[第162回 参議院 経済産業委員会 2005年3月15日]
○小林温君
自民党の小林温でございます。
加納委員もお触れになられましたが、経産省職員によるインサイダー取引の件でございます。例えば、委員会の前日ですね、委員会の前日に職員の皆さん、夜遅くまで質問に対する答弁等を当たっていただいて、役所の皆さんって本当に国のためを思って働いていらっしゃるなという私は感想も持っているわけでございますが、一人の過ちが役所のみならず霞が関全体に対する不信につながるわけでございます。省内で、その株取引、すべて報告制にするという点でございますが、是非これはほかの省庁にも、今回の経産省の件を戒めにして広げていただければ、またこれ霞が関の不信への回答にもなるんじゃないかというふうにお願いを申し上げたいと思います。
そこで、今日は、昨年の十一月の委員会でも質問させていただきました人材投資促進税制についてお伺いをしたいと思います。経済環境が厳しいということはずっと言われているわけでございますが、この税制の創設ということは、特に中小企業にとって今後の人材投資を活発化させると、そして組織的に人材を育成していくという意味で私は重要だというふうに思っております。
中身については、簡単に触れさせていただければ、戦略的な人材育成に対する取組を支援するために、その人材育成に取り組む企業が教育訓練費を増加させた場合、その一定割合を控除する、特に中小企業には手厚くするというものでございます。是非この制度をしっかりと創設をしていただいて、それを利用できるような環境を整えていただきたいというふうに思います。
もう一つ、一昨年の五月に経済産業省でまとめた新産業創造戦略、これは日本の産業競争力の強化に向けて七つの分野について対象として、それに横断的な重点施策として知的財産権の政策というものも位置付けているわけでございます。
この新産業創造戦略の中で、重点の政策の一つとして企業内の人材投資を促進するということも実は掲げられているわけでございますが、この人材投資促進税制が、これは私、前回、中川レポートと呼ぶべきだというふうにお話をさせていただきましたが、この新産業創造戦略の中でどのように位置付けられていくのかということについて省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君)
新産業創造戦略につきましては、当委員会でも本当にいろんな先生から、つくった後も有益な御指摘をいただいているところでございまして、これからの法律あるいはまた予算あるいは諸制度等々につきまして、実現をしていく上でまた引き続き先生方の御指導を賜って、目的は日本の国家全体の繁栄と、そしてまた世界に日本の技術や人が貢献できるということでございますので、これからもどうぞよろしくお願いをいたします。
そういう中で、小林委員からの御指摘の人材投資減税を始めとする人づくり、これは新産業創造戦略の中でどういう位置付けなんだということでございますが、重点七分野、とりわけ先端四分野、燃料電池、ロボット、それからコンテンツ、それから情報家電その他、これから日本が世界を引っ張っていく、世界に冠たる、負けない産業群を育成していこうという目玉から、地域の伝統的な食生活も大事だと、地域の伝統的な技術も大事だと、物づくりを、大事なんだということで、先端だけではなくて、過去からの貴重な財産がある意味では突然先端技術にまた大化けしてしまうということもあるわけでございますので、そういう意味で、日本は、言うまでもなく、経済というもの、あるいはまた世界と仲よくしていくということで生きていく、ソフトパワーを持って世界の中での主要な位置を占めたいというふうに考えております。
したがいまして、一言で結論を申し上げますと、ロボット、情報家電云々かんぬん、それからいろんな産業大事だといいますけれども、突き詰めていけば人だということになる。その前に技術とかそういうものもございますけれども、突き詰めていけば優秀な人材、そしてまたその結合、あるいはまた経営者、そしてまた子供たちの、次の人たちへのバトンタッチといった意味で、すべての中でこのレポートの一番大事なものは何かといえば、もちろんロボットだ、情報家電だ、いろいろ先端的なフロントラインのものはありますけれども、唯一、一つといえば人だというふうに私は考えておりますので、今の人材投資減税、特に中小企業に重点を置いた形での人材育成をすることによる経費については税額控除をするというような、これは当初、税務当局とは門前払い的なことでございましたけれども、当委員会の先生方にも大変御指導いただきまして認めていただくということになったわけでございます。
さらに、いろんな物づくりのための、人づくりのためのいろんな交流とか、これはもう各省間だけではなくて、研究機関とか大学とか、極端に言えば小学校とか、そういうところも含めてこの人材育成のために努力をしておりますが、政策論として言えば、一番の目玉は人材投資減税であるというふうに位置付けているところでございます。
○小林温君
日本の産業力強化に向けて人が一番大事であるという大臣の力強い御答弁、ありがとうございます。
例えば、今、ライブドアとフジテレビの一件の中でも、どうも日本の市場というのは国際化されてないんじゃないかということが言われたりもします。
あるいは、今、会社法制の現代化ということも党内でも議論させていただいているわけでございますが、企業を取り巻く環境が大きく変化をしている、その中で、やはり欧米型のどちらかというと企業経営の核心というのは短期的な利益の追求だという側面ばかりが強調をされて、かつての年功序列、終身雇用を前提とした日本の企業文化みたいなものはどうも忘れられているんじゃないかと。そうした中で、人材を育てることの有効性というものも意識が薄くなってきたんじゃないかというふうに私は思っているわけでございます。
そこで、今の、まあこれ創造戦略でももちろん触れられているんですが、日本の産業競争力の核として期待される先端的な新産業群、そこの特に物づくりの部分を見ると、やっぱり日本の今後の強みというのは、部品と部品とをただ組み合わせるモジュラー型ではなくて、現場で繊細な技術を必要とするすり合わせ型、こういう製品の中に実は競争力が存在するんだというふうに分析もされているわけでございます。
