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国会発言録

[第159回 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 2004年4月19日]

この内容は関連記事でも紹介されております。

    2004年4月20日 神奈川新聞

○小林温君

 自由民主党の小林温でございます。

 本日は参議院ではこの金融問題及び経済活性化に関する特別委員会のみが審議が行われておりますので、一言、無事解決をされましたイラクの人質問題につきまして、大変熱心に御努力をいただきました政府並びに関係の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

 そこで、今日は、金融と経済、二つの名前が付いた委員会で質問させていただくわけでございますが、私、かつて企業の経営をしておりましたので、どうしても借り手側あるいは企業の立場から政府の打ち出される政策、施策が金融を仲介にどう借り手側である企業に影響を与えるかという方に目が行きがちなんでございます。参議院でも衆議院でも、例えば財金あるいは経済産業それぞれで経済問題、金融問題の議論が行われているわけでございます。例えば、後ほどちょっと質問申し上げようと思いますが、金融検査マニュアルについては財金で議論が行われると、それから中小企業の関連でいいますと、融資の証券化を中小公庫に担わせる公庫法というのを実は経済産業の委員会で先週成立をさせていただいたわけでございます。こういったそれぞれの法整備あるいは政策の展開が一体となってやはり景気の回復の道筋を付けていくということが大事なんだろうというふうに思うわけでございます。

 そこで、今日、竹中大臣に幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、先日、月例経済報告が発表になりました。私、常々、景気回復の途上にあるのは間違いないが、まだ壁があるんだと、そしてその壁は、一つには大企業から中小企業、そして都市部から地方へ、そして製造業から非製造業へいかにこの景気回復の橋渡しをしていくのか、これが今の日本の政治にとって大きな課題だということを申し上げてきたわけでございますが、先日の月例経済報告を見ると、この問い掛けに対する答えがかなりの部分見受けられるという印象を私は持たせていただいたわけでございます。

 ここまで来ると、景気回復が本格化してきたという議論に、意見にそれほど異論もないような状況になってきたのかなと思います。少し前までは、この景気回復というのは循環型なので、決して内閣や政府の施策の効果が出ているわけではないという批判もあったわけですが、そういう声もどうも聞こえなくなってきたんじゃないかというふうに思います。先月には予算も成立したわけでございますが、総理もよくおっしゃりますけれども、補正予算必要だと、こういう声も実は聞こえないわけでございます。

 こういう流れを受けて、とはいえ、やはり景気というものは国民にとって最大の関心事でございます。小泉内閣として、この確かな足取りをしっかりと国民の皆さんにアピールをしていただく、そして安心感を持っていただいて消費回復につなげていくと、同時に、私は後ほどまた質問をさせていただきたいと思いますが、ではどこにまだ課題が残っているのかということについても明確に示す必要性があるんだろうというふうに思うわけでございます。私、今回の景気回復を見て、議論のかみ合わない部分もあるのは、一つには、過去の経験則が適用できない、そういう形での回復が進展しているんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 そこで、竹中大臣に、政策の責任者として、あるいは経済学者、エコノミストという立場も踏まえて、今回の景気回復の特徴というものをどういうふうにお考えになっているのかということについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)

 冒頭、小林委員から大変包括的な現状についての御説明を既に非常に丁寧にいただいたというふうに思っております。

 委員の直接の御質問、時間の制約もあろうかと思いますので、に限らせていただきますと、景気回復の特徴をどのように議論するのか。ここはやはり、実は経済の現状判断の上でも大変重要なポイントであると我々考えております。いわゆるバブルが崩壊しましてからこれまで、過去にも二度景気回復のチャンスがありました。一つは九六年から九七年ぐらいにかけての時期、もう一つは九九年から二〇〇〇年にかけての時期、そのような時期であったというふうに記憶をしておりますけれども、そのときと比べると私はやはり三点ぐらいの点で違いがあるというふうに認識をしております。

 第一の点は、やはり過去二回に比べて金融が非常にしっかりとしたものになってきている。少なくともそういう実績が現れつつあるし、またそういう認識が広がりつつあるという点ではないかと思います。

 金融の問題に関しては、以前、まだ回復期にあったときも、そもそも不良債権がどれだけあるのかと、そういうことを非常に疑問視する専門家が多数いた。そうした中で、しかし、資産査定のルールをきちっと作って、それが浸透している中で今検査をしっかりして、もちろん個々にはいろんな問題まだ残ってはいるわけですけれども、資産査定がしっかりして不良債権が洗い出されてきているということに関しての認識は広がっているんだと思います。

