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国会発言録

[第162回 参議院 経済産業委員会 2005年4月5日]

この内容は関連記事でも紹介されております。

    2005年4月6日 神奈川新聞

○小林温君

 おはようございます。自民党の小林温でございます。今日も質問をさせていただきます。

 また、引き続き新産業創造戦略に触れさせていただきたいというふうに思いますが、何度も申し上げておりますように、私は、これやっぱりこれから我が国の産業政策全般の太い幹としてこの戦略を位置付けていただきたい。ですから、今回の法案も含めて、これから行われる法整備においても、その関連性の中でどういった位置付けであるかということを私自身は質問させていただきたいというふうに思っているわけでございますが。

 やはり競争力というものが、今、我が国の各産業で問われているんだというふうに思います。これは言うまでもなく、将来の我が国の飯の種にも直結するわけで、そこに政策的な取組をどうやって行っていくかということだろうというふうに思うんですが、少しまた新産業創造戦略に触れさせていただくと、四つの点を踏まえて各分野を抽出しています。まず一つは戦略的であること、それから潜在需要を掘り起こせるということ、そして産業集積の強みを生かせる、官民の一体的、総合的な取組、展開が求められるということだろうというふうに思っています。

 そこで、今般のこの中小企業新事業活動促進法がこの新産業創造戦略の中でどのように対応しているか、現状も含めて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(中川昭一君)

 おはようございます。

 今の小林委員の御指摘、正に新産業創造戦略、これは日本が技術立国として頑張っていく上での一つのこれ、こうしろということじゃなくて、こういう方法もありますよということで、是非民間の方にこれをきっかけにして知恵を絞っていただき、本当に民間の力でこれを更に頑張っていただきたいという一つの提案だというふうに位置付けております。こうしろという時代ではないと思っております。

 御指摘のように、これは八〇年代のアメリカのあのヤング・レポート、アメリカが日本あるいはNIES、こういう国々に物づくりで非常に負けてきたということに対してヒューレット・パッカードのヤングさんを中心にしてやってきたこと。それから、昨年末にアメリカでこの産業競争力委員会が産業競争力評議会という形で民間に移行しましてずうっとこれが続いておりまして、いわゆるイノベーションレポートというものを作りまして、これが正にこの新産業創造戦略に対抗するような形で出てきたと。あるいはまた、フランスでもあるいはヨーロッパでも、場合によっては中国でも、こういうものがどんどんどんどん出てきているということで、私どもは、一年前にこれを出したときに、決してこれでもってハッピー、もうおしまい、あとは民間頑張れというつもりは毛頭ございません、もっともっと第二、第三、第四、第五の産業戦略をやっていかなければならないと思っておりますが。

 いずれにしても、日本としては、強い部分、燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ、あるいはまた地場産業、物づくりの基本、食品産業あるいは環境、ビジネス支援、いろいろな七本立て、あるいはまたそれをバックアップする人材投資減税等々をトータルとしてやっていくという中で、この中小企業支援というものが車の両輪として大事である。

 言うまでもなく、この委員会でも何回も先生方からも私からも申し上げましたが、日本を支えているのは中小企業である、物づくりであるというところのマッチングを是非とも融合的にやっていくことによって、目指す方向は一つだと思っておりますので、この新産業創造戦略と今回御審議いただいているこの法律とをうまく融合的にやっていくことによって、物づくり日本を更に元気付けて、そして雇用者あるいはまた消費者含めて日本の活力に実現ができるようにしていきたいというふうに思っております。

○小林温君

 今、このレポート自体が民間に対してこういう方向に行きなさいということを強要するものではないというお話もありましたが、私の私見を述べさせていただくと、どうも日本の産業政策というのは、かつてまあ外国からたたかれたことも含めて、少し官が民の方向性を決めることに乗り出していくことに実は臆病になっているところがあるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。

 ですから、例えばアメリカの今お触れになりましたパルミザーノ・レポートも含めて、結果的にある方向にその産業全体、経済全体を誘導していくという戦略は私はあってしかるべきだと思いますし、方向性を提示するだけで、民間の方はまあどっち行くか、それに付いていくか付いていかないか決めてくださいというより、もっと私は踏み込んだこれから産業政策の展開というのが実は求められている時代じゃないかというふうに思います。是非またそういう取組についてもお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、エンジェル税制について質問させていただきます。

