[第162回 参議院 経済産業委員会 2005年5月12日]
○小林温君
おはようございます。自民党、小林温でございます。
火曜日に引き続きまして、原子力二法の審議、トップバッターを務めさせていただきたいというふうに思います。
この質問をさせていただくに当たりまして、改めて我が国の原子力政策あるいは核燃料サイクル政策についておさらいをさせていただきました。やはり我が国のエネルギー環境等を考えると、本日も議論させていただきます原子力政策というものをどういうふうに位置付けていくかということ、極めて我が国にとって重要だということを改めて実感したわけでございますが、特に本日は、この政策において国がその実効性を法律面のみならず様々な施策面においても担保していくのかどうかと、あるいは国と自治体との関係、それから国と民間との役割分担の中において国はどういう覚悟を持って責任を果たしていくのかと、こういうことについてこれから順次質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、クリアランス制度について、経済産業省と環境省に見解を伺っていきたいというふうに思います。
我が国では、先ほども申し上げましたが、供給の安定性、温暖化問題への対応などの観点から、安全確保というものを前提に原子力発電を基幹電源として位置付けてまいりました。そういう流れの中で、今回の法改正においてクリアランス制度を導入する意義というものについて、改めてお伺いをしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君)
おはようございます。
済みません。不摂生のために声が。おわびをいたします。
このクリアランス制度は、御案内のとおり、国際的なクリアランスレベルを用いまして、原子力施設から出る廃棄物を放射性廃棄物と、それからもう一つは放射性廃棄物の取扱いの必要のないものに区分しようというものでございます。その結果、原子力の活用の結果出てまいりました廃棄物を有効的かつ合理的に処理・処分をする、もう一つは資源の活用をしようと、こういう大きな意義がございまして、注目をされているところでございます。
結果におきまして、処分費用の軽減など経済的な効果があるわけではございますが、それは当初の目標ではございませんで、むしろ、これから出てまいります経年炉等の廃棄に当たりましてもより一層事業が進捗するように、この制度は有効に活用するものと信じてやまない次第でございます。
なお難しい問題がございますので、国民の理解を一層深めるように、あらゆる場をとらまえて努力してまいることを申し上げたいと存じております。
○小林温君
副大臣、お仕事に熱心な余り声が出ないようでございますが、大変申し訳ございません。
今副大臣の方から、原子力施設から出てくる廃棄物について科学的、合理的に扱う、あるいは循環型社会形成、こういう要請からもこのクリアランス制度を導入する一つの要請があると、こういうお話もございました。平成十年の三月に東海発電所が運転を停止して十三年からは解体工事に着手しているわけで、正にこのクリアランス制度の創設というものは、これからさらに順次出てまいります廃棄物、放射性廃棄物あるいはそれ以外の廃棄物をどう扱うかということにとって大変重要な制度で、正に今回、法制度をしていただくということは極めてタイムリーだというふうに評価をさせていただきたいというふうに思います。
そこで、このクリアランスをされた廃棄物の処理については、経済産業省それから環境省、そして都道府県のその三者の緊密な連携の下に行われるべきものであると私は承知をしているわけでございますが、この際、経済産業省と環境省、それぞれの役割分担というものをどのようにお考えでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。
まず、経済産業省の方から。
○政府参考人(松永和夫君)
お答え申し上げます。
ただいま保坂副大臣から答弁されましたとおり、クリアランス制度におきましては、クリアランスレベル以下であることが確認をされたものが廃棄をされる場合には、環境省が所管をしております廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃掃法に規定をする産業廃棄物となります。この段階では、廃棄物行政を具体的に担っております地方自治体の理解と協力を得るとともに、クリアランスされたものが産業廃棄物処理業者に円滑に引き取られて処分をされるということがクリアランス制度の円滑な運用に向けまして必要不可欠なことであるというふうに理解をしております。
