミナーを日本において毎年開催をいたしております。例えば、今年は二十二か国から七十五名の参加をいただいておりますし、アジア各国におきましても開催をしております。平成十六年以降十四回開催をしていると。

 あと、JICAの輸出管理の運用技術向上研修でありますとか、アジアの主要港、主要な港を有するシンガポール、あるいは香港との間での協力協定の締結等、正に連携を強化をいたしてきているところでございます。現に、こうした活動によりまして近年アジア諸国との連携が強化されておりまして、その成果の一例として、例えば北朝鮮へタイを経由して迂回輸出をしようとしていた貨物を香港の当局と協力をして未然にそこで押さえたというような事例も出てきております。

 正に、先生言われたようにアメリカとの関係も非常に重要だと思っておりまして、アジアにおけるそういったセミナーにアメリカ政府からも参加をいただいたりとか、その辺は協力をしながら積極的に取り組んでいきたいと思っております。

○小林温君

 甘利大臣に決意をお伺いしたいんですが、多分、この輸入禁止措置を発動した経済産業大臣ということでピョンヤンでは甘利大臣の顔が今有名になっているんじゃないかというふうに思いますが、是非、毅然とした態度で北朝鮮に対して譲歩を迫ることが必要だというふうに思います。この措置も含めて、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(甘利明君)

 北朝鮮のここのところの一連の行為、つまりミサイルを発射し、核実験を強行をしたと。拉致問題に対する誠意ある回答はないと。これは、日本の安全保障に対する脅威を増大させるということだけではなくて、北東アジアや国際社会に対する言わば挑戦であります。平和と安全への脅威であり、国際社会への挑戦であるわけであります。

 我が国といたしましては、やれることはやる、独自の制裁案件は今日こうして御承認をいただいている措置をとっているわけでありますが、あわせて、安保理決議に基づいて国際社会と協調しての措置も行うというわけであります。十八日に六者協議が開催されるということを承知をいたしておりますが、要は、北朝鮮が国際社会の要請に従って対応をきちんと取ると、国際社会に対する脅威を除去していくための当然の行為を行うということでありまして、そういうことに従って日本及び国際社会の制裁措置はフェードアウトをしていくということになると思います。

 これからも、対話と圧力、これはこの種の問題に対する共通な方途だというふうに思っております。毅然たる姿勢で引き続き取り組んでまいります。

○小林温君

 よろしくお願いいたします。

 終わります。