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国会発言録

[第162回 参議院 国際問題に関する調査会 2005年7月20日]

小林ゆたか写真

○小林温君

 今の澤先生のお話を聞いていて私も思いましたが、一九七二年にキッシンジャー・ショックというのがあって、日本は頭越しにアメリカの突然の中国政策の変更を見たわけでございます。ですから、私も、もしかすると、アメリカと中国というのはいろんな意味で手を組む要素があって、ただ、それはお互いにスーパーパワーとして存在する中で牽制をし合っている、そのはざまにいる日本が今後どういう対中国政策をつくっていくかというのは極めて重要だというふうに感じている一人でございます。

 報告書の中にも、日本に外交戦略をつくるシンクタンク的なものが必要だということが載っております。また、先日、アメリカ研究をする研究所すらないと、こういうある参考人からお話がありましたが、私は、アメリカの研究をする研究所よりも、実は中国を専門に国家戦略を組み立てるような研究所というものを我が国は今こそつくるべきだというふうに思います。というのは、特に中国は地域的にも広大でございますし人口も多い、それから人種、民族的にも多様でございますので、果たして中国の国家目標というものがどこにあるのかということを我々は、まあ我々に限らず、世界各国はつかめていないような現状だろうというふうに思うわけでございます。

 経済面においては、二〇四一年には中国はアメリカを抜いて世界一のGNPを誇る国になると、これはBRICsレポートでございますが、アメリカが二位、インドが三位、日本が四位。これを果たして受け入れるかどうかは別にしても、経済発展というものはある程度予測ができるわけでございます。中国は、少なくともサミットの参加国には、この少なくとも二十年、三十年のうちにはなるわけでございます。

 安全保障の面でいうと、中国はアジアでは、この東アジアでは唯一核を保有している国でございます。国際政治においては、国連の安全保障理事会の常任理事国として拒否権を既に有している国でございます。ですから、今中国が対日本に対してこの常任理事国入りに強く反対するのは、少なくとも東アジアあるいはアジア全体を見渡した中で、国際社会のいろんな方向性を決めることができるのは中国だけだということをこれからも保持し続けたいという、こういう明確な目標があるんだろうというふうに私は思っております。

 少し話がずれますけれども、ODAのお話がございました。中国に対してのODAの評価が極めて中国国内で低いということは事実だろうと思います。一方、卒業論もございまして、中国に対するODAの供与は、まあ数年のうちにやめるということに。

 私は、ここで少し申し上げたいのは、そのODA卒業論というのも一つの理にかなった行動であるのかもしれませんが、我が国の国家による戦略的な投資としての中国に対するODAというものを私は再考してもいいのではないかというふうに思います。

 一例を申し上げますと、例えば携帯電話でありますとかコンピューターのOSでありますとか、中国は、将来的な市場としての巨大さもありますが、人口が多いということで、例えば携帯電話も、国内を三つに区切って、それぞれの地域で三つの違った方式を例えば採用させているわけですね。仮に日本のドコモの方式が採用されることになっても、将来的に中国のマーケットの中の三分の一の部分のあるシェアしか占めることができないわけでございます。例えばOSにおいても、中国とマイクロソフトは国家的なレベルでもかなりの提携を進めておりますし、リナックスについても、二種類のリナックスについて中国としての国家的な戦略を持ったスキームを組んで、これも携帯と同じように、どの方式をどの程度これから市場を開放していくかは中国政府が決めていくという、こういう戦略的なスタンスを取っているわけでございます。

 この部分に限らず、標準化であるとか国際規格であるとか、そういう分野において、我が国がこれから付加価値の高い産業構造をつくっていって競争力を上げていくためには、多分、中国のマーケットをいかにとらえるか、あるいはこれから中国の技術力が高まっていく中で、日中でヨーロッパやアメリカとの競争の中で優位性をこれから確保していくかと。これは、今の時点であれば、中国に対していろんな、ソフト面での供与、技術面での供与あるいは資金面での供与ができる分野だと思います。是非、ODAについてはこうした新しい戦略的な投資の一環としての考え方というのを採用していただきたいと思います。

 最後に、議員外交ということでございます。

 六か国協議に北朝鮮が復帰をするということが決まりましたが、中国からもあるいはアメリカからも、日本は何の働きも今回はしなかったというふうに、まあ皮肉めいたことを言われております。

 これは、日本にバーゲニングパワーがないということが一つだと思いますが、もう一つ私が考えていますのは、米韓は分かりやすいんですが、大統領制の国と我が国のように議院内閣制の国で、例えば局長級会議とか次官級会議をやる際の、その参加者が同じ権限や同じ決断の権能を与えられているかというと、違うと思います。

 つまり、大統領制の国においては、多分にそのポリティカルアポインティーで任命をされた政治的な判断のできる人間が次官であったり局長であったりという参加の形態をしているわけで、どこまで行っても、やはり日本の外務省を始め役所のトップの方が行って、その場の、ある意味でいうと交渉上手な他国の参加者との間の激論の中で我が国の主体性を発揮するというのは極めて難しいと。その一端が、今の六か国協議始めとした、そうした国際協議の中で日本が存在感を示せ得ない要因になっているというふうに思います。

 副大臣、政務官の制度もできて、本来であれば、大臣が行って、副大臣、政務官が代わりの仕事を国内で、委員会での答弁等も含めて引き受けるということでございましたが、お話をお聞きすると、なかなかそういう形になっていない。であれば、例えば大臣が行けない場合は副大臣なり政務官にどんどんこうした協議の場に出ていっていただいて、正に政治家としての判断を相手の出方も見ながらその場で行うということをやるということが必要なんではないかというふうに思います。

 議員外交については報告書の中でも触れていただいておりますが、是非この調査会としても、現実的な議員外交の推進のために、政府と議員との役割分担がどうあるべきかという、特に外交面においてということについては、これからまた議論をしていただければ有り難いというふうに思います。