[第162回 参議院 予算委員会 2005年3月10日]
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○小林温君
自民党の小林温でございます。
舛添議員からも御紹介いただきましたように、小泉ブームの中で選挙で勝たせていただきました。地元神奈川では小泉チルドレンというふうにも呼ばれているんですが、本当の御子息のようにイケメンじゃないものですから、総理にとっては御迷惑かと思います。
それで、御地元の三浦や横須賀にもよくお邪魔をします。そうすると、やはり年金を中心に社会保障制度の将来について不安を口にされる方、やっぱり一杯いらっしゃるんですね。小泉家三代の支援者の方も、純ちゃんに年金のことは頼むよと言っておいてくれと、こういう言葉も実はいただいたりするわけでございますが、この不安が不信になって、例えば政府や国に対する不信につながっていくということを何としても我々は止めなければいけないというふうに思うわけですが。
そんな中、先ほど舛添議員からも御指摘がございましたように、昨日、社会保障制度の見直しに関する自公民の与野党協議が動き出しました。十か月掛かったわけでございます、昨年の五月から。この十か月、長かったなというふうに思うわけでございますが、ただ、秋までにはその年金制度改革の骨格を取りまとめるという方向が出されたようでもございますし、この方向性には賛意を示したいと思います。
そこで、小泉総理、改めて、この年金に関する与野党協議のスタートについて所感をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
私はかねがね、年金問題のみならず、医療保険もそうであります、介護保険もそうでありますが、政権交代がしたから大幅に変えるということではなくて、仮に政権交代が起こっても、制度の持続的、安定的な運営されるような形が望ましいと申し上げてまいりました。そういうことから、この年金一元化を含んだ社会保障制度の見直しが与野党協議していこうという方向で現在話合いが進められているということは良かったなと思っております。もとより、政党が違いますから考え方も違う点あると思いますけれども、その党派の立場を乗り越えて生産的な議論をしていただきたいと。
そして、スウェーデンにおきましては、福祉先進国でありますが、そのスウェーデンにおきましても党派を超えてあるべき制度をつくり上げたという先例もありますので、今後できるだけ早く協議のテーブルに着いて、そしてより良き成果を生み出すように努力をいただければなと期待しております。
○小林温君
はい、ありがとうございます。
この年金あるいは社会保障というテーマはですね、やはりその党派的な議論がなじまない分野でもあると思いますし、そういう意味では、今総理がおっしゃられたように、党派を超えた議論を積み上げていく、そういう大事なテーマなんだろうと思います。
我々参議院では、常々、衆議院との比較の中で、この党派を超えた議論をやっていこうと、そういうことで進めておりますし、ODAとか決算とかですね、総理にも御評価をいただいているような方向性もその中で実質的に見いだしているわけでございますので、是非、我々参議院も、この今日の社会保障・年金の集中審議をスタートラインにして、総理のおっしゃられていたような党派を超えた議論を一から積み上げていきたいと、そういうふうに思います。
そこで、この与野党協議の中では、先ほど来議論になっております年金の一元化ということが大きな焦点になってくるかというふうに思います。しかし、この一元化ということについても、その与野党それぞれの思い描いている具体像というものはまだまだずれがあるのも事実だというふうに思います。ですから、私は、与野党協議は、その一元化の対象をどうするかと。先ほど舛添議員の方から、厚生年金と共済年金まずやるんだと、それから国民年金はまたその先でというスケジュール感が必要じゃないかという御指摘もありましたけれども、手順やスケジュールも含めて、是非この与野党協議の中で協議会をつくって議論していくべきだと私は思います。
そこで、総理御自身は、この一元化の道筋ですね、具体的にどのように思い描いていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
私自身の考えはどうかということだと思いますが、一挙にこの年金一元化、国民年金も厚生年金も共済年金、一元化というのは現実的に無理ではないかと思っています。まず厚生年金と共済年金の一元化を実現するためにはどうしたらいいか、その後に、そうしたらば国民年金という形になってくると思いますが、その時点ではもうかなり給付の面においても負担の面においても、制度が違いますから、こういうことが現実的になってきますと、じゃ納税者番号はどういうものになるかと、給付も、保険、負担も、保険料の負担も、厚生年金と共済年金の方に給付を合わせたら今の国民年金はどのような負担が必要かと。じゃ、国民年金の方に負担を合わせたら給付はどうなっちゃうのかと、減額されるわけです。
