[第161回 参議院 経済産業委員会 2004年11月2日]
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○小林温君
加納議員に引き続いて質問させていただきます小林温でございます。
今日はまず最初に、東シナ海における日中間の海洋権益をめぐる問題について政府の見解を伺いたいというふうに思うわけでございます。
この問題、十月の二十五日にも日中協議が行われたわけでございますが、これ日本にとって大変私は重要な問題だというふうに理解をしております。一つには、四方を海に囲まれた島国である日本において、国家の安定、そして繁栄は、やはりこの海洋権益を確保しなければ成り立たないということ、それから安全保障の面から見ても大変この海洋権益あるいは領土の問題ということは大切だというふうに認識をしているわけでございまして、今懸案の各種の諸問題に適切に対処するということが政府・与党にとっても大きな使命であるというふうに私は思っておるわけでございます。
たまたま昨日、中国の王毅大使と懇談をする機会がございまして、この問題についても意見交換をしたわけでございますが、平行線のままでございました。あした、私、委員会で中川大臣に同じ質問をさせていただくと言ったらちょっと嫌がっておりましたけれども、そういう意味も含めて、今日は是非しっかりとした方向性を示していただければというふうに思います。
まず最初に、一九六〇年代から民間、幾つかの会社がこの東シナ海域において試掘や開発を行うための鉱業権の取得を実は政府に申請してきたわけでございますが、政府は、一つ、これは一つの見方としては、中国側との境界線が未画定であって紛争のもとになるかもしれないということで、この鉱業権の付与については対応をしてこなかったという事実があるかと思います。今までこの申請を棚上げにしてきたということが結果的に今の日中間の状況を引き起こしたのではないかというふうに見る見方もあるわけでございますが、この点についての御認識はいかがでしょうか。
○政府参考人(小平信因君)
お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘ございましたとおり、排他的経済水域、それから大陸棚の日中間の境界画定がなされておりません東シナ海海域におきます鉱業権の付与につきましては、出願がなされました当時の国際情勢でございますとか、あるいは国連海洋法条約第七十四条及び八十三条の精神にもかんがみまして、これまで鉱業権の出願の許可又は不許可の処分を留保してきているところでございます。このような状況を打開すべく、平成十年から毎年開催をしております海洋法の問題に関する日中協議等を通じまして、東シナ海におきます海洋の境界画定に向けまして協議を行ってきているところでございます。
我が国といたしましては、国連海洋法条約に基づきます我が国の主権的権利その他の権利が侵害されないように今後とも適切に対処していくことが必要であるというふうに考えております。
○小林温君
遅きに失した感はあるわけでございますが、この問題の解決に向けて、問題が顕在化したこともあって今進み始めているわけでございます。
そこで、特に今回問題になっている部分も含めて、東シナ海における日中間の排他的経済水域、EEZの境界問題の解決に向けてはどういう方向性を考えておられるか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小平信因君)
この境界画定に関します我が国の立場でございますけれども、日中間、それぞれの領海基線から二百海里の重なり合う部分が境界画定の必要な地域であるというふうに認識をいたしておりまして、その重なり合う部分につきましては、いわゆる等距離基準に基づきまして中間線による境界を画定すべきであるという立場でございます。
この立場に立ちまして、先ほど申し上げました平成十年からの海洋法の問題に関する日中協議におきまして協議を行ってきているところでございます。また、十月二十五日に行われました東シナ海に関します日中協議におきましても、日本側としては、この立場に立ちまして境界画定をすべきであるということを明確に主張をしたところでございます。
この件につきましては、今申し上げました立場を引き続き明確にしつつ、中国側との協議に臨んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○小林温君
そこで、大臣にお伺いをしたいわけでございますが、一つ、先ほど海洋権益というものが日本にとって大変重要だと、そういう意味でこの東シナ海の問題はしっかりと対応していただきたいということを申し上げました。と同時に、この問題は、同じ北東アジアの中で大きく発展を続けている中国という国と我が国がどう向き合っていくのかという問題も実は抱えているというふうに私は認識をしているわけでございます。この東シナ海のガス田の問題のみならず、尖閣諸島についても中国側は領有権を主張しているわけでございまして、正にこれからの日中関係を考えていく上でこの各種の事案が大きなとげにもなりかねない状況もあるかと思います。
そこで、今ほど小平長官からも御説明がありました十月二十五日に行われた日中協議、局長級会議でございますが、これは決して私、個人的には納得のいくような中国側の対応を得られたというふうには思っておりません。その前後での大臣の御発言については私は心強く思っているところもあるわけでございますが、この十月二十五日の局長級会議の結果について大臣の御認識をお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(中川昭一君)