 また、特に主要行に関しましては、目標を決めて、それで不良債権比率が今着実に低下して、来年の三月期には四%台というのを我々是非実現したいと思っておりますし、またできるというふうに思っておりますが、不良債権が減っている。そういう中で、経済の根幹を成す金融に対する信任、コンフィデンスがやはり過去二回とは大幅に違っている。こういう点は、株価全体が上昇する中でも、特に銀行の株価が上昇してきたということに集約的に現れているんだと思います。

 繰り返しますが、個別にはもちろんいろんな問題あるわけですが、昨年一年、日本の株価は四七%上がっております。これ、アメリカのダウが三〇%、イギリスが二〇%ぐらいですから、それを上回って上がっているんですが、実は四メガバンクの株価は、平均が四七%で上がる中で、四倍に昨年一年に関してはなっております。それまでの低下が大きかったんだという御批判はもちろんあるわけですが、しかし、それにしてもこの信任の上昇というのはそこに現れている、これが第一だと思います。

 第二は、需要面で見て、政府の需要に頼らない形で、正に民需主導になってきているということだと思います。

 前回の景気回復局面では、数次にわたる経済対策、これは二十三兆円ないし二十四兆円ぐらいの累次にわたる規模の経済対策を取られて、それによってようやく全体の需要が持ち上がったということでございますが、今回は大きな補正予算を組むことなく、正に民需主導でこのような回復になっているという点がやはり二番目の大きな特徴だと思います。これは、総理が将来にツケを残さないんだという非常に強い姿勢の下で、政府に頼らない自助自律の成長を目指すということが、これはメンタルにも日本の経済の各部門に浸透していっているということであると理解をしております。

 第三番目の特徴は、実は第一、第二とある意味で関連するんでございますが、実は地域間の格差がやはり今までとは少し違う形で出てきている。端的に言いますと、一律に公共事業を各地域に配賦する場合、その各地域の成長率というのは似てくるわけでありますが、今回、そういうことをやらないということになりますと、例えば今でありますと、非常にIT等々に特化している地域は伸びるんだけれども、そうでない地域はなかなか伸びないと、そういう問題が新しく出てきているという点もこれは問題点として認識をしなければいけない、これも特色であろうかと思います。

 したがって、小林委員、将来の課題ということを挙げられましたけれども、実はこの地域格差の是正、地域再生という新たな構造問題に取り組むということが大変重要な課題になっているというふうに認識をしております。さらには、これを、やはり今企業部門が引っ張っていっているという形を、早くやはり消費を巻き込む形、家計に広げなければいけない、それも引き続く課題であるというふうに思っているところでございます。

○小林温君

 大臣から、今、金融、民需、地域という特徴を挙げていただいたわけでございます。今幾つかの課題についてもお触れをいただいたわけでございますが、先ほど申し上げました中小企業の問題としては依然として残っている。これは少し大臣にも中小企業の問題についてお答えいただいて、後ほどまた中小企業庁にもお伺いをしたいと思いますが。

 それから、経済指標を見ると、デフレの克服ということについては、これはいまだ道半ばの感もあるわけでございますが、この点についてどういうふうにお取り組みになられるか。それから、企業の業績が改善したと、これを家計あるいは消費へどうバトンタッチしていくか、つなげていくか。今日、実は日経新聞に賃上げの記事が出ておりまして、賃金上昇率が七年ぶりに前年実績を上回るという、こういう統計があるわけでございますが、これが消費の拡大につながるんであれば消費マインドの改善が景気を下支えすると、こういう状況にもなるんだろうと。これを一日も早く是非実現をしなければならないんだというふうに思います。

 それから、失業率も全体としては改善をしているわけです。数字にも表れているわけでございますが、ただ、例えば高校を卒業された方、大学卒業された方、若年雇用の部分についてはまだこれ依然として課題が残されていると。フリーターということが言われるんですが、この増加も失業率とはまた別に、一種の社会現象だということもあるんでしょうが、仕事に就きたくてもまだ就けない、見付からない若者がたくさんいるというのも現実だろうと思います。この若年雇用の問題についてどういうふうに今後、今申し上げたような課題について取り組まれるかということについてお答えをいただければと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)