どちらにしても、両方の人たちが改革の仕方によっては大きなマイナスになり得るし、プラスにもなり得るんですよ。だから、そういう点を率直に議論をした方がいいんじゃないかと。選挙の争点にしてやるべき問題ではないと私は思っております。
○小林温君
今総理おっしゃられたように、やはり具体的にその道筋を付けていくということが大事だろうというふうに思いますし、これは与党、野党問わず、例えば今年金どうしようかと思っている若い皆さんが、A党の言っていることとB党の言っていることが違っていたら、自分の大事なお金をそこに本当に出していけるか、当然不安になると思うわけでございますので、そういった意味でもこの与野党協議の意味というのはあるんだろうというふうに思うわけでございます。
そこで、次は尾辻大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
いずれにしても、その一元化の出発点というのは現行の制度であろうかというふうに思います。ここから、これからどういう方向に議論をしていくかということだと思いますが、そういう意味では昨年の法改正の中身もまた改めて問われることになるというふうに思います。
昨年の改正は、保険料の引上げ、マクロ経済スライドによる給付水準の調整、それから国庫負担割合の引上げ、積立金の活用、こういう四点セットで措置をされたということで、持続可能性の確保ということがその一番の骨格として、この部分についてどうするかということからこういう案が出てきたと私は思います。決して、この案ですべての年金にかかわる問題が解決されたと私は決して思うわけではございませんが、当然、今後更に取り組んでいかなければならない課題もこの法案の施行の中でもあるんだろうというふうに思います。
特に、私、マクロ経済スライド、このとらえ方や評価については昨年来いろんな議論があるかと思いますが、専門家も含めて意見があるいは議論が錯綜しているような感があるかと思います。私は、これはある意味でいうと、少子高齢化に伴うコストを全部の世代で負担をしていくという意味では、このマクロ経済スライドの導入というのは非常に効果的だと思います。その上で、給付水準に下限を設けている、名目年金額を下げるという改定はしない、期間も限定している、こういう意味で、元々本家のスウェーデンの自動安定化装置よりも、どちらかというと、日本の少子高齢化の速度を考えると年金受給者に優しい制度になっているんじゃないかというふうに思います。
この点について、是非、尾辻大臣からもう一度分かりやすくその意義について御説明をいただければというふうに思います。マクロ経済スライドの意義について。
○国務大臣(尾辻秀久君)
御質問は、マクロ経済スライドに限ってということで理解させていただいてお答えすればいいでしょうか。
○小林温君
はい。
○国務大臣(尾辻秀久君)
それじゃ、今お話しのように、去年の改正で私どもはマクロ経済スライドというのを入れました。これから御議論始まるところでありますから、私どもがマクロ経済スライドというのをこう考えたんだということを御説明申し上げて、また今後の御議論の中でいろいろ御指摘や御議論いただければと思います。そういう意味で、私どもはこう考えたんですということを御説明を申し上げたいと思います。
マクロ経済スライドですけれども、その前に今どういうことになって、今というか、改正前にどういうことであったかということから申し上げないとマクロ経済スライドというのが御理解いただけないと思いますので申し上げます。
最初に年金の支給が始まります、年金をもらい出す。このときに、この方の年金の額を幾らにするかというのは、裁定という言葉を使いますが、この幾らにするかというのはちょっと複雑な計算なんです。これは、まあおいといてください。
その幾らもらい出すということから始まって、じゃ、まあこの人の年金はこの額からスタートしますよというのがまず決まったというところから話を始めさしていただくんですが、その後どうなるかというと、物価スライドになっているわけです。要するに、物価が一%上がると、日本の国全体の物価の平均が一%上がったとするとその方の年金も一%上げましょうねと、こういう物価に合わすという形にしてありました。
で、今度はそうするとどういうことになるかというと、経済や人口が右肩上がりのときはいいんですけれども、まずその方の個人の額というのは決まるわけですが、国全体だと掛ける何人かというのが大きな問題になるわけです、総額を計算するときは。ですから、掛ける何人かという方が増え、今増えるわけですから、増えると掛けるこの人数の方が増えるわけですから総額が増えますよねと。この総額が増えるところが頭が痛いですから、この掛ける人数の部分は増える部分を少し減らしてくださいと、そこの部分を減らしてくださいと言っているのはそのマクロ経済スライドの一つなんです。それから、それが一つです。
