[第162回 参議院 国際問題に関する調査会 2005年2月9日]
○小林温君
はい、会長、ありがとうございます。
自民党の小林温でございます。
お二人の参考人に同じ質問をさせていただきたいと思いますが。
国分先生のお話の中でもあったように、中国の中で政治と経済がどういうふうに今後リンクしていくかと、それが対日政策にどう影響を及ぼすかということは、大変これから重要なことなんだろうというふうに思います。それで、日中関係が、今中国にとって国際関係見たときに突出して悪いというお話もございました。日本から見ても実は日中関係が今突出して悪いというのも現状でございまして、例えば、三、四年前までは、歴史認識の問題が一つ出ると、中国も韓国も実は同じトーンで批判をしたわけでございますが、今は日韓の間は比較的そういうトーンがどんどんトーンダウンしてきていると。一方、中国の場合は逆にエスカレートしているという状況もあるというふうに、まあそういう意味で日中関係というのは非常に悪いんだろうと思いますが。
そこで、いろいろお互いに理解をするための努力が必要だというお話、お二人の参考人からありましたが、仮に歴史認識の問題がこれから全く進展をしない、つまり総理が替わっても引き続き靖国神社には毎年参拝をする、あるいは教科書問題も、近隣諸国というか特に中国の感情を逆なでするようなことがこれから続くというふうに仮定した場合に、悲観的な見方をすれば、例えばODAはもう中国は卒業する体制も整ってきている。それから、そういう中で、例えば日本からの投資とか技術協力とか経済関係全般について、そういう経済的なメリットをある一部分あるいはかなりの部分失うかもしれないというリスクを背負っても、その中国政府としての正統性を追求するためにこの経済的な部分は少し目をつぶるということがあるのか。これは、例えばいろんな国家事業に対する日本の入札がけられるというようなこともありますし、先ほど来出ているマーケットとしての重要性を中国自身が認識して、分野によっては日本がなかなかもう既に参入できない部分もあるわけでございますが、この辺を中国が意識して、その政治の正統性と経済をはかりに掛けた場合に政治の方を優先するというのが多分悲観的な見方だろうと思います。
それからもう一つ、楽観的に見ると、やはり中国はこれから国際化の中でプレーヤーとしてこれから活動していかなければならない、経済的なルールも含めて遵守する、あるいは日本はそうはいっても経済的にまだまだ重要だから、パートナーとして、あるいは日米同盟という点を通して見た場合に、やっぱり対日の関係もある程度良好にしていかなければいけないということで、この歴史認識の問題については、仮に日本側が譲歩しなくても中国側が何らかの形で折れてくるようなことがあるのか。まあこれは、今お話し申し上げたのは非常に極論ですが、仮に先ほど来申し上げるように、その歴史認識の問題が変わらない場合にどういう方向で進んでいくのかということを二人の参考人にお伺いしたい。
それから、その時間軸ですね。戦後六十年、それから世代も交代をしてきています。こういう変化がこの今の話の中にどういう影響を及ぼすのかということについてお話を伺えればと思います。
○会長(松田岩夫君)
国分参考人、お願いします。
○参考人(国分良成君)
ありがとうございます。
ちょっと先ほどの質問の中で、私ちょっともう一点付け加えたかったのが、アジアの中で日本がという話でしたけれども、私はASEAN、随分私も実際足を運んでいろんな人に話を聞いていますけれども、日本の評価は私は決して低くはないと思っています。それはつまり、ある人に言わせれば、日本は随分援助してくれたけれども野心がなかったと。全くぎらぎらしていなかったと。つまり何も言わなかったと。お金だけいただいたというのが逆に効果があった部分もあって、そういう意味では私はそのフォローアップが足りないというふうに思っています。
それから、ただいまの御質問であります。
中国も、今、孔参考人、日本はアメリカ一辺倒だという話がありましたけれども、実は中国もかなりのアメリカ一辺倒的なところがあります。これは、アメリカ一辺倒という言い方が正しいかどうか分かりませんが、一辺倒ではありません、外交は非常に多角化しています。つまり、リスクヘッジを取りますので、アメリカとやりつつヨーロッパとやる、そしてインドとやる、あるいはどうやると。それはもうそこらじゅうに足をあるいは手を伸ばしますけれども、基本はアメリカですよね。それから、先ほど申し上げたように陳水扁氏がグアムに立ち寄っても全然一言も言わない、シアトルにいても一言も言わない。これはもう、つまりその表れだと思います。それ以外にも枚挙にいとまがないぐらいアメリカに対してはかなり気を遣っているというか。
ですから、ある率直に言う中国の研究者、しかも日本と全く関係のない、やっている人の中には、日中関係は米中関係の従属変数だということを率直に言う人がいます。つまり米中関係さえ良ければ日中関係はいいはずだと端的に言うわけであります。ですから、別に日中関係がどうであろうと大丈夫だと、米中関係さえ安定していればというリアリストは結構多いという感じがいたします。ですから、つまり日中関係というのは日米関係と米中関係の従属変数だという、そういう立場なわけですね。
ですから、今中国はトランスフォーメーションの問題については一言も言及してまいりません。つまり、アメリカ軍のこの問題については非常に繊細なテーマでありますから、質問をしても絶対に答えません。つまり、それぐらい繊細なテーマと。これは、アメリカとの関係というのがもうすべてを成しているという意味では、私は、もう中国も同じようにアメリカだけ見ているなという、アメリカだけじゃないですね、中国の場合はもちろんもっともっと多角的な外交を展開しているという感じがいたしますけれども。
