[第159回 参議院 国際問題に関する調査会 2004年4月14日]
○小林温君
イラクの人質事件もあって、我々のこの調査会で議論してきた中身が正しかったのかどうかということも問われているんだろうというふうに思いますが、そんな中で、一つは、この調査会で、今イラクに目が行っているわけですが、アフガンのときから議論をしてまいりました。そしてイラクがあって、その間、中東和平へのプロセスというのは行ったり来たり、いろんな変化があるわけですが、例えばそれに加えて、イラクのああいう状況を見てイランも今変化を見せているようなという現実もあるわけで、この三年間に中東あるいはイスラム諸国の全体、鳥瞰図として見た場合に、日本の外交戦略的な観点から考えた場合に、何か大きな変更を迫られる部分というのがあるか。つまりそれは、その中東の中でこの三年間の間にどういう国が重要性を増して、日本として更に深い関係を築くべきかという、こういう視点があれば是非教えていただきたいというのが一つ。
それから、これもこの調査会の中で議論されたことですが、やっぱり長期的な観点で外交関係の醸成を図っていくという意味においてODAというのは重要だろうというふうに思うわけですが、イラクの復興支援にはある程度の金額がもう既に計上されておりますし、その中でODAも使われていくわけですが、そのイラクの復興支援を例えば後押しするような、地域、中東地域全体に対するODAの在り方、あるいはその戦略の必要性というようなものについてどういうふうにお考えか。ODA大綱では戦略性ということをこの前の改定の中で盛り込まれたわけで、そういう地域についてどういうふうにお考えかということ。
それから、先ほど経産省さんの方から経済関係のお話もあったわけですが、例えば石油関連、それから投資をいかに誘導するか、それから雇用の創出で御努力をいただいているというところ、その辺のところですね、具体的にどういう産業あるいは分野においてこういう将来的な経済関係の芽が出そうな部分があって、そういう点について政府としてどういうお取組をされているかということ。
三点、お聞かせをいただければというふうに思います。
○政府参考人(奥田紀宏君)
それでは、最初の二つの質問についてできるだけお答えしたいと思います。
最初の、この三年間の中東の動きを見て、これまでのやり方でいいのか、今後動かすべき点はないのか、注意すべき点はないのかということでありますけれども、私は多々あるんだろうというふうに思います。もちろん、多々あるといっても、例えば湾岸、サウジを含む湾岸諸国のやはり安定性というもの、それとの友好関係、伝統的な友好関係を維持していくというようなことは、これは基本的に変わらないんだろうと思いますけれども、今おっしゃった、イラクはちょっと今この時点でなかなか政策論議をしにくいわけですけれども、例えばイランでありますとかアフガニスタンでありますとか、それからパレスチナ、イスラエルの中東和平の問題というようなことを見ていきますと、やはりこの三年間で、今まで以上に我が国が、単に中東地域における各国の政策の観察者ということではなくて、やはり実態的にも自分の問題としてこの地域で積極的なかかわりを持っていくことがどうしても必要になってきつつあるのではないかという感じがいたしております。
そういう観点から、恐らく重要なのは、一つはもちろん中東和平の話ですが、他方で、やはりとかくいろいろ問題があると言われているイランとの関係、非常に重要だと思います。これについては、イランは最近、核開発の疑惑についてIAEAでできるだけの説明をしようという努力はしておりますけれども、これはまだ必ずしも完全に行われているわけではない。したがって、そういうイランの動きを促進しながら、日本としてイランとの関係を更に進めて、この国を国際社会の枠の中にきちっとはめていくということが求められているわけで、そのために私は日本が今まで以上にもっとやることがあると思いますし、それから中東和平の問題でありますけれども、これももちろんアメリカがきちっとこれまで以上に関与していくことが重要ですし、そのことは私どもは以前からアメリカにも申し上げているところでありますけれども、それだけではなくて、やはり日本がパレスチナ支援のみならず、例えば信頼醸成のための様々な措置等に絡んでいくということが現地からも求められておりますし、我々としてもそれをやっているということを中東の人たちに理解してもらう、見てもらうということがやはり中東における外交で必要だと思います。