 今、主に四点御指摘をいただきましたが、どれも大変難しい問題でございます。できるだけ簡潔に御答弁をさせていただきますが。

 まず、デフレの御指摘、御指摘のとおりでありまして、実物経済はかなり良い方向に向かっているんであるんだけれども、デフレの問題は依然として残っている。これは引き続く我々にとって大変重要な課題であると思っています。デフレを解消するには、実物経済を良くして需給ギャップ率を小さくすること、同時に一方でマネーが増える状況を作っていくこと、この二つを実現することがどうしても必要であると思っておりますが、実は需給ギャップの方はかなり改善したという状況に今至っております。しかし、マネーが増えない。昨年一年間のマネーサプライの伸び率は、その一年前に比べてむしろ半分ぐらいに低下をしている。このためには、引き続き金融仲介機能を高める努力を金融庁の方でしっかりとやっていく、一方で日本銀行にも一致協力していろんな御努力をいただくと。これはやはり引き続く課題であると考えております。

 企業部門から家計部門への波及がどうなるかという第二の点は、正に今の景気回復が更に持続し加速するかという大変重要な分かれ目になると思っております。

 この消費、家計部門に至るプロセス、その王道というのはある意味で私は単純明快であろうかと思います。それは、企業がしっかりと稼いで、しっかりと稼いだ成果をしっかりと給料として支払う、そうすることによって家計も潤って消費が伸びていく、これがやはり何といっても王道なわけでございます。今そこが、ようやく微妙にそこに差し掛かる可能性があるというところに来ている。これは一部まだ自動車等々を中心とした好況業種ではありますけれども、そうしたところで、一時金という形ではあれ、史上最高の一時金を支払う会社が出てきている、そういう状況を拡大していけるかどうかに懸かっていると思います。ここは注意深く見ていくつもりでございます。

 地域への広がりについては先ほど申し上げましたけれども、以前から申し上げておりますように、ここは公的部門のアウトソーシング、それと農業、建設業といった地域の基幹産業の競争力強化、事業転換促進、さらには観光に象徴されるような各地域の新しい個性を生かした産業の創出、これらをやはりすべて行っていかなければいけないと思います。地域再生本部ができておりまして、その中で正に今そういう取組をしておりますので、このやはりチャンスを生かす努力を是非したいと思っております。

 最後の、雇用の問題でございますけれども、御指摘のように雇用情勢、実は景気が良くなっても雇用が余り良くならないじゃないかという御指摘をよく受けるんですが、実は過去二回の好況と比べると、正に景気が良くなっても失業率は高まったわけです、過去二回は。しかし、今度は景気が良くなって失業率は若干だけれども下がっておりますので、少しは良い方向が見えている。しかし、失業率の水準そのものは高いし、何よりも御指摘のようにそのしわ寄せが若年層に集約して現れる形になっている。

 これについては非常に、教育を含めて非常に中長期的な取組が必要だと思いますが、当面は、昨年六月に取りまとめました若者の自立・挑戦プラン、それに基づく諸施策、ジョブカフェを作り、ワンストップでいろんな情報提供をしていく、いろんなトレーニングの機会を多様化していく、この点は産業界等とも密接に連携しながら力強く前向きに取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

○小林温君

 是非この今の流れを更に強くするような施策を、それぞれの課題を抱えた部分においてお願いをしたいというふうに思います。

 地域のお話にもお触れをいただきましたが、例えば東北とか東海の地域の景況感というのは非常にいいわけでございまして、私も委員会の視察等で各地の経済の実態について現地でいろいろ拝見をさせていただいてもおるんですが、その中で、例えば最近よく取り上げられますITの設備投資を始め非常に力強い部分があるのと、今大臣のお話にもあったように、各企業が構造転換、産業としても構造転換を図っているところがある。

 先日、奄美大島に予算委員会の視察で行ったわけでございますが、現地の地場のゼネコンさんが軒並みしょうちゅうを実は工場を造られて生産をされて、しかもかなり業績がいいという実態も拝見をさせていただきました。ゼネコンが例えば福祉の分野に乗り出していくという例も見られるわけですが、地域による景況感のばらつきというものをしっかりと政府で把握をいただいて、そしてまだいろんな形で施策が、手当てが必要な部分については地域再生あるいは特区、こういった部分でその底上げにまた努力をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 橋本政権下、先ほど過去二回の景気回復という御言及もいただきましたが、やはり景気が失速してしまったと、この経験からいかに学ぶかということも我々の大きな課題であるかと思います。その景気の回復がある程度進んだときに手綱を緩めてしまったのかなと、私はこういう感想を持っているわけでございますが、今大臣からも御答弁いただいたように、今回の景気回復が構造改革のある意味では結果だとするんであれば、規制緩和であるとか金融改革、財政構造改革、こういった部分を緩むことなく進めていただきたいと。改革なくして成長なしという有名なキャッチフレーズがありますが、成長があるからこそ更に回復を進めると、この成長と回復が両輪となって日本全体の構造がまた変わっていくという方向に是非導いていただきたいと、こういうふうに思うところでございます。