その場合に、歴史認識の問題が解決しないと駄目なのかと、あるいはどうなのかということでありますけれども、正直申しますと、この問題が解決できるという可能性はますます難しくなってきているというのが現実ですね。これは国内化している、国内政治化しているということを最初に申し上げました。そうなってくると、私はやや懸念するのは、つまり中国に対して今私が私がと言ってくる国は幾らでもあるわけです。つまり、中国は今正に時代の寵児になっているわけですから、そうなりますと、日本が余り参入してこないということ、あるいは関係が深くならないということに対して、中国はどれぐらいのデメリットを被るかということにかかわってくるんだろうと思うんですね。
私は、中国はやはり日本の技術、科学、これに対する評価は非常に高いというふうに思います。これは間違いないことだと思います。ですから、この辺は、中国人の正に心理状況は孔さんの方がお得意だと思いますけれども、どんなに中国で抗日的、反日的な学生が強硬なことを言っても、それじゃ、あなたのうちに今から一緒に行こうと、あなたのうちにある日本の電化製品を全部一緒にたたこうと言ったら、それは急に黙るわけですね。その辺の複雑な心理構造みたいなのがありますので、つまり、日本の電化製品ですとかあるいは技術ということに対する信仰は私はやっぱりかなりあるというふうに思っています。ですから、その辺の複雑な部分がある。
ですから、そういう意味では、私は、日本を中国が無視するとかあるいは重要でないということはまずあり得ない。これだけの直接投資をし、しかもその直接投資が、つまり日本の場合は契約をすると大体そのまんま履行してくれると。欧米の場合は大体四〇%からまあ大体五〇%、多くても。つまり、契約をしても履行しないと。日本の場合は大体すぐに契約まで進んでくれるし、契約から履行まで行くという律儀な形でやっておりますし、そういう点でいくと、私は、やっぱり中国にとっても重要であるということは間違いない。
ただ、歴史問題というのは、正直なところ今解決のめどは立っていないということだと思います。ですから、この六十年を期して何らかのポジションを取るのか、何らかのその一つの、何といいますかね、一つのシンボルみたいなものを作るのかどうか、やるのかどうか。
中国では、今度ロシアでも五月にございますね、連合国が集まってやると。中国でも同じような勝利、つまり中国の場合は、先ほどからお話ししているように、国是、共産党の勝利、それの背景、つまり正統性になるわけでありまして、正統性というのは、私は、中国はどうしても歴史に正統性を求める。自分たちはなぜ正しいか、共産党はなぜ正しいか。本当の正統性はそれだけではありません。今の生活、国民をどれぐらい豊かにさせているかということが重要だと私は思います。
ただ、どうしても、そちらの方にだけ力点を持ってくると、中国共産党もなかなか大変なものですから、どうしても愛国キャンペーンに行かざるを得ないと。ですから、今年我々が何度も言っていることは、愛国キャンペーンというものが抗日、つまり反日、これに結び付かないようにしてもらいたいというポイント一点でしかないわけですね。私は、正直申し上げると、今のところは今年はかなり苦しい状況になるかもしれないというふうに思っております。
○参考人(孔健君)
私の方は、さっき先生のところ配っている紙ですが、去年の中国社会科学院日本研究所のこれは中国国民の対日意識調査結果ですね、日本に親しみ感じてるのはただ六%と。それが、感じてないのは五四%と。二年前と比べて約一〇ポイント上昇と、対日感情は一段冷え込んでいると。また、日本の首相の靖国神社参拝については、四二%がどのような状況でも認められないという、まあそういうところですね。
私の方、さっき、歴史の認識への問題がどうなのかというところですね。多分このまま今年の方、できれば、私の方から、やっぱり多分中国の方も同じように、多分ひとつ今年はできれば避けてもらいたいと。なぜというと、避けてもらいたい、今年の方は戦争の方から六十周年というところですね、戦後というところですね。そういうことを避けられなければ、いろいろ中国の方、もっと反発出てくるし、もちろん、もっと言うと、小泉首相の認識しなくていいと、まあそういうところそのままとなると、やっぱり政冷経熱と。経済の方は熱はあるんですけれども、少しやっぱり日本の方に対しては不利の立場になるんですよ。例えば新幹線の問題、ダムの問題、いろいろ工事の問題を結局棚上げしたり、それから逆にドイツとかフランスとか回しちゃったところですね。
私の方は、経済のところは少し、ちょっとまあ考えてもらいたいと。なぜというと、中日関係の方はやっぱりこれから相互補完関係ますます強くなってきますから、やっぱり共通の利益の拡大を二国関係の基本というところで認識しないと、私の方は、まあちょっとやっぱり日中関係の方はやばいところ入っちゃうと、もちろんマスコミの方はばんばんやったら喜ぶかもしれないですけど、結局、経済の方は打撃を受けてると。中国は強くなればなるほどやっぱり日本の技術を求めますから、やっぱり中国からというと、我々の方はこれから、中国特需という言葉あるですから、できれば私の方は政治の方も少し、まあ中国、政治と経済一緒となっているけれども、日本の方は全然分離してるから、そういうところですね。まあこれは国の事情は全然違いますから、私の話。