そういう意味で、やはり周辺の傍観者から、一般的に言えば周辺の傍観者から、やはり中東におけるいろいろな政策にこちらから進んで関与し、自国の、すなわち日本の利益になるようにできるだけそれを動かしていく努力をすべきだということがこの三年間でより強まってきたのではないかという気がいたします。
それから、ODAの話でございます。
私、中東局でありますので、ではありますけれども、その立場を離れて申し上げれば、イラクの復興援助、かなり巨大な額をコミットいたしました。無償、円借合わせて五十億ドルという額をコミットしております。これを後押しするような中東におけるODA政策というものを考えなくていいのかということでありますけれども、ODA自体は、これODAだけで考えられないんだろうというふうに思うんですね。やはり私が今申し上げたような、より日本の政策というものをやはり現地でやっていくために、やっていくためにもその役に立つようなそういうODAの使い方ということが、今の先生が御指摘になったと私の理解で思うんですけれども、イラクに対する今回の復興支援を後押しするようなそういうODAにつながるんだと思います。
この観点では、やはり中東和平で我々、額は結構なことをやってきたと思いますけれども、それを今後どのような使い方をしていくかということ、特に我々もこの時代にODAが今後なかなか増えにくいということを前提にいたしますと、今までのパレスチナの関係のODAの使い方でいいのかどうかということも考えながら、より積極的に日本の顔の見えるようなやり方を考えていくべきであろうというふうに思いますし、それから、イランとの関係でも、これまでもやっておりますけれども、これもやはり日本のあの地域、イランにおける存在感が増すような、そういうODAをやはり考えていくべきなんだろうというふうに思います。
取りあえず、以上です。
○政府参考人(近藤誠一君)
一言補足をさせていただきます。
対中東の外交戦略の一部として、私は、今後文化面での協力を強めていきたいと思っております。橋を造り、あるいは病院を建てることも重要ですが、貴重な遺産、文化遺産、博物館の補修、それのメンテナンスといったことに協力をするということは、自国の文化に誇りを持つ中東の人々にとって大変うれしいことであると思っております。
それからもう一つは、具体例は、例えばアテネ・オリンピックに向けて選手を日本に招待をし、あるいは機材を供与して彼らを応援するということをもうやっております。御記憶のとおり、ベルリン・オリンピックで前畑選手が金メダルを取った、あれが戦後の苦しい日本人にどれだけ元気付ける要素になったかと考えますと、是非イラクの選手にアテネで旗を揚げていただきたい、それに協力をしたいということで、わずかでございますが、いろいろな形で支援をしております。
そういう意味で、イラクの国の再建に精神面で協力をするということを強めていきたいと思っております。
○政府参考人(山本俊一君)
中東との関係においてどういった分野で協力が可能か、やっていけるのかという御質問だったと思います。
それで、一つは、これから有望な分野としては、一つはやっぱり石油の外延ということで石化であるとかガスであるとか、そういったものはあろうかと思います。
それから、中東に関してはやっぱり人口が非常に増大しておりまして、都市問題、非常に出てきております。環境絡みの問題についてやはり相当できるのではないかというふうに思っています。こういった環境絡みのところになりますと、日本の中小企業がかなりいい技術を持っておりますので、中小企業とマッチングするという意味では、官の役割としては、中東に今ジャパン・デスクという形で幾つかの国に日本人を派遣して、日本の企業とマッチングをするというようなことなぞをやっております。
それから、新たな分野としても、中東は今観光に物すごく力を入れておりまして、観光産業は特にサービス業ですから、地元の雇用にも役立つという形で、観光絡みの協力ということができないだろうかというようなことなぞを考えております。