[第156回 参議院 経済産業委員会 2003年3月26日]
○小林温君
おはようございます。自由民主党の小林温でございます。
ただいま御説明いただきました予算案について御質問させていただきたいと思います。
こういう厳しい財政事情の中で、経済産業省関係の予算案、一般会計だけで九千億弱ということで、是非、この予算案成立の暁には、将来の日本の経済産業に資するような厳正な執行をお願いしたい、こういうふうにまず申し上げたいと思います。
それで、まず私の最初の質問は、予算の柱の一つでもある中小企業対策の関係でございますが、先日、西山先生の御質問の中でもお触れをいただきましたが、資金繰り円滑化の借換え保証制度、これは十四年度の補正予算で創設をしていただきました。先日も実績について御報告いただきましたが、これは大変地元で、いろんな中小企業者の皆様、零細企業の皆様とお話しさせていただくと好評でございます。是非この制度をしっかりと運用していただきたいと思うわけでございまして、これは一つの今回の措置の意味というのは、一般保証、それからセーフティーネットの保証の借換えが可能になったとともに、特別保証についても借換えができるようになった。
私も前々から申し上げているように、特別保証で助けられた一人でございますので、この特別保証があの一九九八年、九九年の時点、非常に中小零細企業にとって大変大きな意味を持った。今回、借換えをされたいという方は、厳しい経済状況が続いている中で返済の実績を持っておられる方であるわけでございます。ですから、今回の条件変更によって返済条件緩和できる。それによって経営や資金繰りにこれは大変な大きな影響があるんだろうというふうに思います。
そこで、先週数字をいただきましたが、また新しい直近の数字があれば、この制度の中身、お教えいただきたいのと、特に特別保証の借換え分がどの程度あるかということについて数字をいただければというふうに思います。
○政府参考人(杉山秀二君)
お答え申し上げます。
御質問の資金繰り円滑化借換え保証制度の実績でございますが、この制度、二月の十日から始まっておりまして、約六週間、三月二十日まででございますが、件数で三万八千四百四十八件、金額で六千二百七十五億円というのが全体の実績でございます。
うち、特別保証からの借換えでございますが、全体の二割強、大体四分の一でございますが、件数で九千三百七十五件、金額で一千二百三十九億円という状況でございます。
○小林温君
ありがとうございます。
今の数字をお聞きしますと、先週より一週間で一万一千件増えておりまして、金額も二千数百億増えている。これはすばらしいことだというふうに思います。これは是非こういうペースでこれから伸ばしていって、実績を上げていただきたいと思うわけでございます。
ただ、例えばその制度が創設される前にもう、例えばセーフティーネット保証等も含めて、その条件変更に関しては柔軟に応じるようにという通達を中小企業庁さん、金融庁さんから重ねて出していただいたというふうに思います。しかし、やはり例えば今回、私、この制度、地元のいろんな会合でPRをさせて、是非借換え使ってくださいと言っているんですが、返ってくる反応は、どうも金融機関の窓口に、この制度創設以前でございますが、行きますと、これは条件変更になるからこれからの融資の際の条件が厳しくなりますよということを窓口で言われたと、今回もそういうことがあるんじゃないのという、こういう懸念を持たれている実は中小企業、零細企業の経営者の方々がいらっしゃるわけでございます。
結局、日銀が幾ら資金供給量を増やしていても中小企業の融資実績が伸びないのは、地方の例えば金融機関の窓口のところまで中小企業庁、金融庁がグリップできていないというのが私はやっぱり大きな原因なんだろうと思います。
例えば、その特別保証の際も代位弁済率がかなり高くなるんじゃないかという話があったわけですが、実は今のところその予想の範囲内で推移をしておりますし、やっぱりここは私は日本人の勤勉性、借金は返せと、私、うちのじいさんとかおやじにしつこく言われたんですが、こういうものはまだ生きていると思いますし、そういう商人の精神というものはやっぱり日本人の中にまだ脈々と息づいていると思うんです。
ですから、これは重ねてになりますが、是非この制度のまずPRを徹底して図っていただきたい。それから、窓口での対応によって、結果的にこれは貸し渋りというか借換えの渋りが発生しないように通達を徹底していただきたい。結局、条件緩和債権として取り扱われないように、こういう御努力はいただいているものだと思いますが、重ねてそれをお願いしたいというふうに思いますが、大臣。
○国務大臣(平沼赳夫君)
当省といたしましては、確かに御指摘のような点が過去もありました。そういうことで、この資金繰り円滑化借換え保証制度の創設に先立ちまして、金融庁に対しまして、本制度の利用のみをもって金融検査上貸出し条件緩和債権となりまして不当な扱いを受けることのないように、きつく申入れをしたところでございます。その旨を各金融機関にも周知するように要請をいたしまして、金融庁もそうした対応を取る、こういうことで御了解をいただいたところでございます。
