[参議院予算委員会 2003年11月26日]
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○小林温君
自民党の小林温でございます。
先輩方に御配慮いただきましてお時間をいただきました。林議員からは、我が国が直面する内政、外交の諸課題について格調の高い質問があったわけでございますが、私からは、平成十六年度予算の編成方針について総理を始め関係閣僚に御質問させていただきたいと思います。
巨額の財政赤字を抱える、十五年度末四百五十兆とも言われておりますが、我が国においては、財政再建の道筋をどう付けるかということは小泉内閣にとっても最重要課題の一つでございます。平成十四年、そして十五年と小泉政権下での二回の予算編成を振り返りますと、プライマリーバランスの回復に向けた新たな予算編成方式への取組によって、歳出のカット、効率化、重点分野への積極的な予算配分など、私はこれ実績を上げてきたというふうに評価すべきだろうと思います。
そこで、小泉総理、平成十六年度の予算編成は財政再建という大きな大目標の中でどう位置付けられるのか、またその予算編成に向けての総理の御決意を伺いたいと、こういうふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君)
小林委員に極めて予算委員会らしいテーマをお取り上げいただきまして、ありがとうございます。
今お触れになりましたように、プライマリーバランスの回復、これを二〇一〇年代初頭に実現したいと、これが我が国の財政改革の一番大きな柱でございます。しかしながら、これ、この薬を付けたら楽に良くなるというような妙薬はございませんで、歳出改革を徹底的に行うと同時に、金融、財政、規制と、こういった構造改革を進めながら民間需要主導の持続的な経済を作っていくという、こういう地道な努力を続けていくということしかないのではないかと、こう考えております。
そこで、平成十六年度ですが、これは今まで続けてまいりました今御指摘のような歳出改革路線というものを引き続き堅持していくということではないかと思います。具体的に申し上げますと、先ほどからの御議論のように、年金であるとかあるいは国と地方の関係、いわゆる三位一体、こういうような改革に併せて、一般会計歳出それから一般歳出を実質的に前年度より抑制していくということと併せて、めり張りを付けた予算編成をしてきちっとした姿を取っていくと、こういうことで臨みたいと、こう思っております。
○小林温君
内外の諸課題山積する中で、是非粛々と予算編成、新たな取組を進めていただきたいと思うわけでございます。
経済財政諮問会議では「十六年度予算の全体像」というのをお決めをいただいて、その中で予算編成プロセスのイノベーション、いわゆる新しい取組としての政策群やモデル事業の活用という項目を盛り込んでいただいております。
こうした歳出削減や財政再建に向けての取組をまずこれはしっかりと実行していただくとともに、やはりこういう部分について国民の皆さんに御理解をいただくということが実はこの予算編成プロセスの改革、大事なんだろうと思いますが、経済財政諮問会議での取りまとめに御尽力をいただいている竹中大臣から是非PRも兼ねてしっかりと御説明をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(竹中平蔵君)
小林委員から大変貴重な機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
御指摘のように、今、来年度の予算編成では、今までにやったことのないような新しい手法を予算編成の中に取り入れようと思って、我々は実は張り切ってやっております。これは、財政赤字で悩んできた各国が九〇年代を通していろんな試みをしました。そうした中で、イギリスとかニュージーランドとかスウェーデンとか財政の健全化に成功した国では、実は結果的に見ると非常に新しい予算の手法を取り入れていたと。それを日本の事情に即した形で、まだ規模は小さいかもしれないけれども、今回積極的に取り入れたい。我々としては、これは小さな一歩かもしれませんが、五年後、十年後に、この平成十六年度の予算編成というのは今から見ると大変大きな一歩だったねと是非言われるように、そういったものをしたいと思っております。
その中身なんですけれども、これは二つあります。