直接的には、この春暁ガス田、油、石油田が、日本が主張している中間線、これは今、小平長官答弁申し上げたように、これは日本が主張しているというよりも、日本の主張は二百海里ですから、それを重なる部分だから日本は中国に配慮して中間線にしていますというわけですから、日本が主張しているのは、譲った、向こうの存在を認めて中間線ということだということをまず我々は原点としておかなければいけない。中国の方は、沖縄トラフまでということは、もう日本のことはもう全く考えずに、大陸棚からどんと行った沖縄トラフまでということで、日本に対する配慮が全くない。私は、これは日中平和友好条約の精神並びに相手国の領土を尊重しましょうという条項がたしかあったと思いますけれども、この趣旨に私は反しているのじゃないかというふうにさえ思うわけでございます。
去年の十月以降、日本政府として情報提供を求めていたわけでありますけれども、ナシのつぶてでございました。その間、私は、先方の私のカウンターパート大臣を始め中国のこの関係の方々に何回もお会いをして直接お話をしましたけれども、これも結果的にはまあナシのつぶてというか、むにゃむにゃという感じで至ったわけでございます。
そうしているうちに、先方の方からこの問題で話合いをしましょうと。御承知のとおり、平成十年から日中間で領土画定の協議が行われておりますけれども、これが余り進展していないということで、特にこの問題を中心にして話合いをしましょうということで、二十五日に日本としては、この日中間の資源問題、それからその調査の問題、それから領海、境界画定の問題について話合いをしましょうということで行ったんでありますけれども、情報提供が極めて、我々にとって欲しいといいましょうか、この問題を解決するために有意義な情報というものは私自身ほとんどなかったというふうに判断をしております。
したがいまして、私は小林委員と同じでございまして、今回の日中協議、九時間以上にわたってやったというふうに報告を受けておりますが、日本側が真摯にそして具体的に話合いをしようとしたにもかかわらず、先方は何かいろいろ証拠らしいものは出してきたようでありますけれども、それによって事態の進展に資するようなものではなかったわけでございますので、この会議そのものは成果のあったものだというふうには私自身判断をしておりません。
今後またやりましょうということになっているようでありますけれども、こんなことの繰り返しであればまた時間の浪費と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、お互いに会う、会って長時間やる結果がこのようなものであるということが予測されるんであれば、私は、その間、着々と中国側は我々が問題としている地域の作業を進めているわけでございますので、はっきりとした成果が前提となるような会議にしていかなければならないというふうに考えております。
二十五日の会議については、それぞれ局長級というハイレベルであったことは意義がありましたけれども、成果としては、この問題解決に資する成果があったかというと、私自身は疑問だと思っております。
○小林温君
大臣の御認識、しっかりと受け止めさせていただきました。
この春暁の油ガス田についても明確な回答を得られなかった、それから、このEEZ内でほかにも鉱区を設定しているんじゃないかということについても明確な情報は得られなかったということも伝え聞いておるわけでございます。
そこで、中国側は、今回の問題は先送りする形で、東シナ海における資源の共同開発というものを提案してきたというふうにも報道をされているわけでございますが、時間を少し浪費をしている、あるいは時間稼ぎをしているという中国側の思惑も見え隠れする中で、日本側がこうした中国側の提案をどう受け止めていくかということもまた重要ではないかというふうに思います。この点についてはどういう御認識をお持ちか、お伺いできればと思います。
○副大臣(小此木八郎君)
おはようございます。
この共同開発ということでありますが、十月二十五日の日中の協議について申し上げれば、これは積極的に共同開発やろうということで第一義的に向こうから言ってきたとは報告を受けておりませんで、ただ、かつてこの日中協議がされてきたときに、例えば、先ほど委員もおっしゃいましたように、あの尖閣列島のことは棚上げにして共同開発を行っていこうかという提案はあったようでありますが、私は実は前の職務で衆議院の安全保障委員長をやっておりましたが、例のあの中国人の活動家がこの尖閣列島を、日本側として見れば不法にもう上陸をしたということについての抗議を含めた委員会決議を委員長として行ったところでありますし、この尖閣列島のものを棚上げにするということ自体は日本としてはもう問題にしてないと、問題解決だということでありますので、今回のこの十月二十五日の日中協議の中で共同開発という言葉は出ましたが、まずは今大臣がお答えをした問題について、しっかりと真摯に話し合って決着をしていくということが日本としては第一義的なことだというふうに考えております。
○小林温君
また新たな機会に是非この質問もさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、やはり今回のこの問題の解決には、政府としてしっかりと対応していただく、尖閣諸島の件も含めて、海上の例えば警備とか監視体制も含めて、我が国の領土をどうしっかりと守っていくかと、こういう対応が求められているんだろうというふうに思います。是非、経済産業省としても、そのリーダーとしての自覚を持っていただいて今後日中間の交渉にも臨んでいただければというふうに思います。