したがいまして、経済産業省におきましては、自らこうした制度につきまして理解促進活動を行うことに加えまして、廃棄物行政を所管をいたします環境省と連携をいたしまして、廃棄物処理業者及び地方自治体に対しましてクリアランス制度についての理解と円滑な処分への協力を求めるなどの取組が重要であると理解をしております。
このため、法案におきましては具体的にこのための幾つかの規定が置かれているわけでございます。御紹介いたしますと、一つは、環境大臣がこうしたクリアランス制度の運用について意見が述べることができるようにしたこと、二番目に、主務大臣が測定・評価の認可あるいは測定結果の確認につきまして環境大臣に連絡をするという規定、三番目は、主務大臣が環境大臣に協力を求めることができることと、こうした規定を整備をしたところでございます。
こうした改正法案が成立をいたしました、成立をさせていただきました後も、環境省と私ども経済産業省は密接な連携を図りながら、クリアランス制度につきまして地方自治体や産業廃棄物処理業者等の理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小林温君
同じ質問を環境省からお願いいたします。
○政府参考人(寺田達志君)
お答えいたします。
ただいま経済産業省の方からお答えがございましたように、本制度におきましては、クリアランスの確認を受けたものにつきましてはいわゆる産業廃棄物ということで、私どもの所管しております廃掃法における対処ということになってくるわけでございます。産業廃棄物の適正処理を確保するという観点で廃掃法では様々な規定が置かれておりますけれども、さらにこれに加えまして、先ほど経済産業省からお答えがありましたように、本法案におきましても、このクリアランス制度の各般の段階において環境大臣が関与し、様々な連絡を経済産業省からいただきまして、この処理に遺憾なきを期すという仕組みになっているところでございます。
また同時に、環境省としての役割でございますけれども、廃掃法上はかなり具体的なお仕事が廃棄物処理業者ないし都道府県というところにございますので、そうした廃掃法を担う皆様に対しまして本制度の適正な運用趣旨等を徹底し、この制度の運用に遺憾なきを期すという、そういう立場での役割もあるものと考えておるところでございます。
○小林温君
是非、環境省さんと経産省さんの連携、密接にしていただいて、実効性が上がるように御努力をお願いをしたいと思います。
そこで、今、産業廃棄物の問題についても御言及がございました。この廃棄物行政については、都道府県、自治体、それから地域住民、それから廃棄物の事業者が複雑に関係をしているために、現在でもいろんな問題が全国各地で生じているというふうに私は承知をしております。
一般に、廃棄物に関する行政としての方針、許認可等は都道府県にこれはゆだねられているというふうに思いますが、この新しいクリアランス制度の中でいわゆるクリアランスされた廃棄物の処理については、これは原子力にかかわる問題でもございますので、都道府県が例えば廃棄物の受入れを拒否するなど、今進めている国の原子力政策と都道府県のいわゆる廃棄物の政策とが方向性が必ずしも一致しないという事態が生じる可能性があるのじゃないかと、私はこういう懸念を持つわけでございますが、この点について、制度の実効性というものはこの法律の整備も含めて法律上担保をされているんでしょうか。この点について、経済産業省、そして環境省さんからお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君)
お答え申し上げます。
クリアランスされましたものが廃棄物処理業者に円滑に引き取られて処分されるためには、廃棄物行政を所管する環境省と連携をいたしまして、都道府県や廃棄物処理業者に対しまして、このクリアランス制度に対する理解、あるいは円滑な処分への協力を求める、こうした取組が重要でございます。
委員御指摘のようなそうした懸念もあり得ますので、このため、法案におきましては第七十二条の二の二に環境大臣との関係を規定しておりまして、主務大臣が環境大臣に対しましてクリアランスされたものの円滑な処理に向けて必要な協力を求めることができるような枠組みを設けている次第でございます。
こうした法整備上の対応はなされておりますけれども、先ほどお答え申しましたとおり、基本的なことは、クリアランス制度に対する十分な理解と信頼が得られるように、きちっとした説明、これに最大限努力を傾注することにあるのではないかというふうに考えておりまして、今後とも環境省と連携を図りながら、産業廃棄物処理行政を担当する都道府県、あるいは産業廃棄物処理業者に対しまして、十分な理解と信頼が得られるように引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(寺田達志君)