 それで、少し金融検査マニュアルの点についてお伺いをしたいというふうに思いますが、私が福島で中小企業の経営者をしていたときに、私の朝起きて一番の仕事というのは、シャッターを開けて店の掃除をしてから銀行に行くんですね。それで、私が行かなくても従業員が行けばいいんですが、私が前の日の売上げを袋に入れて持っていって窓口に預けている間に、少し奥に入って支店長さんなり次長さんとお茶飲み話をすると。これがリレーションという、リレーションシップというんであれば、こういった形でいろんな金融機関と借り手の信頼関係というのは実は生まれてくるのかなと。これは私の率直な感想でございますが。

 今回の金融検査マニュアルの中小企業版の改訂というのは、ヒアリングを中小企業、借り手側にもしていただいたと、それから中小企業に向けたインセンティブを付与をしていただいた、あるいは中小企業金融の実態に即した内容になるべく改訂をしていただいたというふうに私は拝見をさせていただいているわけでございますが、この改訂が、金融機関はもとより、借り手企業に対してどういう影響を与えるのかということについて、その効果がどこにあるのかということについてお答えをいただければと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)

 冒頭、委員から金融システムというのは利用者のためにあるんだという御趣旨のお言葉ありました。全くそのとおりだと思います。そうした観点も踏まえて中小企業の実態に合わせたマニュアルの改訂を行ったと、大変大きな作業であったというふうに我々自身も実は考えているところでございますが。

 お尋ねの借り手企業に与える影響でありますけれども、我々のねらいというのは、金融機関の非常に積極的な中小企業再生への取組というのを正に多様な観点から評価したい、そういう様々な対応を評価したいというふうなのがその中の重要なポイントとしてございます。これが恐らく借り手企業に対して非常に重要な環境変化をもたらすのではないかというふうにも考えているわけですけれども、例えば具体的に言いますと、検査を行うに当たりましては、金融機関が債務者と行う日ごろのコミュニケーションを通じて債務者の経営実態を、把握状況を、どのように行っているのか、どの程度行っているのか、それをしっかり検証する。正に朝、支店長とお話しになる、しょっちゅう顔を合わせてやっている、ないしは企業に実際に金融機関の人が行って見る、そういうような状況をしっかりと検証する、中小企業の債務者区分においてはキャッシュフロー等々の経営実態を非常にきめ細かく検証する等の運用の改善、その明確化を図る、そういうことをしっかりとその中には織り込んだつもりでございます。

 もう一つ重要なのは、これもまあこの委員会でも何度か御議論をいただきましたけれども、日本の中小企業というのに対する資金、特に長期運転資金というのは言わば根雪のようなものであって、本来は貸付けというよりは出資的な性格を持っている、これをやはりしっかりと位置付けないと正に本当の意味でのリレーションシップバンキングにはならないだろうと。そうした観点から、金融機関が借り手の経営改善計画の一環として、いわゆるデット・デット・スワップによって当該融資を資本的劣後ローンに転換するというようなことの場合には、この資産査定上の取扱いとして、資本的な劣後ローンを借入れではなくて資本、自己資本とみなすと、そのようなことができるようになりました。ここはやはり是非大いに活用していただきたいし、実際活用するところも出始めているというふうに認識をしております。

 今後は、こうしたデット・デット・スワップの取扱いも含めまして、別冊の改訂に含まれているメッセージでありますとか、こういったきめ細かな検査の実施が中小企業の融資の円滑化又は中小企業に対する再生を促す、そういう取組に資するということを期待をしております。

 この中身は金融機関だけではなくて事業者にもやはり分かっていただかなきゃいけませんので、その辺の周知徹底もしっかりと行いたいと思っております。

○小林温君

 是非、借り手側にも今周知徹底をという話もありましたが、お願いします。

 今、DDSの話がありましたが、私も平成五年に福島の実家に帰って家を継いだんですが、そのときに現実的には過少資本、実質的には債務超過の状況でございました。これをカバーするために、先ほど大臣が根雪とおっしゃられた、その長期固定的に銀行はお金を貸してくれているわけでございますが、これは大体三か月で手形を書き換えてその分利子だけ払うという仕組みなんですが、私が帰ったときに私の会社にありました手形は実は最初昭和四十六年のものでございまして、私は平成五年に帰りましたので、私のじいさんが借りたものがずっと借換えを通じて結果的にはその資本をカバーしているという形でございました。これが実は金融危機、九〇年の末のころには、おたくの担保状況を見直したら実は足りないから、この根雪の部分についても少し見直しをさせてもらえないかという話を実は窓口でされたわけでございまして、数十年前にうちのじいさんが借りた借金なんでありますが、こういう対応を実は中小企業は窓口で迫られているという現状もあるというのが事実だと思います。

