ホーム 実績とビジョン 活動報告 国会発言録 講演実績 関連記事 プロフィール ブログ リンク集
国会発言録

[第159回 参議院 国際問題に関する調査会 2004年2月16日]

○小林温君

 自民党の小林温です。

 まず、長参考人にお聞きをしたいと思うんですが、その前に、ジェンダーのことについて触れていただいたんですが、我が調査会に女性が今年はおりませんで、大変申し訳ないなと思っておりました。

 それで、これ先ほどほかの委員の方々からも質問があったんですが、例えば大義がイラク戦争にあったのか、あるいは憲法と自衛隊との関係がどうだったのかという論点は残るにしても、現実的に今自衛隊が中東に行って、そして人道復興支援にかかわっているわけですね。この中で、長参考人が言われた官とそれからNGOとの役割分担というのがどうあるべきかということについて具体的に教えていただければと思います。

 というのは、自衛隊が行くのはまかりならぬ、その代わりにNGOにそれを担ってもらおうという実は議論もあるわけですが、どういう、まあ治安状況を考えると、やっぱり自衛隊のように自己完結できる主体でなければやっぱり中東ではその任は負えないんじゃないかという反論もあるわけで、そういう点から、現実的に自衛隊がどういうことをすべきかと、まあ自衛隊が必要じゃないというもしお考えでしたら、それも踏まえて、教えていただきたいと思います。

 次に、津守参考人にお聞きしたい。

 これは先ほど高野委員からもお話があったことですが、ポラックさんというのはブルッキングスの方だと思うんで、多分どちらかというと政権寄りの方だと思うんですが、彼の案を下敷きにいろんなお話を今回、今日はいただいたわけですが、そうすると、例えば先ほど高野委員からあったイスラエルがこの湾岸の枠組みには入らないということが、まあどちらかというと、アメリカの、イスラエルには余り触らないで、湾岸の方の枠組みだけ作るという流れの中で出てきているということは否定し得ないんじゃないかなという気がするんですが、この点について、つまりアメリカのコミットメントというものとイスラエルとの関係というのはどういうふうにお考えかということですね。

 それともう一つは、日本が仮にリーダーシップを取るという場合に、それはアメリカの今の考え方の中では、日本がリーダーシップを取るということと、当然日本の独自性を発揮するということですが、これがアメリカの考え方なり国益なりと、アメリカの持っている考え方と背反するという可能性はないのかということについてお伺いできればというふうに思います。

 それから、茂田参考人でございますが、国際テロの対策担当の大使もやられていたということで、ちょっと今日の意見からは少し離れるんですが、九・一一があって、テロ特措法を国会でも制定をさせていただいて、昨年、その延長もかなり混乱した中で行ったわけですが、どうもそのテロ特措法という名前が付いているのにもかかわらず、米英軍への燃料補給がこのテロ特措法の中身になってしまっていて、現実的にテロに対する対応というものがどういうふうに法的に担保されているのかということが今見えない状況があるというふうに思います。

 これから、例えば、今回中東に自衛隊が行くことによって、例えば現地で様々なテロに自衛隊も含めた我が国の関係者が遭遇することもある、あるいは、巻き込まれ論で、自衛隊を出したことによって例えば日本国内でテロも予想されるということも実は言われているわけですが、こういう点について、現実的にテロ特措法という文脈で今どういうことが議論として必要なのかということについて御意見をいただければ。

 それと、テロ特措法、それからイラク特措法で自衛隊の海外派遣において恒久法が必要だということが言われているわけですが、これもどちらかというとテロの話とは少し離れたところで議論が行われている気がするんですが、この辺との絡みも含めてお考えをいただければというふうに思います。

○参考人(長有紀枝君)

 イラクの場合なんですが、現在、政府の支援あるいはNGOの支援、例えば学校建築であるとか病院の修復であるとか、一見したところでは余り政府の、官民の支援の違いが出てこないような気もするんですが、実際にはやはり政府に担っていただきたいのは行政機能の回復でありますとかシステムの構築とか、そういう部分ではないかと思います。

 イラクでは、ある意味で医療従事者がおられる、病院もある、しかしそれを統率するような機関なりがもう破壊、瓦解してしまっているために病院が一切機能していないというような部分もございますので、そういったシステムをもう一回再開するというような部分はNGOにはできにくいことでございますので、病院の再建とか物資の調達、学校再建といったことはNGOがいたしますが、そういったシステム全体の構築を是非政府にお願いして、そういった意味で官民の協力ができればと思います。

 また、自己完結を自衛隊のようにNGOができるかというと、おっしゃるようにそれは不可能ではございますが、ただ、治安の面でいいますと、自衛隊も治安が悪いところには行けないのであれば、その意味ではNGOも自衛隊も同じかなというようなところがございまして、ただ、NGOの強みといいますか、日本のNGOだけですべてを完結しようと思いますと、これはもう不可能だと思いますが、それぞれに現地スタッフがおりますし、あるいは、現地のNGOと協力することによって自己完結型に近いものができるのではないかと思います。

 例えば、アフガニスタンの空爆中、人道援助に携わる外国人は国連も含めほとんど撤退したわけですが、当時、人道支援を現地で続けていたのはアフガン人の方たち、アフガンのNGO、それからアフガニスタンの職員であったわけです。同じように、イラクでも現地のNGOの支援をこれからも強化していければと思います。