お答え申し上げます。
確かに、ただいま委員御指摘のとおり、産業廃棄物行政におきましては大規模不法投棄事件等ございまして、いろいろと国民の方々に御心配をちょうだいしているということは事実でございます。こうした事態を踏まえまして、実はこの三年間、廃掃法の改正というのを繰り返してまいりました。その中で出てきましたのが国の関与の拡大ということでございまして、現時点におきましては、産廃行政の中で従来都道府県に任せられておりました例えば産廃業者への立入調査等々も国ができるというようなことになっております。
また同時に、既に今国会におきまして成立させていただきましたけれども、環境省設置法の改正ということを行いまして、環境省の地方機関としての地方環境事務所というものを設置し、そこに環境大臣の権限をゆだねまして、しっかり現場での廃棄物行政の管理監督をするという仕組みも成立させていただいたところでございます。
こうしたものを活用いたしまして、正に原子力行政でございますので、国の責任をしっかり踏まえまして、環境省といたしましても、地元住民の方々あるいは都道府県その他と協力いたしまして、しっかりとした管理監督、国民に安心していただけるこの制度の円滑な施行ということに努力してまいりたいと考えているところでございます。
○小林温君
これまでも、各種法律の改正も含めて、今回の制度が法律上担保されるような仕組みをつくっていただいているということは承知をさせていただきました。
ただ、このクリアランス制度というものが象徴的なのは、産業廃棄物をめぐる問題、一つには。それから、原子力発電まで、あるいはその立地をめぐる問題ででも、現在でも発生をしている国と自治体の権限の在り方について、重なった二重の意味を持つものだというふうに思います。そして、今法律上は担保されているということを確認をさせていただきましたが、だからといってその実効性が確保できるものではないということも様々な事例を見ても明らかであるというふうに思います。
衆議院の方でも、福島の原発のことについて保安院で検査が終了したにもかかわらず、例えば県がその運転の再開を許可しないというようなことも質問もあったかというふうに思いますが、三位一体の改革など地方分権というものが大きく進んでいく中で、国が国策として責任と権限を持って進めるべき政策について国と自治体との関係をどういうふうに定義していくかと、これは極めて重要な問題であろうというふうに思います。我々もこうして今回その法律を審議をさせていただいて仮に成立をしたとすれば、その実効性が果たしてどうなのかということが問われるわけでもございますので、是非その実効性の部分についてしっかりとした努力を傾注をしていただきたいというふうに思います。
後ほど再処理政策の議論でもさせていただこうと思いますけれども、例えばその全量再処理のシナリオというものを選択した一つの要因というのも、例えば直接処分ということを実際に考えた場合に、その処分場所をどこにするのかと、本当にそういう受入れの自治体があるのかということがそういうことを決める一つの要因にもなったというふうにも聞いております。是非この実効性の確保のために、国それから都道府県、そして特に住民の皆さんの理解と合意の下で制度の運用が図られる、そういうために、環境省さん、それから経済産業省さんで具体的にどのように対応をされるのか。私は万全の取組を行っていただくべきだと思いますが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君)
お答え申し上げます。
今御指摘のとおり、クリアランス制度につきまして、国民、住民、あるいは地域社会の皆様に十分な理解をいただくために、私ども最大限努力するということが極めて重要であるというふうに考えております。このため、具体的には、審議会での検討あるいは私どもが法律案を準備する過程から、こうした活動を環境省ともあるいは都道府県とも連絡を図りながら進めてまいってきたところでございます。