それからもう一つは、今度は何人で支えるかという支え手の話がありますから、分子の方が同じだと分母の何人で支えるかということが減ると個体が大きくなる、一人で払う金額が大きくなる。そこがまた一つの問題になりますから、今度は支え手の方、年金に入っている人の数が今は少子化で減っていくわけですから、この減る分をまた全体の保険料の中で計算さしてくださいねというか、はっきり言うと、そこの分また減らさしてくださいねと。
この二つなんです。年金もらう人の数が増えます。それから支え手が減ります。ここの部分を年金の給付のところに反映さしてくださいと言っているのがマクロ経済スライドだというふうに御理解をいただければと存じます。
○小林温君
ありがとうございます。 少し、その今のマクロ経済スライドで世代間の不公平をどうやってなくしていくかと、こういうことについて議論させていただきたいんですが、私、現在四十歳でございます。日本の社会保障制度の中で四十歳というのは極めて象徴的な年でございまして、二十から六十までの国民年金の加入義務期間の折り返しであると。それから、私も引き落としで驚いたんですが、介護保険料を実は納め始めるのも四十のわけでございます。
ある私の友人がこういうことを言っていまして、四十前後の世代は、日本社会で今まで圧倒的な存在感を持ってきた舛添先生のような団塊の世代と、それから個人主義だが独特のスペシャリティーを持った、多分堀江君なんかはそうだと思いますが、新人類の世代に挟まれた名なしの世代だということなんですね。しかし、我々は四十歳ということで日本の平均年齢付近に位置して、子育てだとか親の介護だとか、年金、医療、リストラ、こういうあらゆる諸問題に実は直面しているんですね。ですからこそ、この私自身も含めて、この改革をしっかりと成し遂げていくという逆に責任があるんだという自覚を持っているわけでございます。
で、我々は多分年金についても、やっぱり納めておかないと体面があるからなと、こういうふうに考えるんですが、新人類の方々はもっとドライで、戻ってこないんだったら納めなくてもいいやと。三木谷氏は目上の人に会うときにネクタイ締めてひげそって行くんですが、堀江氏はやっぱりTシャツで行っちゃうんですね。これは別に新人類が悪いんじゃない、私はこれからの日本をつくっていく大きなパワーの源は新人類であると思いますが、そういった方々にも年金にこれから加入をしていただくためにどうするかということを議論しなければいけないというふうに思います。
ちょっとパネルを見ていただきたいんですが、(資料提示)これも言い古された議論でございますが、国民年金の納付率が若年層ほど低いということでございます。四八・六%しか納めてないということですね。一方、団塊の世代、舛添先生たちは偉いんですね、七九・八%も納めている。二・五倍ぐらいこの納付率の差があるんですね。
なぜこういう若い人たちがこういう年金を納めないのか。不安や不満というのを聞くと、一つには、やっぱり保険料が上がり続けるんじゃないかと。それから、負担をしても見合った給付が受けられないんじゃないか。そしてもう一つは、先ほどもお話がありましたように、世代間で不公平があるのではないかと。幾つかの要素があると思います。
もう一つのパネルを見ていただきたいと思うんですが、(資料提示)これは明らかに、七十歳の方は納付した額より給付の額の方が六・四倍、厚生年金の場合、国民年金の場合五・八倍です。今おぎゃあと生まれたゼロ歳児は二・三倍と一・七倍です。掛けた分が戻ってこないということは実はないわけでございますが、こうした世代間での不公平と言っても、言っていいかどうか分かりませんが、違いがあるのはこれは確かだというふうに思うわけです。
ですから、こうした不安をやはり取り除いて、我が国の年金制度大丈夫なんだと、日本国民として年金納付しようよと、こういうこと、特に若年層の皆さんに分かっていただくということが大事なんだと思いますが、是非今日は総理に、今日学生の皆さんも春休みでおうちにいらっしゃるかもしれません。新卒の方や新社会人、これから年金納めていいのかどうか分からない方もいらっしゃるかと思いますが、安心なんだということを是非総理の御自身から御説明をいただければと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