 以上です。

○参考人(津守滋君)

 繰り返しになりますが、イスラエル入れるとこの構想は成立しないと思います。

 その前に、湾岸というのは一つの単位を成しているんですね、あの地域では。例えば環境問題については、このイラク、イラン、GCCを含めた既にフォーラムはあります。ただ、サダム・フセインがいたためにペルシャ湾の環境問題を改善するための協力ができなかっただけであります。経済的にもこの湾岸の六か国、GCCの六か国及びイラン、イラクは一つの単位になっているというようなことで、安全保障についても、大変難しいパレスチナ問題は取りあえず除いて、そして湾岸だけで作るということが合目的的であろうと思いますし、例えばスウェーデンのSIPRIという研究所、あるいはア首連にあります研究所もそういう考えに立っております。

 それから、日本がイニシアチブを取った場合にアメリカとの関係はどうか。これは、もうアメリカは私は歓迎するんだろうと思いますね。アメリカとまだ話をしたことはないと思うんですが、日本がまだ政府の政策としてこういうのができ上がっていないものですから。これは、日本がイニシアチブを取ることについてアメリカが反対する理由はないんだろうと思います。これは中国ではありませんから。中国がイニシアチブを取ればかなりアメリカは神経をとがらすでしょうけれども。

○参考人(茂田宏君)

 会長、どうもありがとうございます。

 小林先生の質問、何点かですけれども、四点お答えいたしたいと思います。

 アフガニスタンで戦う米英軍等に対する燃料補給のためのテロ特措法ですけれども、これは、私は対テロ対策という点で大変大きな意味があったと思います。というのは、このテロの問題というのは、テロ全般の問題ではなくて、やはりアルカイダを中心としたイスラム過激派のテロの問題でして、この脅威を抑えていくためにアフガニスタンを彼らの聖域でなくするということは大変重要な意味を持っていたということで、このテロ特措法はそういう意味で大変重要だったし、役割を果たしたのではないかと思います。対米協力という点からも良かったと思います。

 日本へのテロの脅威の心配ですけれども、私は日本に対するテロの脅威は上がってきているというふうに考えております。十一月にトルコでテロがありまして、その後で東京のど真ん中でテロを起こすということが、という脅しがアラブ語の週刊誌ですけれども、に掲載されました。これはその週刊誌の編集局にEメールで送られてきたものなんですけれども、そういうものが四回ございました。ただ、私はこれは余り信憑性がないというふうに思っております。というのは、アルカイダその他のテロリストはどこでテロを起こすというようなことは余り言わないんです。それから、いつ起こすということも言わないんですけれども、このEメールでは自衛隊がイラクに派遣されたときにはとか、時、場所を指定したEメールでして、これはどうも信憑性がないのじゃないかというふうに私は判断しております。

 ただ、十月十八日、オサマ・ビンラーディンが自分の肉声で、日本に対して適当な時期、適当な場所で報復する権利を有するというのをアルジャジーラを通じて放送させているんです。これは、この放送は各地に散らばっているアルカイダの細胞の人たちは対日攻撃へのゴーサインというふうに受け取った可能性があるというふうに私は思っておりまして、そういう意味では日本への脅威というのは上がってきているのではないかと思います。

 これは、テロリストは、じゃ、テロ行為をどこでいつやるかというのを言ってくれるほど親切でありませんから、これはイラクで起こるのか、ないしはほかの外地で起こるのかというのは全く予測ができないと思います。ただ、日本国内に関しては、日本の警備当局というのは非常にしっかりしていますから、その可能性はイラクないしはそれ以外の外国と比べると低いのかなというふうに思っております。

 それから、テロ特措法とは別に、テロに関連した日本国の法制がただいま現在十分なのかということに関しては、私は十分ではないというふうに思っております。これは安保理決議一三七三というのがございまして、その中で、テロ集団がその要員を獲得することを阻止しなければならないというのが書いてあります。この安保理決議一三七三というのは国連憲章第七章下の決議ですから、日本国にとってそれを実施することは国際法的な義務です。いつまでにということは書いてありませんが、もうこの決議が採択されて二年以上がたっております。テロ集団がテロの要員を獲得するのを阻止するということになりますと、どういうテロ組織、どういう組織がテロ組織かというのを指定しないとできません。しかるに、日本国にはこのテロ組織を指定する法制度がない。それ以外に、入国管理の面についても今の体制、法体制を強化しないとテロ対策がうまくできないということがございます。

 私は、これは国会の方でいろんな法律の都合もございますから、政府の方でも検討しているんだと思いますけれども、テロ対策という点ではできるだけ早くこのテロ新法というのを考える必要があるのではないかというふうに思います。

 それから、自衛隊の派遣についての恒久法の問題ですけれども、私、もう昔になりますけれども、PKO事務局長というのをやっていたことがありまして、そのときに武器使用、上官の命令で武器使用できるように改正したときの事務局長でしたが、その後、いろんな個々の、個別の事態に個別の法律を作っているということがございます。これは私は、国会の負担ということもありますし、政策としての不安定性というのもありますから、やはり恒久法というのを作って、その枠内でアフガンの問題、イラクの問題等に対処できるようになれば、それはそれで非常にいいことではないかと思います。

 以上でございます。