具体的に申し上げますと、昨年の六月から七月にかけまして、今回の法律案のベースになりました審議会での検討状況につきましてパブリックコメントを求めましたけれども、その際に、夏、東京と大阪に一般的に公開をされておりますシンポジウムを開催いたしまして、直接住民、国民の方に御説明をし、また意見をいただくというような活動をしてまいりました。また、今年に入りましてから更に、一月から二月にかけまして、全国主要八か所での説明会を開催をしたところでございます。また、具体的に、産業廃棄物行政に現場で携わっておられます都道府県の職員の方にもいろんな形でお集まりをいただきまして、また私どもからお伺いをさせていただきまして、今回の制度の内容あるいは安全性の観点から何ら問題がないということについての御説明もさせていただいたところでございます。
今後も、繰り返しになりますけれども、環境省とも引き続き密接な連携を図りながら、正確な情報提供と地域の皆様に対する理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(寺田達志君)
お答え申し上げます。
制度設計の細部はこれからということになろうかと存じますけれども、環境省といたしましては、このクリアランス制度につきまして、個別のクリアランスが行われた際には逐次連絡を経済産業省からいただくことになっておりますので、そうした情報も地域住民、都道府県等に提供しながら、この制度の円滑な運用に資してまいりたいと考えております。
また、具体的な話になってしまいますけれども、具体的な産業廃棄物の処理施設等におけます例えば調査をどうしたらいいのか、どういうことをしたらいいのか等々につきましてのマニュアルの策定等なども心掛けまして、経済産業省と連携しながらこの制度の円滑な運用を図ってまいりたいと考えております。
○小林温君
是非、都道府県、そして住民との合意をもってこのクリアランス制度というものが定着をしていくように、万全のお取り組みを両省にはお願いをしたいというふうに思います。
続きまして、バックエンド法についての質問に移らせていただきます。
今、クリアランス制度では国と自治体との関係について議論をさせていただいたわけでございますが、ここで改めて官民の役割分担、特に国の役割と責任の在り方について見解を伺っていきたいというふうに思います。
と申しますのは、これは先日のこの委員会での議論でも幾つか論点が出てまいりましたが、国の役割と責任が果たしてどこまで明確なのかということが、この法案あるいは今の原子力政策全般でやはり確認をしていくべき事項だというふうに私は感じております。
例えば、高レベルの放射性廃棄物や使用済燃料の処分については、海外では国やあるいは国が深く関与した組織が担当しているところが多いわけでございます。再処理のことを考えましても、その処理量あるいは実績等を考えると、イギリスやフランスというのはある意味でいうと日本が今後モデルとしていくべき国々だともとらえることができるわけですが、このイギリスやフランスでも国に近い機関がこうした事業を担当をしているわけでございます。一方、我が国では、原子力長計において原子力に関する国の役割というものはこれはしっかりと明記をされているわけでございますが、今回法案になっておりますバックエンド事業あるいは核燃サイクル事業の実施責任は、これは民間にゆだねられているわけでございます。
そういう意味において、現在進めております再処理事業では、特にこの法案の関係する部分において民間が多くの部分を担うスキームになっている。こういう点も含めて、改めてバックエンド事業に関する国の役割と責任について経済産業省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(中川昭一君)
おはようございます。
まず、小林委員の御質問の大前提として、エネルギー政策というものは、もちろん国の産業活動、生活の根幹を成すものでございますから、国が責任を持つということでございます。ただ、エネルギー事業一般は、これは民間がやっているわけでございますし、また自由化という一つの時代の流れもあるわけでございます。
原子力というものは、日本の場合には平和利用、つまりエネルギーの重要な一部分として位置付けているわけでございますから、そういう意味で、原子力エネルギーという部分はエネルギー政策の一環としての位置付けということになるわけで、今申し上げたような大枠の中に入ってくるんだろうと思います。ただ、原子力ということになりますと、特別の、また国民的ないろいろな御理解も必要でございますし、とりわけ国としても特別の位置付けをしてきているわけでございます。そういう意味で、国としての関与度といいましょうか、責任の重さというものは他の基幹エネルギーに比べて大きいというふうに考えなければいけないし、そういう行政をやっているわけでございます。