その後、当省としては、金融庁と連絡しまして、金融機関でございますとか信用保証協会に対してこの点の周知徹底を含めて借換え保証制度の運用に万全を期すように要請をしてきたところでございまして、具体的には、二月二十四日に、金融庁主催の中小企業金融に係る意見交換会において、お隣の西川副大臣、そして金融庁の伊藤副大臣から全国銀行協会等の金融関係団体に対してその旨の徹底を強く申入れをさせていただきました。また、二月二十八日に当省で主催をいたしました全国信用保証協会代表者懇談会におきまして、私からも直接、全国の代表者の皆様方に強く要請をしたところでございます。さらに、実施に徹底をするために二月の三日から二月二十日まで当省の担当者を全国に派遣をさせていただきまして、金融機関、信用保証協会等に対する説明会を開催をいたしまして、その旨の趣旨を徹底するように、私どもとしては行動をさせていただきました。
御指摘の点、こういうことがやはり今の中小企業、非常に努力をされておりますので、そういったところをしっかりと踏まえて、金融庁と連携をとりまして、この制度の実現、実施、そして円滑な実施に務めていきたいと、このように思っております。
○小林温君
ありがとうございます。
これは、トップダウンで最終的な、例えば地方の金融機関の窓口に行くまでに曲がって伝わってしまうということもあると思うので、これはもう徹底して通達の実施、運用をよろしくお願いしたいと、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
次に、少し産業競争力のことについて御質問を申し上げたいと思うんですが、各種の例えば指標とかランキングを見ると、九〇年代から日本の産業競争力あるいはひいては国力がかなり速いスピードで落ちているということはいろいろ指摘されているところです。ただ、国民生活の水準を持続的に維持向上させるためには、やっぱり国際化の時代の中においても付加価値を創出し続けることがこれはやっぱり国として大前提だろうと思います。その意味で、その産業競争力をどういうふうに位置付けるか、どういう戦略設定をするかということは国の行く末にとって極めて重要なことだという認識を私持っているんですが、競争力低下の原因というのはいろいろあると思います。
一つには、グローバル化とかIT化が急速に進展してそこに付いていけなかった、あるいは産業、企業も、例えば三つの過剰とか、トップマネジメントがうまく機能しなかった、あるいは既存の概念からの脱却が遅れたと、こういうこともあるんだろうと思いますが、と同時に、やはり、苦言を申し上げれば、政府の対応もそれと同じように遅れた部分もあるというのも否めないと思います。
それは、例えば経済構造改革の実行において優先順位の付け方がなかなか決まらなかったり、あるいは実行のスピード自体も遅かったりということなんだろうと思いますが、例えば、これ振り返ってみますと、傾斜生産方式なんというのは正に優先順位付けをスピード感を持って行った一つの日本における成功例だと思うわけですね。
こういった点を踏まえて、我が国の産業競争力の将来的な見通し、あるいは今後どういう分野を成長をさせるあるいは育成していくべきというふうに考えておられるのか、政府としての御見解をいただければというふうに思います。
○国務大臣(平沼赳夫君)
重要な御指摘だと思っております。
いろいろな指標を出す機関でIMDなんというのがございまして、このランクが、従来は日本がそれぞれの部門で一、二位を占めていたのが、競争力では二十位後半に低迷するというような形に相なっております。私どもは、こういったことを打破をしなければいかぬという基本的な問題意識を持っているところでございまして、日本のいわゆる産業というのは、個々に見るとまだまだ競争力のあるものがたくさんあるわけであります。
そういう中で、一昨年の秋に省内に、産学の中心の方に集まっていただいて、産業競争力戦略会議というのを立ち上げさせていただきまして、約半年間、かんかんがくがく議論をさせていただきました。私も参画をさせていただきました。
その中で、やっぱり我が国には技術ですとか人材面で高いポテンシャリティーがあると、この資源を最大限に活用して、やはり我が国では高付加価値化、それを実現することが非常に重要だと、そしてイノベーションと需要の好循環を生み出すことが将来にとって日本の活力を生み出すことではないか。こういう形で、戦略会議においては四つの重点分野、先ほど、かつては傾斜ということで日本の競争力を伸ばしていったことをおっしゃっておりますけれども、一つは、四つの柱の一つは、環境とエネルギー、この分野を一つの柱にさせていただき、二つ目は情報家電とそしてITと、これをやはり二つ目の大きな柱にさせていただきました。三つ目は、やはりこれから非常に大きく伸びるだろうというバイオテクノロジー、特に医療、健康、ライフサイエンス、こういったところを三本目の柱にしよう。四つ目は、日本の得意な分野でございますけれども、ナノテクノロジーと材料と。こういうことの四つの柱を打ち出させていただきまして、これがいわゆる日本のこれからの重点施策として、経済財政諮問会議の場の議論も踏まえて、国の一つの目指す、競争力を付ける、そういう中心に相なったわけであります。