 幾度かの税制改正もあって、このエンジェル税制がリスクマネーをマーケットに流す仕組みとしては機能してきた、その件数もこの数年上がってきているのも事実だというふうに思っております。

 しかし、やはり現実的にこのエンジェル税制をお使いになられたり興味を持っている人たちの話を聞きますと、一つには、今の株式譲渡所得からの控除だということで、どちらかというと、例えばイギリスとかフランスなんかの制度と比べた場合にまだまだインセンティブが弱いという意見を多く聞きます。と同時に、やっぱり手続が煩雑で使い勝手が良くないという声があるのもこれは事実だというふうに思います。これ、手続を取ろうとするとかなりのボリュームの書類も作成をしなければならないということでございますので。

 もちろん、これ税制の控除でございますので、その観点からしっかりとした手続というのが必要だということは分かりますけれども、なぜエンジェル税制が必要かというその原点に立ち返った場合に、リスクマネーをしっかりと共有されて、それがまた拡大再生産でベンチャーを生むような土壌の拡大につながっていくということを考えると、先ほど申し上げた、一つは投資時点での控除を認めるべきでないか、それから手続もできる限り簡素化すべきじゃないかというふうに私は思いますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

○副大臣(保坂三蔵君)

 おはようございます。

 ベンチャー企業の育成、発展のためには個人金融資産を有効に活用することはもう今や不可欠だと存じております。平成九年にスタートいたしましたベンチャー税制に関しましては、委員も番たびいろいろな場で御発言いただきましてフォローアップしていただきましたが、今日まで本当の意味でやっと大きな力を生んできた、こういうような実績でございます。

 お話しのとおり、投資をした時点で税額控除をすべきであると、そういう制度を累次にわたりましてやはり財務省の方に要求してまいりましたが、なかなか現下の税収の現況でうまくいきませんでした。しかし、平成十五年に、投資をした時点で他の株式譲渡益から控除するという繰延べの制度が認められまして、これが非常に大きなインセンティブになったわけでございます、平成十五年。

 それから、昨年は、ベンチャー企業にベンチャーファンドが投資をする場合、これも新たな制度に組み入れました。ベンチャー企業が投資を受ける場合、一定の適格要件というのを経済産業省が確認をしていたんですね。この確認をしないで済むように、一定の認知を受けたベンチャーファンドから受ける投資はこれを認めると。それからもう一つ、東証がスタートをさせましたグリーンシート、この銘柄に入っているところから受けるベンチャーへの投資につきましてもこれを認めたと、こういうようなことを平成十六年行いました。

 今年度の税制改正におきましても、例の二分の一の控除の特例につきましても二年間の延長が認められまして、こういうことが合わせ技になりまして、実は平成九年から六年間で行われましたベンチャー投資に関しまして、エンジェル税制の投資に関しましては五億円行かないんですね、六年間で。ところが、この十五年のインセンティブ、十六年度合わせ技でもう二十億を超えるというような、非常に拡大されてまいりました。

 我々といたしましても、このベンチャー優遇税制をしっかりとPRして、お話しのとおり、使いやすく、しかも実効性が上がるようにこれからも努力をしてまいりたいと思っております。

○小林温君

 二十億が多いか少ないかということは、また同僚議員からも後ほど質問があるかもしれませんが、他国に比べるとちょっとけたが違うというのもまた事実だと思います。

 そういう意味で、エンジェル税制も含めて、ベンチャー企業の育成ということに対して今後経済産業省がどういうふうにかかわっていくのかということを次にお伺いしたいと思うんですが。

 私は前、昔は田舎の零細企業の経営をしておりました。商工会に加盟しておりましたのでしょっちゅう銀行へ行ったり商工会に行くと、中小企業庁とか経済産業省がこういう実は中小企業向けの施策をつくったんだよということがいつでも情報としてアクセスできる立場にいたんですね。ところが、東京でベンチャー企業を経営すると、全くと言っていいほどそういうコミュニケーションの機会がないということを私自身も実は実感をしたわけでございます。