原子力エネルギーについては、今御指摘がありましたように、一つのサイクル事業としての位置付けというものもあるわけでございますから、フロントエンドにつきましては、一義的に国の最終責任、あるいは基本的な計画や指導等を前提としながらやっているわけでございますけれども、御指摘のバックエンド、再処理とかあるいは中間貯蔵とか最終処分とかいった問題について、今諸外国ではこういう例があるじゃないかという御指摘がございましたけれども、これも含めて日本の場合には御指摘のように民間が主体になっておりますけれども、しかし、先ほど申し上げたように、エネルギーとしての位置付け、とりわけこの原子力エネルギー、そしてサイクルということになりますと、国としての最終責任の重さといいましょうか、程度といいましょうか、これはやっぱりおのずから次元の違うものになってきておりますので、そういう意味で、いろいろな基本方針でありますとか、あるいはまたチェック度とか、いろいろな意味で国としての関与度、あるいはまた責任というものの大きさはおのずから違ってくるわけでございます。
いずれにいたしましても、地元、国民の御理解をいただきながら、この原子力エネルギー政策、あるいはまた最終処分等を含めましたサイクル政策につきましては、国の大きな責任と、また計画等基本的なきちっとした方針を立てた上で事業者も責任を持ってやっていただくということで、広い意味では一体でございますけれども、そういう前提の下で役割分担をしているというのが日本の政策でございます。
○小林温君
大臣の方から、ほかの基幹エネルギーに比べても原子力においては責任の重さというものをしっかりと自覚をされておるという御答弁をいただきました。私、やっぱりこういう国の関与があってしかるべきだというふうに思うわけでございます。
と申しますのは、例えば、今法務委員会の方では会社法の審議が行われております。民間の会社の寿命というのは、実はどんどんどんどん短くなっているというのが今の趨勢ではないかというふうに私はとらえているわけでございます。ですから、今回、国と民間とが一体となってこの事業を行うときに、私は、本当に民間企業というものが、今回は各電力会社も事業に参加をしますし、それから日本原燃始めとした共同事業体も参加するわけでございますが、当てになるのかと、特に超長期の事業の中でという懸念も持っているわけでございます。
今回のこのバックエンド法の前提は、四十年間六ケ所の再処理工場が順調に稼働するということになっております。今ほど述べましたような、民間の会社のある意味でいうと安定性みたいなことも考えますと、果たして我が国のエネルギー政策の根幹をこの四十年の間、しっかりと今の枠組みで担保できるのかなという不安も実は私は持つわけでございます。
ですから、私が国にお願いしたいのは、この超長期にわたる事業の中で様々なリスクが私は発生する可能性はあると思います。そのリスクというのは予見可能なものからそうでないものまで、例えば、これも議論に出ておりますが、国際情勢が変化をした場合どう対応するのか、あるいはウラン資源の確保が困難になるような事態が発生した場合にはどうするのか。こういう、例えば現在の核燃サイクルあるいは再処理事業のシナリオ自体大きく変更せざるを得なくなるような事態も私は一応そのリスクとしては織り込んでいくべきだと、織り込んでおくべきだというふうに思うわけでございますが、こうした予見不可能な部分も含めてこの法律が前提としている状況が変わった場合にはどのような対応を経済産業省としては取られる用意があるのか、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君)
御指摘のとおり、いわゆる民間企業自体は世の中のスピード化の中でどんどんとそれに対応するためにいろいろ変化をしたり、あるいはまた、今御指摘のあった会社法の現代化等の法整備も必要になってきているわけであります。
他方、エネルギー政策というのは、ある意味では中長期的なもので、例えば二〇一〇年がどうだとか二〇三〇年がどうだとかいう計画というものも、私は国としては必要なものだろうと、そういうものがやっぱり国民のいろいろな活動をする上で国としてやるべき責務だろうというふうに思っております。
したがいまして、前回も三百年どうなるんだとか、御指摘のように、今回の再処理は四十年というものを見据えてやっているわけでございますけれども、これも核燃料物質の性格からいって、あるいはまたエネルギー政策からいって、そういう中期的あるいは超長期的なものを前提とした政策、したがってその根幹になる法律というものが必要になってきて、今御審議をいただいているところでございます。