よく年金の議論が出てきて、この年金を批判する論調の中に、納めた保険料よりも給付は返ってこないと、損だという議論がなされました。私は、これについては、どんな私的な年金よりも公的な年金は有利なんだと。なぜかというと、私的な年金には税金が投入されていません。それから、今マクロ経済スライドありますが、物価スライドという、公的年金はありました。これからマクロスライドに変わっていきます。それにしても税金が投入されますし、そしてそれは損だとすれば、長生きしなかった場合は損だというよりも、これは言われちゃうとちょっと困るんですが、支え合いですから、自分たちが親の世代に自分たちの保険料で支えているんだと。自分もいずれ親の世代になれば若い人から支えられていく。支え合いの思想を持っていただかないと、損だ得だという議論はあんまりしない方がいいんじゃないかと思っていますが、いずれにしても、これほど、これから基礎年金、もう二分の一国庫負担、税金投入するわけですから、納めた保険料よりも、七十代、六十代の人に比べれば何倍もはもらえないというのは事実です。それはなぜかというと、お年寄りが当時は少なくて若い人が多かったです。これからはもらう方が増えていきますから、支える若い人は少なくなっているんですから、かつての七十代、八十代の皆さんのように納めた保険料の四倍、五倍はもらえないけれども、自分の払えた納めよりも必ず多くなるということはよく御理解していただきたいと思います。
○小林温君
今、総理のお話の中でもありましたが、タウンミーティングなんかに行くと、百万円納付しても八十万円しか返ってこないんでしょうみたいなことを、まじめな方、まじめな顔で若い方に質問されるわけですね。ですから、今総理の御説明のようなことがしっかりと認識をされていって納付率が上がっていくと。そして、より持続可能な制度に政府としても知恵を絞っていくという、こういうお取り組みをまたお願いをしたいというふうに思います。
そこで、もう一つ、雇用の流動化ということについてちょっと尾辻大臣にお伺いをしたいんですが、私も実は民間と民間、国民年金と厚生年金の間を何度か行ったり来たりしました。手続が難しい、面倒くさいというのも実はあるわけですが、例えば私の先輩で十五年間に十二回職を変えた人がいます。金融機関でヘッドハンティングで変わるわけです。それから、MアンドAやっていて、一仕事もうけると二年ぐらいもう何もしないで休む人がいるんですね。その間、国民年金に加入するわけですが、今言われているニートとかフリーターとかあるいは非正規雇用という問題だけじゃなくて、やっぱり雇用の流動化というのは政府や厚生労働省が想定しているよりも速いスピードでダイナミックに進んでいると思います。
ですから、先ほどの新人類の方々にも納付率を上げていただく、あるいは若いそういう新しいライフスタイルを求める方にも年金に対してしっかりとした御認識をいただくという意味では、こういう部分をやっぱり制度の改変の中にしっかりと織り込んでいくという必要があると思います。タレント連れてきて宣伝させたから納付率が上がるというのは、私はこれは間違いだと思います。
そういった取組について、是非雇用の流動化という観点から、尾辻大臣、お答えをいただければと思います。
○国務大臣(尾辻秀久君)
今お話しのように、年金制度を支えてもらう現役世代のその就業する業種や就業形態について一層の変化が予想される、これはもう我々が予想するよりも速いスピードで変化するんじゃないかという今お話もありましたが、私どもも大変速いスピードでこの変化があるということは予想をいたしております。
これに対して、年金制度をどう在り方を、どういうふうに在り方を求めていくかということ、これは大変重要な課題だと思っております。したがいまして、今度の年金についてのいろんな議論の中でこうしたことも議論していただければ有り難いというふうに思います。
基本的にはそう思いますけれども、少し付け加えさせていただきますと、そうしたことがありますから、年金一元化を含む年金制度の在り方について検討を進めていただく、この上で、雇用の流動化の一層の進展化、進展する中で、雇用する側とされる側のいずれにも中立的な仕組みになる、ここのところがポイントだと思いますから、保険の制度で雇用する側がこんなふうに雇おうとか、今度は雇われる方が保険のことを考えるとこういう雇われ方にしようとかというような話になるとこれはまずいと思いますから、中立的なやっぱり年金制度にならなきゃいけない。そこのところが一番のポイントだと思いまして、是非そういうことをお考えいただきながら御議論いただくと有り難いということをあえて申し添えたいと存じます。
○小林温君
時間が参りました。 今後、年金だけではなくて社会保障制度全般の改革を進めていただかなければいけないわけでございますが、そうした中で、今は国も選べるんですね。別に日本に納税しなくても、日本で社会保障受けなくてもいいという考え方が国際化の中でも出てくるわけでございます。
そういった方々にも、やっぱり日本に住んで、そして日本に税金を納めて、日本で年金を納めたから良かったと、こういう信頼の持てる国家づくりのために小泉総理始め政府の皆さんには邁進をしていただきたいということをお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。