 ですから、今のエンジェル税制も含めて数々のベンチャー企業の育成のための施策を経済産業省、中小企業庁が打ち出しても、そのメリットについてもしっかりとした認識を、例えばベンチャー企業に代表される新しい産業の方々は認識もできないし享受することもできないというところが私はやっぱり問題としてあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 一つには、ベンチャー企業との積極的なコミュニケーションということについてどういうことをお考えかということと、それと、ライブドアとニッポン放送のことがマスコミをにぎわしておりますけれども、これも少し議論が錯綜しておりまして、本当に本来のベンチャー企業の役割とかこれからの日本の経済の中における位置付けとかが議論されているのかなというふうに疑問に思うところもあるわけでございます。私はやっぱり、経済産業省として、こうしたベンチャー企業の役割、それから活動への正しい認知を高めていくこともこれからの重要な仕事の一つじゃないかというふうに思うわけですが、この点についてどういう御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。

○副大臣(保坂三蔵君)

 お話しのとおり、ベンチャー企業といいましたら、あるいはベンチャービジネスといいますと、何となくアドベンチャーエンタープライズで、アウトローとかそういうことはもちろんないにいたしましても、言葉からくるイメージとかそういう点では非常に認知度がまだ特に英米に比べて低いということは世論調査でも分かっております。しかし、最近やっとベンチャー企業が非常に大きく、上場したりあるいは社会的に大きな仕事を発揮してくれまして、認識されてきているところは御存じのとおりでございます。

 今まで、そういう実績等に関しましてもベンチャー企業に向けて政府は広報だとかいろいろやってまいりましたけれども、あとメルマガだとかホームページだとかで、こういう常識的な広報のみならず、元々認知度が低いというようなところ、あるいはイメージの点などにつきましても、業を起こすということに関しましての認識がどうも日本の子供たちの代から教わっていないというような、そういう感じがございます。

 そこで、中川大臣、そういう点は非常に注目をいたしまして、小中高に向けまして、そういう総合学習の時間をおかりしたりして勉強して、専門家を派遣いたしましてやってまいりました。昨年は四十自治体で実施していただきまして、その受けた学生の数は、生徒の数は二万人に及ぶというような、そういう底辺を広げ、また認識度を深めるところから、仕事の内容がこういうものがあるとか、あるいはさらにこの可能性を我々は秘めているとか、そういう子供の時代からの教育、そしてまた今やっております人材教育などで、あるいは日本大賞みたいに優れた技術や仕事を、実績を持った人のベストプラクティスもPRしながら、そういう点では認知度を上げていく、そしてベンチャービジネスの方々、ベンチャー企業の方々と常に経産省はコミュニケーションを交わしまして、足らざるところを一生懸命埋めようとしております。

 以上のような状況でございます。

○小林温君

 いろんな御努力をいただいているということもある程度理解しております。ただ、やっぱり食わず嫌いというのはあって、それは双方にあって、役所の方もなかなかベンチャーの方々と付き合う機会もない、ベンチャーの方も各種諸制度を利用する機会もないというところがまだまだ残っているのかなというふうに思います。

 ベンチャーの皆さんはどちらかというと横のつながりは緊密でございまして、例えばあるベンチャー企業が各種政策的な諸制度を使って、結果IPOをして、そういう成功体験が生まれると、ああ、おれもああいう役所から出ている制度を使ってみて自分の会社を大きくしてみようか、あるいは資金が足りないときにこういう利用の仕方をしてみようかということも実はすぐにネットワークの中で広まるような組織もできているんだというふうに思います。ですから、そういう成功体験をある意味でいうと経済産業省としてもモデル的に幾つも幾つもつくっていただいて、それが横のネットワークの中で大きく広がっていくという取組をまたお願いをしたいというふうに思います。

 次に、新連携についてお伺いしたいと思います。

 すり合わせというのが我が国の競争力の現在、源泉の一つだということは何度もこの委員会でも議論されてまいりましたが、今回の法整備もそういう意味でいうと既存の法制度を幾つかすり合わせをしたのかなというふうにも思うわけですが、ただ、やっぱり日本の今の経済構造の問題は、大企業と中小企業の間にギャップがあったり、それから産業分野のそれぞれの間にギャップがあったりする、そういうものをどういうふうにつなげていくかということが一つの大きな課題だろうというふうに思います。