他方、世の中何が起こるか分からない。今御指摘のように、事業者と直接関係のない、あるいは日本と直接関係のない大幅な事態、大規模なというか重大な事態が発生した場合にどうなるのか。それによって政策あるいはまた根幹の法律がどうなるのかということに対応することはどうなのかという御指摘でございますけれども、基本的にはこの法律はある程度の予見性を持って二法を御審議をいただいているところでございますけれども、それを超えるような、想像をはるかに超えるような重大な、国際的な、あるいは予測できないような事態が発生することによってこの法律の趣旨というものが機能しなくなる、あるいはまた変更しなければならない必然性が出てくるということになれば、そこはこの法律ありきではなくて、あくまでもエネルギー政策あるいは核燃サイクルの安全性と安定性を前提として、これはもう対応していかなければいけないというふうに考えております。
○小林温君
今、前提条件を揺るがすような事態の発生があった場合には、そういう取組を行っていただけるというお話だったと思います。
ちょうど先週でございますが、ニューヨークでNPTの再検討会議がございました。IAEA体制やNPTについて議論が行われたわけでございますが、我が国は非核保有国で唯一濃縮再処理施設を持つ国でございます。これは厳しいIAEAのチェックを経て核の平和利用に徹しているという信頼を、ある意味でいうと、先人の長い間の努力によって言わばかち得たものだと私は理解をしているわけでございますが、この中でIAEAのエルバラダイ事務局長が、ウラン濃縮再処理施設の凍結論、あるいは国際的な核管理構想について言及をされたという報道がございます。
今日、外務省さんにもおいでをいただいておりますので、この議論に対する外務省の見解及び対応をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(天野之弥君)
お答えいたします。
五月二日、エルバラダイIAEA事務局長は、NPT運用検討会議におきまして、国連ハイレベル委員会に言及しつつ、新たな核燃料サイクル施設に関する自発的な時限付のモラトリアムについて言及いたしました。
この新たな核燃料サイクル施設に関する自発的な期限付のモラトリアムについて、一般論として申し上げれば、我が国が国際社会の信頼を得て行っている核燃料サイクル活動を含めまして、原子力の平和利用を阻害する可能性があり、適切なアプローチではないと考えております。
また、核燃料サイクルへの多国間の取組につきまして、エルバラダイ事務局長の下に設置された国際専門家グループが今年の二月に報告書を提出、公表して、五つの取組について検討することを提案しております。
これらの取組について今後どう取り扱うかということはまだ決まっておりませんが、一般論として申し上げますと、国際的な不拡散体制の強化に具体的にどう貢献するのか、またNPTの義務を誠実に履行し、高い透明性を持って国際社会の信頼を得て原子力の平和活動を行っている国の活動を不必要に制限することにならないのかといったような点につきまして、十分な議論を行っていく必要があるというふうに考えております。
○小林温君
正に今もお話がありましたが、核の平和利用というものを推進している我が国、実は隣には今核の保有で国際的に大変な注目を集めている国もあるわけでございますが、この立場というものをやはりこれからしっかりと守っていただきたいというふうに思うわけです。
特に、そのウラン濃縮再処理施設の凍結論というものは、このバックエンド法も含めて、今後の我が国のエネルギー政策に対しても大きな影響を持つかと思いますが、今の外務省の見解について大臣のコメントをいただくと同時に、経済産業省としてはこの原子力の平和利用の中で再処理の推進を更に進めるということについての決意も併せてお伺いをできればと思います。
○国務大臣(中川昭一君)
エネルギー政策として、先ほど申し上げましたように、原子力エネルギーは基幹エネルギーである、そしてまた使用済燃料は再処理をして有効に使っていく。
その大前提には、まず平和利用という目的があって、安全があって、国民の理解があってということで、当委員会を始め国会の御指導もいろいろいただきながら、先輩たちから懸命の努力でやってきたところでございまして、その結果として、IAEA上の統合保障措置というんでしょうか、特別のといいましょうか、平和利用についての信用というものを与えられているわけでございまして、それを今回、今御指摘のような隣のとんでもない国が、何をやっているのかよく分かりませんけれども、ああいうこととか、あるいはまた、いろいろな国でそういう疑惑があるとかないとかということによってのみでこのエルバラダイ事務局長の案なるものが出てきたとするならば、そして、それは日本なり平和利用を目指そうとしている国に対して影響を与えるということは、むしろ平和利用促進へのインセンティブを失うものというふうに考えておりまして、結論的には外務省と同じでございまして、政府として一体となってこの問題には、決してIAEAの目的にも合致するものではない、日本のもちろん今までの努力、今後の努力にも影響を与えかねないものとして、我々としては、今の段階ではあくまでも正式のものではございませんから、こういうことにならないように我々としても努力をしていきたいというふうに思っております。