一つはモデル事業と呼ばれるもので、具体的には、予算というのは今まで積み上げて積み上げて作っていくわけなんですが、それはちょっと違うのではないだろうかと。本来は、こういうことをやりたいんだという目標、政策の目標、成果の目標を掲げて、目標に向かって、それを決めたら大胆に柔軟に実行させる。大胆に柔軟に各省庁に実行させる以上は、その評価、評価はきっちりとやりますよと。したがって、これは結果的に見ると、計画を立てて実行して結果を見る、いわゆるプラン・ドゥー・シーと言われるものになっているわけなんですけれども、この大胆に実行する中にはいわゆる複数年度で、日本は法律の枠組みで単年度の枠組みがありますが、そこをいろいろ財務省に工夫してもらって、結果的に複数年度で使えますよと。ないしは、各省庁が努力して節約したら、その節約した分はその省庁が何らかの形で独自の政策に使えるようにしますよ、そういうものをその中に組み込んでいこうというふうにしているわけです。そういうモデル事業を今度は十の事業について始めます。これをまずしっかりと仕組みを作って、それを将来的には広げていきたい、これが第一であります。
第二は、これは政策群と呼ばれるもので、いわゆる予算というのはどうしてもお金の分捕り合戦になるわけですが、我々はやっぱり政策をやりたいわけです。そうすると、それは予算を付けてやるものもあれば規制改革をやるものもあるだろうし、法律を新たに作って制度を作るものもあるだろうと。そういうのはやはり一体じゃないといけない、お金だけ付けても駄目だと。かといって、お金が全く付かなくても駄目なものもあるだろう。そういう政策群も今度十そういうものを作るということにしております。
分かりやすい例で言うと、若年の雇用、失業のようなもの、これも一つ入っております。そうしたいろんな制度改革もあるし、お金を付けるものもある。
そのモデル事業と政策群、その中には、先ほど申し上げましたように複数年度等々も新たな試みとして入ってまいりますが、やはりこれは大きく将来発展して非常に重要な一歩になったと思われるような、そういうものに是非この十六年度で芽を出したいというふうに思っております。
○小林温君
是非この取組を進めていただくように重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
今、竹中大臣からもお話がありましたように、やはり単年度の予算制度というものが柔軟性を失わせている一つの原因だということが言われます。年度末の駆け込み工事だとか調達あるいは安値落札というのも単年度主義というものが原因になっているんじゃないか、効率性を失わせているのではないかという議論もあるわけでございますが、柔軟な予算編成を可能にするということで財務省にも積極的なお取組をいただいているということは認識はしておりますが。
そこで、今、モデル事業のお話がございました。四月から三月までの単年度でなく、数年度にまたがった予算を編成する複数年度予算の活用、少し専門用語を使いますと、国庫債務負担行為や繰越明許というものを活用してどういったことを今後行われるか、財務省の基本的な取組方針、それから進捗状況についてお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君)
予算は単年度でやっておりますので、それを余り厳格にしますと、今委員がおっしゃったような非常に硬直した現象が起きてきて、予算も結局無駄遣いになってしまうというようなことが今まで指摘されてまいりました。
そこで、財政法には今おっしゃったような国庫債務負担行為あるいは繰越明許費といったような制度が作られておりまして、複数年にわたっていくような場合にうまく活用ができるものですので、それをもうちょっとうまく利用できないかということを今考えておりまして、具体的には、今竹中大臣がおっしゃいましたモデル事業ですね、これをうまく芽出しをしてやっていきたいと思っております。
これは、先ほど竹中大臣がおっしゃいましたように、明確にこういうことをやりたいという明確な目標を持っていただかなきゃなりません。そういう明確な目標を持っておられるということと、それから事後厳しくチェックしますよということを前提にして予算執行の弾力化を行っていこうと。
具体的には二つ手法がありまして、一つは、先ほど申しましたように、繰越明許費とか国庫債務負担行為を使いまして、委員のおっしゃったような複数年度ですね。言わば縦の、今年度、来年度という形でできるだけ弾力的にお金を使えるようにしようというのが一つであります。
それからもう一つは、予算はいろいろ経費区分がございまして、こっち側のものはこっちに流用しちゃいかぬとか、いろいろ枠が、縛りがあるわけですけれども、そういう横の弾力化も併せてやっていきたいと。
こういう手法を使って、今、竹中大臣がおっしゃいましたように、今、九省庁から十の事業について、情報システム関係といったようなところから、十だけではありませんけれども、十ございます。今からきちっと査定をして良いものに仕上げていきたいと、こう思っております。
○小林温君
私も、麻生大臣が党内のe―Japan特命委員会で委員長をお務めいただいて、その委員としてこういうことについて、今の点について財務省さんと何度も議論させていただいて、踏み込んでいただいてお取組をいただいていることにまず敬意を表したいと思います。
その上で、単年度の予算編成がなじまない代表的な分野にITあるいは情報関係のシステム予算というものがあるんだろうというふうに思います。