この新たな成長市場に対応した産業群として、若干具体的に申し上げますと、一つは、例えば低公害車産業、これはITSですとかカーナビなどの車載機器産業、あるいは高速大容量の通信サービス、それからリユース、リサイクル産業、省エネルギー、新エネルギー関連産業、それから環境関連サービスなどの社会システムの革新の産業群、それから医療サービス、そして医薬機器産業ですとか健康食品、それから医療福祉情報サービス、介護福祉機器産業、それから日本はロボットが得意でございますので、介護ロボット等家庭ロボット産業などの生活革新支援産業群、それから情報家電、今回「千と千尋」がアカデミー賞を取りましたけれども、こういうコンテンツの部分、あるいは自己啓発、教育サービスなどの価値を実現する産業群、こういったことが、こういった部分が伸長すると、こういう形でここに特化をしてやっていかなければならないと思っておりますし、これを伸ばすためにも、やはり研究開発税制の抜本改正を行うことを加えまして、私どもとしては、やっぱり明確のシナリオを作って、そして技術開発に思い切った政策資源の集中投入を図って、イノベーションの創出を強力に促す、そして規制改革も同時並行に推進をして、そしてしっかりとしたそういう基盤を立ち上げていく、こういう形で今鋭意努力をさせていただいております。
○小林温君
今、大臣の方でも、例えば情報家電、ITという言葉が出てきました。私もこの分野が日本経済の将来の核となるべき分野だという認識を持っておるわけでございますが、ただ、例えば昨年一年の世界のIT関連企業の業績を見ると、マイクロソフトは年間営業利益が一兆七千億、一方、日本では、ソニーが一番で二千八百億、日立、東芝、NEC、これが五百億から七百億、富士通赤字と、こういう数字があるわけですね。
日本のナショナルブランドとしてある意味では今まで日本経済を牽引してきたいわゆる総合電機メーカー、この現状についてどういう御認識をお持ちか、政府の御見解をいただければと思います。
○副大臣(西川太一郎君)
ただいま小林先生御指摘のとおりでございまして、例えば具体的に数字を、ちょっと煩瑣になるかもしれませんが、お許しをいただいて申し上げますと、ソニーの昨年度の決算につきましては、営業利益で千三百四十六億円、純利益で百五十三億円となっております。また、二〇〇二年度の見込みでは、営業利益は二千八百億円、純利益は前年度の十二倍ほどを予想しておりまして千八百億円となっております。
しかし、ただいま御指摘のございました、例示をされましたマイクロソフトにつきましては、昨年の決算、これ若干時期が、セメスターがずれまして二〇〇一年七月から二〇〇二年六月まででございますけれども、これの営業利益は、一ドル百二十円で換算をいたしまして約一兆四千二百九十二億円、純利益で約九千三百九十五億円となっております。純利益ベースを比較いたしますと、ただいま申し上げましたものを割り算いたしますと約五倍と、こういうことになっております。
こういう利益の違いが生ずる理由は、ソニーでは、ゲームが好調だったものの、主に半導体を始めとするエレクトロニクス部門が不調だったということがございます。一方、マイクロソフトは、元々高い収益を見込めるソフトウエア産業に徹しておりまして、しかも高い市場占有率を占めておりまして、具体的には、ウィンドウズはOSとして我が国の国内市場では約九割を超えるシェアを占めております。そして、その営業利益は約八六%、非常に高くなっております。
また、ソニーを始めとする我が国のIT関連企業は、二〇〇一年全体の業績を見ますと、ITバブルの崩壊、半導体のシリコンサイクルの谷間などの影響を受けまして、連結の純利益ベースで見まして、大手七社、これは日立、東芝、三菱電機、NEC、富士通、ソニー、松下電器でございますが、この七社を合わせますと約二兆円の赤字を出しております。このため、現在、我が国のIT関連企業につきましては、二〇〇二年度決算でのV字型の収益の回復を目指して、半導体事業の合従連衡でございますとか事業の絞り込み、そして組織再編等を始めとした改善に取り組んでいるわけでございます。
現下の厳しい状況の下で、企業にとって経営改革を進めていくことには困難が伴っておりますけれども、経済産業省では、ただいま御審議をいただいております産業の再生、特に産業活力再生法でございますとかIT投資減税、こういうものの支援メニューをしっかり用意いたしまして、過剰供給構造を是正して、選択と集中を効率的に行って、国際競争力の回復に努めてまいりたいと思っております。
○小林温君
もっといろいろお聞きしたいことがあったんですが、時間がないようですので、またの次の機会にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。