○小林温君
今大臣から力強い御決意をお伺いをいたしました。やっぱり唯一の被爆国として核の平和利用を進めていくと、そのことを通じてある意味では地域の安定あるいは世界平和へ貢献していくと、これが一つの日本の進むべき方向性であると私は確信をしておりますし、今御決意をいただいた方向に向けて是非また御努力をお願いをしたいと思います。
そこで、またリスクへの対応について議論を戻したいというふうに思いますが、一つには、資金管理法人が運用する積立金についてでございます。最大三・五兆円ぐらいの残高になるというふうに承知をしておりますが、これ、どの程度の利率での運用を目指して、運用益はどの程度発生することが見込まれているんでしょうか。とともに、六ケ所の工場も稼働を始めます。ただ、これもトラブルが仮に発生をして稼働率の低下等が起こることも、これもまたリスクとして織り込んでおくべきことだと思います。この例えば稼働率が大幅に低下して想定していた額以上の積立てが必要になった場合、こういう場合にはどういう対応をお考えであるか、経済産業省の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(安達健祐君)
御説明申し上げます。
再処理等積立金は極めて長期にわたる核燃料サイクル事業に備えるものでございまして、多くの運用益を得るというよりは、長期間にわたり安全かつ確実に管理されることが何よりも重要であると認識してございます。このため、積立金の資金運用につきましては、国債その他経済産業大臣が指定する安全な有価証券の保有等で行うことを基本としてございます。
具体的な運用利回りにつきましては、当該積立金の運用は極めて長期にわたりますので具体的な数字としてなかなか申し上げることは困難でございますが、ちなみにこの運用の中心となることが想定されます十年物、十年国債の利回りについて申し上げますと、平成十二年から平成十六年までの間の平均の五年間の利回りは約一・四%となってございます。
次に、稼働率の低下などの場合にどう対処するのかというお尋ねでございますが、再処理等に要する費用につきましては、昨年取りまとめられた総合資源エネルギー調査会電気事業分科会中間報告においても、将来、技術開発の進展、事業実施の不確定性等によりまして費用の変動があり得るものとして示されてございます。当初予定、想定したものと比べてある程度上下に変動することは当然あり得ることと考えてございます。想定と比べて増減した場合におきましては、基本的に必要な費用が過不足なく積み立てられるよう、経済産業大臣が本法律案に基づいて積立額を算定し通知することとなってございます。
このような中で、積立額に大きな影響があるような状況の変化が生じた場合には、あらかじめ審議会の意見なども聞き、変化が生じた原因等もよく吟味しつつ、適切に積立額が算定されるよう努めていく所存でございます。
○小林温君
金利も含めて、いろんな環境変化もこれからまたあるかと思います。そういったことも織り込んだ形のリスクのヘッジというものを是非お願いをしていきたいというふうに思います。
先日、大変痛ましいJR西日本の脱線事故がございました。まだ最終報告が出ておりませんが、稼働率を向上させようという企業の論理がああいった事故を招いたのではないかという、こういう見方もあるわけでございます。
今回のバックエンド法の中で議論をさせていただいている再処理事業でございますが、国がしっかりと指導監督をして安全性を確保するということが大前提であろうというふうに思います。しかし一方で、先ほど来議論させていただいておりますように、民間にかなりの部分をゆだねるということになるわけでございまして、正にこの再処理事業を稼働させるということ、安全運転の思想というものが必要であろうと私は思うわけでございます。