モデル事業の中でも、例えば国税の電子申告、納税のネットワークなど、そういったものに予算要求が上がっているわけでございますが、今、谷垣大臣にお話をいただきました国庫債務負担行為、繰越明許を使うと、今までよりは確かに後ろに後送りする形で柔軟な予算配分ができるんですが、これをやはりシステムの場合は初年度に多額の経費が掛かるということを是非御認識いただいて、初年度の頭にたくさんの経費を投入していただいて、以後、保守、運用にはある程度抑えた形で進むというところが結果的に、開発から保守、運用、廃棄まで、ライフサイクルを考えたときにコストダウンを図る道だというふうに思います。
この予算の前倒しについて財務省としてどういう御見解をお持ちか。それから、麻生大臣には、e―Japanの特命委員長としてかかわられた御経験からも、その点についての御意見をいただければと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君)
先日の経済財政諮問会議で、今お名前の出ました特命大臣の御経験から、麻生大臣が随分この点を問題提起をしていただきまして、我々も大分議論をいたしました。
それで、今、委員の提起していただいたように、新しい情報システムの開発等は初年度に金が掛かると。それで、そこのところを何というかばらばらにやっていきますと、結局コストも掛かってしまうということもあるんだろうと思います。ですから、御指摘のような方法で、ライフサイクルコストを十分に勘案した効果的な手法というものを考えていかなきゃならぬと思っております。
その点は十分我々も工夫したいと思っておりますが、同時に、これは、予算要求をしていただく各官庁がそういう今のいろいろな情報システムの開発をよく研究していただいて、それに見合った予算要求をしていただくということも必要だろうと思います。ですから、要求官庁、それから我々、査定官庁、両方が協力して、少しでも委員の問題意識を生かしていきたいと、こう思っております。
○国務大臣(麻生太郎君)
そちらもお出しいただきましたので、皆さんよりはもうちょっと金の掛かったやつで、基本的には同じことを書いているんですが、分かりやすいようにと思って、こういう形になります。(資料を示す)
基本的には書いてあることは同じなんですが、初年度に一番掛かりますと、後の分のメンテナンスはごとっと下がりますので、基本的にトータル、トータルコストとしてはかなり、一〇〇掛かるところが八〇で済みますという話を書きましたので、テレビで御利用なさるんだったら以後お使いください。はい、差し上げます。プレゼントとして差し上げます。(資料を手渡す)
基本的には同じことを二年数か月、一緒のところで勉強しましたので同じ発想にどうしてもなるんだと思いますが、今おっしゃるとおりになっておりまして、今、行政手続オンライン化法という法律が御存じのように過日の通常国会で通って、二〇〇五年までに日本という国は世界で最も電子化された政府を目指すということに、もうこれは目標としてきちんと政府で決めております。
それに対応して、今言ったようなことを現実的にやっていこうとする場合に、やっぱり初年度、いわゆるシステムがレガシーというのは旧式になっておりまして、その旧式なシステムをきちんとしたものにやらないと、少なくとも光ファイバーで全部結んだは、いろんな手続は端末使えば全部、何も区役所へ行かなくても、役所へ行かなくても全部、端末は全部取れるはというシステムはきちんとでき上がるんですが、現実、それに対応するだけの大きな対応をするシステムがいわゆる一番初年度金が掛かることになりますので、それを今の旧式のやつに合わせるとどのみち後でまた合わせにゃいかぬということになって、後でもっとお金が掛かるんで、結果としてイニシアルコストだけに非常に大きなものに目立つんですが、今の単年度決算方式になじみませんので、複数年度ということを申し上げて、今、谷垣大臣からの御答弁がありましたように、初年度というところが一番問題だと思いますので、何となく後送りな話じゃなくて、初年度というところにきちんと対応ができるような制度を是非ということで、私どもも、これは各役所、いろいろコンピューター関係、今十と言われましたけれども、いろいろ皆それぞれ抱えて、今各役所ごとに対応しておられると思いますが、私どもも基本的には、今、小林委員の言われた趣旨に沿って対応してまいりたいと思っております。
○小林温君
時間もなくなりますので、意見だけ最後に。
強力なリーダーシップがやはり二〇〇五年に世界一の電子国家になるためには必要だろうと思います。そのためには、各役所、そして政府のCIO、能力があって権限がある方を任命をしていただきたい。
それから、谷垣大臣からお話しありました、要求官庁そして査定官庁、両方とも、民間のプラクティスをしっかり学んでいただいて、それを現場で生かしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。