その観点からも、この人材の育成という中長期的な視点を経営の中に織り込むということはやはり日本の産業競争力にとって重要だということ、その点からも指摘ができるんじゃないかというふうに思うんですが、この税制は具体的にどういった企業に活用されることを想定しているか、経産省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生君)
日本の競争力を考えた場合に人づくりが重要であるというのは委員御指摘のとおりでございます。
ところが、我が国の現状は、企業が行う教育訓練費というのが長年減少傾向にございまして、これを何としても拡大に転じさせ、企業が戦略的な人材育成に取り組むと、強力に取り組むということが重要であると考えております。
こういった観点から、この税制では、特に業種とか企業規模を限定することなく、幅広く人材育成に積極的に取り組む企業を対象として税制措置を講じたいと考えております。具体的に申し上げますと、教育訓練費を前二事業年度の平均額より増加させた企業が対象となります。
それから、中小企業の場合にはいろいろ制約があるというのはこれも委員御指摘のとおりでございますので、本税制の仕組みを作る上では、特に中小企業に使いやすい手厚い税制としたいと考えております。これも具体的には、中小企業の場合には税額、控除額の算定方式で大企業と比べまして大幅に優遇した計算方式を取るということで税務当局と合意をしておりまして、そのような面で中小企業に使いやすい制度にしてまいりたいと考えております。
○小林温君
ありがとうございました。
時間もないので、次の質問に移らせていただきたい。
ただ、この対象となる研修の中身というものについて資料を、今申されたその税額控除の対象ですね、と、やはり今までのどちらかというと縦割り的なその対象が掲げられているんじゃないかというふうな気がします。
先ほど来話題になっております、例えば新産業群というものは従来型の産業を融合化するものでございますし、そこでは一部分の知識を有するだけではなくて幅広い知識を有する、そういう人材が必要となってくるわけでございます。ですから、この税額控除の対象については、是非、幅広の御対応をお願いをしておきたいというふうに思います。
もう一つ、フィッシングについて少しお伺いしたいと思います。
フィッシングという言葉、最近マスコミ等にも登場するようになりましたが、これは魚の釣りのフィッシングと、洗練されたという意味のソフィスティケートの両方の造語だということでございますが、これが例えばアメリカ始め欧米では大きな社会問題になっている。日本でもこのフィッシングが実は今、少しずつではございますが、散見をされるようになりました。
このフィッシングの被害の現状についてどう把握をされているか、それからあわせて、これまでどのような対策を講じられてきたかということについてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(豊田正和君)
お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、我が国でもフィッシングメールが大分確認されるようになってきております。例えば、昨年の十一月でございますと、VISAカードを偽装いたしましたメールが、百五十件以上について消費者から問い合わせがございました。また、本年二月でございますけれども、カード会社を偽装したフィッシング行為によって得られたカード番号などを基に、カード会社の会員八人が合計約百五十万円ほどのキャッシングの被害に遭ったということが報告をされております。
先生御指摘のように、アメリカでは数年早くから、数年前からこの被害が出てきておりまして、最近では年間千二百億円近い被害が出ているということでございます。これと比べますと、まだ日本の被害が小さいところはございますけれども、最近のこのフィッシングメールの状況を見ますと、大変その手口が高度化をしてきております。被害の拡大が懸念されているというのが実態でございます。
このため、経済産業省といたしましては、昨年の十二月にフィッシング攻撃の対象になるような事業者、関係団体などをメンバーといたしまして、そして総務省などの関係省庁のオブザーバーの参加も得まして、フィッシングメールの対策連絡会議というものを設置をいたしまして、早急な検討を行っていただき、本年二月四日に報告書をまとめたところでございます。
この報告書のポイントは、フィッシング対策として情報提供、情報を収集して提供をするための官民の連携した取組が必要であるということでございまして、フィッシング対策協議会を早急に設立をしようということになっております。現在、経済産業省はこの提言に従いまして、関係事業者、関係省庁の協力も得ながら、本協議会の設立準備中でございます。可能な限り早く設立をいたしまして、情報収集・提供を進めていきたいと考えております。
○小林温君
時間もないんで、最後に意見だけ述べさせていただきますが、おれおれ詐欺、振り込め詐欺も大きな問題になっておりますが、まだこのフィッシングについては、それほど日本ではまだはんらんをしていないという状況だと思います。ただし、これはメールアドレスとか、あるいはパスワードが一度流出すると更なる悪用がされるということで、電子商取引自体の発展にも大きな阻害要因になるんじゃないかというふうに思いますし、犯罪にかかわる方々にとっては、一回成功してしまうと、何だこんなに簡単にもうけられるのかということで、被害がどんどん大きくなっていくのが振り込み詐欺の現状だというふうにも思います。ですから、この部分については、IT社会の中で消費者保護がどうあるべきかということについても積極的な経済産業のお取組をお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。