 そういう意味において、今回の新連携の取組というのは非常に意義深いことだろうというふうに思うわけですが、この事業分野を超えて、製造業のみならずサービス業も含めた連携として具体的にどういうものを想定しているのかということをお伺いしたいのと、それから、法律で認定するだけじゃなくて、事業者の立場に立ってビジネスのそれぞれのステージできめ細やかな支援が着実に展開できるように私は支援体制というものを組むべきじゃないかというふうに思うわけですが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。

○大臣政務官(平田耕一君)

 新連携という言葉が出てまいりまして、基本的には昭和の二十四年ごろからずっと進めてまいりました中小企業対策、その重要な部分で中小企業の集合体というものが形成をされてきて、それが結果として様々な協同組合ということで三万数千、現実に存在するわけでございます。

 この新連携と申しますのは、やはりその中でもより機能を明確にし、目的も明確にして、言葉で言えばパンチのある製品を更に作っていただこうということを目してやっていただこうと、こういうことでございまして、現下では製造工程統合型、営業ノウハウ共有型、高度技術開発型と大体三分類型してございます、これはまた御説明申し上げたいと思いますが、様々に具体例を挙げてこの法律を制定しようと、こういうことでございます。

 どちらかというと、三つ申し上げました高度技術開発型というのは従来のいわゆるクラスターということで御理解をいただければ結構かと思います。例はもう既にお手元にあると思いますけれども、新しい、織物メーカーが参画をしたアンテナであるとか、ちょっと製造工程を合理化をした鍛造技術を開発したとか様々ございますので、またこれ例示を、お示しを申し上げたいというふうに思っています。

 それから、御指摘の支援ということでございますけれども、これも御案内でございますが、それぞれの地域に有力企業あるいは金融機関、大学等を含めまして、そのメンバーを含めまして新連携支援地域戦略会議というのを設置をして、正に新しい集合体の、これまではどちらかというと集合体であっても個々の中小企業の財務体質等の判断でもって融資をするということから脱却をして、その事業体の事業性そのものを評価をして様々な支援をしていただくということを目しておりますので、是非きめ細かな支援ということを、それをそういう観点で実施をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

○小林温君

 時間もなくなりましたので、少しまたその連携のことでお願いもさせていただきたいと思いますが、まず地域を超えて連携が可能になるような取組を是非行っていただきたいと思います。それぞれ、例えば地域間の景況感の格差というものもございますし、潜在的にそれぞれの地域に存在しているリソースというものもたくさんあると思いますので、そういう取組をこれからお願いをしたいと思います。

 それから、この予算措置として四十一億円、事業費補助として計上されています。一件当たり、研究開発を伴うものについては三千六百万、それから伴わないものについては二千五百万ということでございます。ここも補助金頼りにいろんな産業連携がうまくいくかというと、そうじゃないんだろうというふうにも思いますので、あくまでもこの補助金というのは呼び水として、それ以外の支援措置とのポリシーミックスでこの新連携を是非率先をしていただきたいというふうに思います。

 で、御質問は、その四十一億円の事業規模で支援されるその新連携、今のところ年間二百件程度というふうに聞いておりますが、二百件ということは、各県、都道府県で割ると一県当たり三件か四件ぐらいなんですね。ですから、この事業、新連携というのが仮に今後大きくなっていくとすると日本の産業競争力全般を引き上げるということになるだろうと思いますので、私としてはこの予算措置も、まあ一年目は是非成功体験をつくっていただいて、今後更に大きく広げていただきたいというふうにお願いをしたいと思いますが、この点について御見解をいただきたいと思います。

○政府参考人(望月晴文君)

 先生御指摘のとおり、四十一億円の予算額でどういうことまでできるかということは、私どもも上限三千数百万ということで、補助率三分の二とかそういうことでやるわけでございますので、これはこれから法律を成立させていただきました後にいろいろ実施をしてみて、その実績等を踏まえて考えなければいけないとは思ってございますけれども、大変幸いなことに非常に多くの案件でいい案件が出てくるというような流れになりましたときには、私どもといたしましては、今年度の実績を踏まえた上で次年度以降につながる政策の強化を考えていかなければいけないというふうに考えているところでございますので、その辺、また御相談をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

○小林温君

 是非、来年以降、五倍、十倍と予算が付けれるような実績を今年度残していただけるように御努力をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。