続きまして、もう十一月でございますので、年末に向けて税制改正の各種の議論も行われます。その点について幾つか御質問させていただきたいと思います。
一つは人材投資減税についてでございますが、構造調整が進展をしていると、それから日本企業も、今までの長期的な利益の追求から短期的な利益の追求というその経営のスタイルも変わってきている中で、企業における人材投資は減少しているというふうに思います。特にその人材育成支援についてのニーズが高い中小企業については、この人材投資というものが将来の競争力を担保する上で非常に重要であり、そのための税制上の措置というものも私は必要だと思います。
今年の税制改正要望について人材投資減税というものが一つテーマとして挙がっておりますが、この創設の具体的な効果、特に産業競争力の強化にどういうふうに寄与するかということについて御見解をいただければと思います。
○副大臣(保坂三蔵君)
この件は私どもの方からお答えいたします。
御案内のとおり、日本の人口の減少は目を覆うばかりの厳しい状況下にございます。当然、それに合わせまして生産年齢は減少の一途をたどっているわけでございまして、二〇〇〇年レベルで八千六百万人台の人口が二十年もたちますと何と七千五百万を割ると、一四、五%の減少につながるんではないかというようなことも言われております。
また一方、現下の経済情勢の中からリストラが進んでまいりまして、企業にとりまして重要な人材も場合によってはリストラの被害に受けた、こういうような両者の傷がございます。
またその一方では、ちょうど平成十七年ごろからでございますけれども、団塊の世代が定年制を迎えるということで、たくみの技とか逐年で蓄えてまいりました生産性の高い技能なども一緒に卒業してしまうわけでございます。
こういう状況からいいますと、私どもといたしましては、企業が本来自力でそれに対応していくべきなのでございますけれども、八八年をピークにいたしまして、現価で比較をいたしますと、企業が人材育成のために投資している必要額は何と一千億円ぐらい減っているという実態がございます。
そこで、我々といたしましては、産業空洞化を含めまして日本の企業の将来にわたりましての競争力を、産業競争力を高めるためには、一人一人の企業の人材をスキルアップするなど、それ相応の努力をしていかなくちゃならない、このように思っております。
そこで、新年度の税制におきまして、人材投資減税を我々といたしましても懸命に喫緊の課題として提案をいたしまして、税額控除などによりまして企業が人材育成のために費用を投下した場合はそれを助けてやる、こういうようなインセンティブ税制としてこれを考えているわけでございます。
一層の御支援のほどをお願い申し上げたいと存じます。
○小林温君
是非、この税制措置はお願いをしたいというふうに思います。
それから、十月の二十六日に調査結果が公表されました地域中小企業金融ヒアリング、これを私、拝見をさせていただいて、非常に中身があるものだという理解をさせていただいているわけでございます。
その中で、中小企業の資金繰りは、ばらつきあるとはいえ、おおむね改善傾向にあるというふうにされているわけでございますが、その中で、当委員会でも議論をしたりあるいは各種の法整備を行ってきた政府系の金融機関あるいはその信用保証協会の貸付け、保証についてはおおむね評価をされているという結果も出ているようでございますが、この点について、調査結果、少し中身について御言及をいただければ。
また、七月から中小公庫が証券化支援業務を開始をいたしました。これもこの委員会で法整備を行わせていただきましたが、この進捗状況についても教えていただければというふうに思います。
○副大臣(保坂三蔵君)
お話のございました調査は、本省といたしましても非常に重要な調査としております。それは、単にデータを集める、この机上で調査をするだけではなくて、中小企業庁の幹部がそれぞれ現地へ参りまして、地元の金融機関、あるいはまた地銀、あるいはまた自治体等、中小企業団体等に直接、フェース・ツー・フェースで調査をいたしました。その結果を私どもは、聞き取り調査の結果を参考にいたしまして今後の対策を打とう、こういうことでございます。
中小企業向けの金融でございますけれども、全体としては改善方向にある、改善方向にあることは、今小林委員のお話のとおりでございますが、やはり何といいましても小規模企業にとりましては依然として厳しい状況が続いているわけでございます。この中で、政府系三公庫が行っております資金繰りに対する対策につきましては好評、高い評価をいただいているところでございまして、引き続き一層の努力を展開してまいりたいと思っております。
また、後段でございました、この七月一日に開始いたしました中小公庫の証券化支援事業、これにつきましては、この業務につきましては、ちょうど第一号の案件といたしまして、五十八社二十六億円の貸付債権の証券化を行うことができました。
率直に申し上げまして、当初は三けた台ということを考えておりましたけれども、まずは立ち上がりでございまして、制度の普及といいましょうか認識をもう少し徹底していこうということで努力してまいりましたところ、現在、調査、準備中でございます第二号案件ではおおむね三けたの取決めができることになろうと考えております。
この証券化支援業務につきましては、現実的に小口のものを集めてそして証券化していくという非常に現実的な手法でございますので、これからも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○小林温君
終わります。ありがとうございました。