先ほど来、様々なリスク発生の可能性について議論をさせていただきました。例えば、明らかにこれは民間に責任があるというものについてはその責をしっかりと問うていくべきものだというふうに思いますが、先ほど来議論させていただいているような、想定できる、あるいはできないものも含めて、民間にその責任をすべて押し付けることができないような事由でも、この再処理事業に大きな影響を与えるような事態が発生する可能性もあると思います。
こういう状況に至った際には、やはり国としてその責任を十分に示す必要があろうと思いますし、仮に民間に大きな影響が及ぶような場合には柔軟な対応も是非国としてすべきだというふうに私は考えますが、この点については経済産業省さんとしてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(小平信因君)
ただいま御指摘がございましたとおり、再処理を含みます原子力の推進は安全の確保ということが大前提でございまして、当省といたしましても再処理事業が安全に行われていきますように万全を期していきたいと考えております。
バックエンド事業に関しましては、制度、措置の検討が行われました総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の中間報告、これは平成十六年の八月に作られたものでございますけれども、これで指摘をされておりますとおり、民間事業として行われます事業に付随いたします責任はこれを行う事業者に帰属することが基本でございまして、これはその重要な一部を成します再処理事業についても同様であると考えております。
しかしながら、今お話ございましたような国際的な理由など、通常の事業活動とは別次元の要因等によりまして、事業者が事業継続の意思に反しまして事業を停止せざるを得ないような場合には、それによって生じます不利益をすべて事業者に負担していただくということは不適当な場合があるわけでございます。そうした場合の対応につきましては、その背景あるいは原因が何であるかということの議論なしに責任関係を整理することはなかなか難しゅうございますので、実際問題といたしましては、その時点で具体的な事情に即した議論を行いまして、それに基づいて国と民間がどのように責任を負い、あるいは負担をしていくのかにつきまして適切に対応をすべきものであるというふうに考えております。
○小林温君
国を取り巻く環境もこれからまた大きく変わるんだろうと思います。あるいは経済社会を取り巻く環境も同様だろうと思います。まあ超長期の事業でございますので、その時代状況に適応した官民の役割分担、その中での国の責任の在り方ということについては絶えず問い掛けをしていただきたいということをお願いを申し上げます。
時間も残りわずかになりました。最後の質問にさせていただきますが、一時、脱原発ということが言われたわけでもございますが、国際的に見ると、例えば最近アメリカでは、新規の原子力発電所の建設あるいは新たにMOX燃料を加工し利用するような動きも出てくるなど、原子力をもう一度見直して新たにその政策を推進しようという、そういう動きも見られるようになってまいりました。このような国際的な動向をどのように認識をしておられるか。また、この動向を踏まえた上で、我が国の原子力政策を今後どのように位置付けていくか、経済産業省としての御決意をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(平田耕一君)
米国、フィンランド、中国、インド等で世界的に原子力の推進に向けた動きがあるというのは御指摘のとおりでございます。
例えば米国では、ブッシュ大統領の指示で、二〇一〇年までに新規原子力発電所の建設、運転開始を目指す原子力二〇一〇プログラムが発表されまして、それに基づいて具体的な新規建設に向けた動きが出ておるわけでございます。また、解体核から抽出されるプルトニウムをMOX燃料に加工してプルサーマルで利用する計画も進行中であると承知をしておるわけでございます。
さらに、フィンランドでは、チェルノブイリ事故以後の新規原子力発電に否定的な方針を変更いたしまして、五基目の原子炉建設が議会で承認をされ、二〇〇九年に運転開始の予定でございます。
さらに、御承知でございましょうが、中国では二〇二〇年までに新規原子力発電所が二十ないし三十基程度建設される計画がもう既に発表されておるわけでございまして、このような新たな動向の背景としては、昨今の世界的なエネルギー制約や地球環境問題の高まりというのがあると認識をしております。
我が国といたしましても、今後とも安全の確保を大前提にいたしまして、国民の皆様の御理解を得ながら原子力政策を着実に進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○小林温君
終わります。