 やはり、いろんなところで言われますが、幾ら日銀がベースマネーの供給量を増やしても、窓口で中小企業向けの融資が進まない。これは窓口の方が考えるのか、その上の責任者の方が考えるのか、はたまた支店長さんが考えるのか、これは様々でしょうが、やはり言い訳ができないような金融の把握というものを是非金融庁にしっかりとお願いをしたいと思うところでございます。

 それで、最後に中小企業の景気回復の点について、少し中小企業庁さんにも経済産業省さんにもお伺いしたいと思うんですが、先ほど来景気の話で申し上げましたように、大企業の収益力の改善に比べてやはりまだ中小企業の収益改善というのは進んでいない、これも現状だろうと思います。

 その原因には今議論させていただいた金融の問題もあるわけでございますが、この中小企業になかなか景気回復が波及しないということについて、どういう現状認識をお持ちか、御質問させていただきたいと思います。

○政府参考人(西村雅夫君)

 我が国経済につきましては、全体といたしましては設備投資と輸出に支えられまして着実な回復を続けておりますが、一方、中小企業の景況につきましては、製造業、非製造業ともに持ち直しの動きが見られますものの、回復に後れが見られる状況であると認識しております。これは、大企業が設備投資、輸出に大きな影響を受けるのに対しまして、中小企業の大部分を占めます非製造につきましては、民間消費に大きな影響を受けることが原因であると認識しているところでございます。

 私ども経済産業省といたしましては、中小企業の景気動向につきまして引き続き万全の注意を払ってまいりますとともに、中小企業の金融対策、中小企業再生支援、挑戦する中小企業支援を三つの柱といたしまして、中小企業をしっかり御支援してまいりたいと考えております。

○小林温君

 もう時間もありませんので、一つ大臣にもう是非お願いをさせていただきたいと思いますが。

 実は、参議院の自民党では、月例経済報告が出ますと、すぐに大田統括官に来ていただいて、その御説明をいただいて景況の把握に努めているわけでございますが、このデータの基になっております産業の把握というものが果たして実体経済に即したものであるのかと。これは業種でありますとか、分野でありますとかというところでございます。なかなか景況感が良くならない中に、やはり旧来型の、どちらかというと古い産業構造の部分が今まで経済統計の体系として主となって、対象として主となってきた部分があるんだろうと思います。景気ウオッチャーという指数も取り入れていただいていますが、これはあくまでもやはりサブの指数でございまして、その元々の、例えばこれは日経平均あるいはダウも含めて、経済構造が変わるに応じて業種を入れ替えて加重平均を変えていくという手法もあるわけでございますので、現実に新しい産業の芽が育ちつつある、あるいは育ってくるのであれば、そういう分野もしっかりとこの指数を取る対象に入れていただきたいと思うわけでございます。

 一例を申し上げますと、例えばかつてのバブル時の景気が良いというのをどういうふうに見ていたかというと、例えば不動産や建設でもうけた方々がいろんなものを買って、夜も銀座や六本木に行ってお金を落として、帰りはタクシーやハイヤーで帰っていたわけでございます。ところが、今現実に、例えばIT等で公開をしてお金を持っている方は、そういう消費構造ではなくて、マンションもいいマンションがあれば買うよと、あるいは夜は飲みに行かずに家で例えばワインを買っていって高級ワインをたしなむよと、タクシーには乗らないよと、こういう部分もあるわけでございます。ですから、消費の構造自体も実はかつての形では把握できない。これは産業の部分もそうだと思いますが。

 是非こういうところを、その各種の指標の取り方の中でも勘案していただきたいということをお願いをしたいというふうに思います。簡単にお答えいただければ。

○国務大臣(竹中平蔵君)

 大変重要な御指摘であろうかと思います。なかなか難しい、作業としては難しい面、もちろんあるわけでございますが、どういう形が可能か、新しい問題意識を持って是非取り組みたいと思います。

○小林温君

 ありがとうございました。